好葉ちゃん関連
すき、です
うち、井吹くんのことが好きかもしれない。ふとそんなことを思ってしまったのは、彼と一緒にいる時間が増えたからだろう。
きっかけは些細なものだったと思う。うちがDFだからかディフェンスの作戦について話し合ったりしてる内にいつ間にか二人で過ごすことが多くなっていた。それからというもの井吹くんはよくうちを遊びに誘ってくれるようになったのだ。予定が合えば一緒にお茶したり、ちょっとした買い物したりして。
そんな日々を過ごすうちに気付いてしまったのだ。うちを見る視線の優しさだとか、ふとした瞬間に触れてくる指先だとか、名前を呼ぶ声だとか……そういう一つ一つにドキドキしてしまう自分に。
多分井吹くんはうちのことなんてただの仲間としか思ってないんだろうけど、それでいい。これ以上なんて、うちが望んでいいものじゃないから。
だからこの気持ちは誰にも言わないし、言うつもりもない。ただひっそりと想っているだけでいいのだ。そう思っていたはずなのに。
「もういいだろ。いい加減、気付けよ」
「ゃ……」
本当に急だった。今日は井吹くんから部屋に来ないかと誘われて、いつものようにお話しして二人で過ごしていただけなのに。突然井吹くんの腕が伸びてきて、そのまま抱き締められた。
これくらいのスキンシップならよくあること。うちとしては恥ずかしいけどまぁ、井吹くんになら……って流せるくらい慣れてしまった行為のはずだった。だけど、今日はなんだか違う気がする。
井吹くんの腕に力が入って痛いくらいにぎゅっとされて、そのまま首筋や耳元に何度もキスをされる。それがくすぐったくて身を捩ると逃がさないというように強く腰を引き寄せられた。
「ここまでしてまだわかんねぇのか?」
こんな井吹くん知らない。いつもより強引な行動もそうだけど、さっきから感じるこの視線はなんだろう。まるで獲物を狙う獣のようにぎらついていて、その目に見られると身体が強張ってしまう。
言葉はぶっきらぼうだけど、その声色はびっくりしてしまうくらい優しくて甘い。こしょこしょと直接耳に息を吹き込みながら囁かれる言葉はどれも砂糖菓子みたいに甘くて蕩けそうで。
「好葉。なぁ、こっち向けよ」
「あぅ……」
この時だけは無理矢理になんてことはせず、逸らしたうちのほっぺを擦って優しく誘導してくる。抗う方法なんてわからないから、流されるように井吹くんの方を向くと嬉しそうに笑った。
「やっとこっち向いた」
「いぶき……く……」
井吹くんは優しく目尻を下げてうちを見る。瞳に宿る熱は変わらないけれど、その表情は見たことが無いくらい優しくて甘い。その顔を見ただけで耳まで熱くなってきてしまう。
「ダメ、だって……うちなんかに、そんな……」
「なんでだよ」
だってこんなのおかしいよ。うちは井吹くんに想ってもらえるような女の子じゃないもん。どうして井吹くんがうちにこんな風に優しくしてくれるのか全然わからないんだもん。だから、やめて欲しい。これ以上勘違いさせないで欲しい。
なのに言葉が続かない。井吹くんの顔を見ると何も言えなくなってしまう。だって、あまりにも真剣で真っ直ぐな目でうちを見つめてくるから。
「バカ。自分なんかとか言うな」
「だって、」
「好葉だからいいんだよ。他の誰でもないお前だから……こんなに好きなんだ」
そう言ってまた強く抱き締められる。その腕はさっきよりも優しくて温かいのに、どこか切羽詰まったような必死さもあって。
「お前もそうだと思ってたんだけど」
「ぇ……え!?」
「最近俺の事意識してただろ。意識してるお前、めちゃくちゃ可愛いくて正直我慢すんの大変だったけど」
「っ……!!」
気付かれてた、井吹くんに。うちが井吹くんのこと意識してたのも、それがバレたらどうしようってドキドキしてたことも全部知られてしまっていたなんて。どうしよう、恥ずかしい。顔が熱い。動かせる範囲で手で覆ってみるけど、こんなんじゃ隠せないくらい赤くなってしまっているに違いない。
そんなうちに井吹くんはくつくつと喉を鳴らして笑うからますます恥ずかしくなる。
「それで」
「……ふぇ……?」
「そろそろ俺の想い伝わったかよ?」
もう十分過ぎるほど伝わってるのに。これ以上はもうキャパオーバーだから勘弁して欲しいのに、井吹くんはそれでもやめてくれなくて。好葉の口からちゃんと聞きたい、なんて言ってくるから。
「……っ……うち、も……」
声が震える。緊張と恥ずかしさで心臓がバクバクいって今にも破裂しそう。
でも井吹くんがすごく嬉しそうにこっちを見るから。だからうちも勇気を出して伝えるんだ。
「……すき、です」
最後までちゃんと声に出せたかは分からないけど、それでも井吹くんの耳には届いたみたいで。
「俺も」って笑う井吹くんを見て、あぁやっぱり好きだと思った。
