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茜ちゃん関連

彼氏にだけ、特別



「海に行ってきたんです」
「へぇ……誰と、かな?」

茜の呟きに、優一は穏やかな笑みを浮かべる。けれどその瞳には鋭い光を湛えていた。
とはいえこういう話をする時はいつものことで。今更動揺したりはせず、茜は苦笑を浮かべながら言葉を続けた。

「んもー、家族とですよ。ほら写真撮ってきたんです」

数枚の風景写真を手渡す。優一がそれを一枚一枚眺めていると、最後の方で手がぴたりと止まった。

「これは……」

茜が写っていたのは一枚だけだが、それは海水浴場で無邪気に笑う水着姿の写真だった。ふんわりとしたフリルがついた可愛らしいデザインのものを身につけ、白い素肌を惜しみなく晒している姿は可愛らしいだけにとどまらずどこか妖艶な雰囲気も感じさせてくる。

「お母さんがね……か、彼氏に見せたらっていうから」

恥ずかしいのか目線を逸らしながら呟く茜。その様子に優一は目を細めるとそっと彼女を引き寄せた。そしてそのまま腕の中に閉じ込めると優しく髪を梳く。ぴくりと肩が跳ね上がったものの抵抗することなくされるがままになっている姿に愛しさが募った。

「うん。すごく、可愛い。……俺以外の奴には見せたくないくらい」

真剣味を帯びた声音に茜は小さく息を呑む。先程までとは違う雰囲気を感じて顔を上げると熱を帯びた視線にぶつかった。

「……その写真、他の奴には見せないでね」
「優一さんだけですよ、見せるの」

私の彼氏は貴方だけなんですから、と消え入りそうな声で呟く茜に優一は満足げに微笑むと再びその体を抱き締めたのだった。
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