茜ちゃん関連

太陽の花



ずい、と目の前に差し出されたそれに茜はぱちくりと瞬きをした。近すぎて鮮やかな黄色の花弁がぼやけてしまうくらいにそれは視界いっぱいに広がる。一体これは何だろうと考えるまでもなく、それが何かはすぐにわかった。

「向日葵……」
「はい」
「くれるの?」
「茜さんにと思って、用意したものですから」

差し出しながら微笑む太陽の手からおずおずと満開の向日葵を受け取る。その瞬間ふわりと香る花の匂いに自然と笑みが零れた。

「ふふ。ありがとう、雨宮くん」

ぎゅっとひまわりを胸に抱き寄せて柔く笑む茜に、太陽の心の奥が温かくなるのを感じる。自分と同じ名を冠しているその花を、好きな子が嬉しそうに見つめている姿を見ると何だか幸せで胸がいっぱいになった。

「……喜んでもらえたなら、良かったです」
「うん。大事にするね」

願わくば、その意味まで伝わっていますように。
太陽はその想いを胸に秘めながら、優しく目を細めるのだった。
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