茜ちゃん関連
おそろい!
「白竜くんのそれ、暑くないの?」
「は、ぁあ?」
不意に投げかけられた言葉に反応が遅れた。暑さのせいで頭が働いていないせいもあるだろうが、それ以上に茜の発言が突拍子もないものだったからというのが一番の理由だ。
ベンチに腰掛ける白竜の背後から茜が手を伸ばす。その指先が触れたのは、白竜の後ろ髪だった。さらりとした感触を楽しむように撫でられる感覚に背筋がぞくりと粟立つ。
「ね、暑くないの?」
「……別に」
白竜は内心の動揺を悟られないよう短く答えて顔を逸らす。柔らかで滑らかな茜の手の感触を意識せずにはいられず、心臓が煩く音を立て始めた。
「括ろっか?私髪ゴム持ってるよ」
白竜が答えあぐねている間に茜は鞄の中を漁る。その手が取り出したのは何の変哲もない、黒一色のゴム紐だった。
弄ぶように指先でそれを転がしながら茜が首を傾げる。その姿に白竜はごくりと唾を飲み込んだ。
「いい?」
「……好きにすればいいだろう」
素っ気なく返すと、茜は小さく笑って白竜の髪に手を伸ばした。細い指先が首筋を掠める感覚にびくりと肩が震える。その反応に茜は楽しげに笑った後、慣れた手付きで後ろ髪をまとめ始めた。
項に直接触れる指先の熱に心臓が跳ねる。ただの他人ならどうとも思わないはずなのに、相手が茜というだけでこうも意識してしまうものなのか。
「はい、できた。どうかな?」
ぽん、と髪を軽く叩かれる。何なんだと思いながらも結われた髪に触れてみると、普段とは違う感触に違和感を覚えた。
ただ結ばれた感じではない、明らかに人の手が加えられたであろうそれに白竜は困惑気味に眉を顰める。
「おいこれ……」
「あっわかった?うん、私とおそろい」
茜は自分の髪を指差しながら悪戯っぽく笑う。その仕草に白竜の心臓はまた大きく跳ね上がった。
「似合ってるよ」
いまいち褒められている気がしないが、嬉しそうな顔をして触れてくる茜に悪い気はしない。何だかんだ言いながらも受け入れてしまうのだ。この少女の無邪気な笑顔にはどうも弱いらしいと自嘲気味に笑う。
……まぁ、悪くはないが。
そう思いつつ、白竜は再び視線を前へと移したのだった。
「白竜くんのそれ、暑くないの?」
「は、ぁあ?」
不意に投げかけられた言葉に反応が遅れた。暑さのせいで頭が働いていないせいもあるだろうが、それ以上に茜の発言が突拍子もないものだったからというのが一番の理由だ。
ベンチに腰掛ける白竜の背後から茜が手を伸ばす。その指先が触れたのは、白竜の後ろ髪だった。さらりとした感触を楽しむように撫でられる感覚に背筋がぞくりと粟立つ。
「ね、暑くないの?」
「……別に」
白竜は内心の動揺を悟られないよう短く答えて顔を逸らす。柔らかで滑らかな茜の手の感触を意識せずにはいられず、心臓が煩く音を立て始めた。
「括ろっか?私髪ゴム持ってるよ」
白竜が答えあぐねている間に茜は鞄の中を漁る。その手が取り出したのは何の変哲もない、黒一色のゴム紐だった。
弄ぶように指先でそれを転がしながら茜が首を傾げる。その姿に白竜はごくりと唾を飲み込んだ。
「いい?」
「……好きにすればいいだろう」
素っ気なく返すと、茜は小さく笑って白竜の髪に手を伸ばした。細い指先が首筋を掠める感覚にびくりと肩が震える。その反応に茜は楽しげに笑った後、慣れた手付きで後ろ髪をまとめ始めた。
項に直接触れる指先の熱に心臓が跳ねる。ただの他人ならどうとも思わないはずなのに、相手が茜というだけでこうも意識してしまうものなのか。
「はい、できた。どうかな?」
ぽん、と髪を軽く叩かれる。何なんだと思いながらも結われた髪に触れてみると、普段とは違う感触に違和感を覚えた。
ただ結ばれた感じではない、明らかに人の手が加えられたであろうそれに白竜は困惑気味に眉を顰める。
「おいこれ……」
「あっわかった?うん、私とおそろい」
茜は自分の髪を指差しながら悪戯っぽく笑う。その仕草に白竜の心臓はまた大きく跳ね上がった。
「似合ってるよ」
いまいち褒められている気がしないが、嬉しそうな顔をして触れてくる茜に悪い気はしない。何だかんだ言いながらも受け入れてしまうのだ。この少女の無邪気な笑顔にはどうも弱いらしいと自嘲気味に笑う。
……まぁ、悪くはないが。
そう思いつつ、白竜は再び視線を前へと移したのだった。