うち、井吹くんのことが好きかもしれない。ふとそんなことを思ってしまったのは、彼と一緒にいる時間が増えたからだろう。
きっかけは些細なものだったと思う。うちがDFだからかディフェンスの作戦について話し合ったりしてる内にいつ間にか二人で過ごすことが多くなっていた。それからというもの井吹くんはよくうちを遊びに誘ってくれるようになったのだ。予定が合えば一緒にお茶したり、ちょっとした買い物したりして。
そんな日々を過ごすうちに気付いてしまったのだ。うちを見る視線の優しさだとか、ふとした瞬間に触れてくる指先だとか、名前を呼ぶ声だとか……そういう一つ一つにドキドキしてしまう自分に。
多分井吹くんはうちのことなんてただの仲間としか思ってないんだろうけど、それでいい。これ以上なんて、うちが望んでいいものじゃないから。
だからこの気持ちは誰にも言わないし、言うつもりもない。ただひっそりと想っているだけでいいのだ。そう思っていたはずなのに。
「もういいだろ。いい加減、気付けよ」
「ゃ……」
本当に急だった。今日は井吹くんから部屋に来ないかと誘われて、いつものようにお話しして二人で過ごしていただけなのに。突然井吹くんの腕が伸びてきて、そのまま抱き締められた。
これくらいのスキンシップならよくあること。うちとしては恥ずかしいけどまぁ、井吹くんになら……って流せるくらい慣れてしまった行為のはずだった。だけど、今日はなんだか違う気がする。
井吹くんの腕に力が入って痛いくらいにぎゅっとされて、そのまま首筋や耳元に何度もキスをされる。それがくすぐったくて身を捩ると逃がさないというように強く腰を引き寄せられた。
「ここまでしてまだわかんねぇのか?」
こんな井吹くん知らない。いつもより強引な行動もそうだけど、さっきから感じるこの視線はなんだろう。まるで獲物を狙う獣のようにぎらついていて、その目に見られると身体が強張ってしまう。
言葉はぶっきらぼうだけど、その声色はびっくりしてしまうくらい優しくて甘い。こしょこしょと直接耳に息を吹き込みながら囁かれる言葉はどれも砂糖菓子みたいに甘くて蕩けそうで。
「好葉。なぁ、こっち向けよ」
「あぅ……」
この時だけは無理矢理になんてことはせず、逸らしたうちのほっぺを擦って優しく誘導してくる。抗う方法なんてわからないから、流されるように井吹くんの方を向くと嬉しそうに笑った。
「やっとこっち向いた」
「いぶき……く……」
井吹くんは優しく目尻を下げてうちを見る。瞳に宿る熱は変わらないけれど、その表情は見たことが無いくらい優しくて甘い。その顔を見ただけで耳まで熱くなってきてしまう。
「ダメ、だって……うちなんかに、そんな……」
「なんでだよ」
だってこんなのおかしいよ。うちは井吹くんに想ってもらえるような女の子じゃないもん。どうして井吹くんがうちにこんな風に優しくしてくれるのか全然わからないんだもん。だから、やめて欲しい。これ以上勘違いさせないで欲しい。
なのに言葉が続かない。井吹くんの顔を見ると何も言えなくなってしまう。だって、あまりにも真剣で真っ直ぐな目でうちを見つめてくるから。
「バカ。自分なんかとか言うな」
「だって、」
「好葉だからいいんだよ。他の誰でもないお前だから……こんなに好きなんだ」
そう言ってまた強く抱き締められる。その腕はさっきよりも優しくて温かいのに、どこか切羽詰まったような必死さもあって。
「お前もそうだと思ってたんだけど」
「ぇ……え!?」
「最近俺の事意識してただろ。意識してるお前、めちゃくちゃ可愛いくて正直我慢すんの大変だったけど」
「っ……!!」
気付かれてた、井吹くんに。うちが井吹くんのこと意識してたのも、それがバレたらどうしようってドキドキしてたことも全部知られてしまっていたなんて。どうしよう、恥ずかしい。顔が熱い。動かせる範囲で手で覆ってみるけど、こんなんじゃ隠せないくらい赤くなってしまっているに違いない。
そんなうちに井吹くんはくつくつと喉を鳴らして笑うからますます恥ずかしくなる。
「それで」
「……ふぇ……?」
「そろそろ俺の想い伝わったかよ?」
もう十分過ぎるほど伝わってるのに。これ以上はもうキャパオーバーだから勘弁して欲しいのに、井吹くんはそれでもやめてくれなくて。好葉の口からちゃんと聞きたい、なんて言ってくるから。
「……っ……うち、も……」
声が震える。緊張と恥ずかしさで心臓がバクバクいって今にも破裂しそう。
でも井吹くんがすごく嬉しそうにこっちを見るから。だからうちも勇気を出して伝えるんだ。
「……すき、です」
最後までちゃんと声に出せたかは分からないけど、それでも井吹くんの耳には届いたみたいで。
「俺も」って笑う井吹くんを見て、あぁやっぱり好きだと思った。