好葉ちゃん関連
おまけ・耳を触らしてくれました
「生えてるのはわかったが……これに触覚というか、触られてる感覚があるのか?」
「うーん……あるようなないような……」
曖昧だな、と井吹が小さく零す。
「自分じゃ怖くて触ってないから」
「じゃあ、俺が触ってみてもいいか?」
「うん……」
井吹の言葉に頷き、耳と尻尾をぴるぴると動かす。その動きは正しく動物のそれで、やはり感情に連動して動いているようだ。
「触るぞ」
そう断りを入れてから、井吹の指が恐る恐る耳に触れた。
「っ」
好葉の肩がぴくりと跳ね、尻尾がぶわりと膨らむ。その反応に井吹は驚き、すぐに手を引っ込めた。
「悪い、痛かったか?」
「う、ううん!ちょっとびっくりしただけ……」
ピン、と耳が立ち上がりふるふると震えている。どうやら刺激に弱いようだ。
力を入れすぎないよう注意しながら、再び耳にそっと触れる。柔らかな毛並みを楽しむように指でなぞると、好葉の口から甘い吐息が零れた。
「ふ……っ、ぅ……」
微かな喘ぎにも似たそれに、思わず井吹は手を止めた。見れば好葉は顔を真っ赤に染め上げ、何かを耐えるような表情で井吹を見上げていて。
「いぶ、きく……それ、ゃ……」
はぁ、と吐き出された熱い吐息が耳を掠める。それは先程とは全く違う反応で。まるで性的な刺激を受けているかのように蕩けた顔をする好葉に、今度は井吹が動揺する番だった。
(っ、なんだこれ……)
むず痒いような、甘い疼きが腰元を襲う。好葉の表情につられて全身に熱が廻り、身体の中心にじわじわと欲が溜まっていく。
好葉の甘い声が耳に纏わりついて離れない。もっと聞きたい、もっと触れたい。そんな欲望がどんどんと膨れ上がり、井吹は本能のままに手を滑らせた。
「んっ……」
耳の付け根辺りを優しく撫でると好葉の口から小さく声が零れる。すりすりと耳の周囲を摩ると、もっともっとと言うように擦り寄ってきて可愛らしい。しかしそれと同時に悩ましげな吐息も増えていくものだから、堪らない気持ちになってしまう。
「っ、好葉……」
「は……いぶきく……ん……?」
熱に浮かされたように互いの名前を呼び合う。井吹の指先が耳の付け根を掠める度に好葉の腰が跳ね、尻尾がゆらゆらと揺れた。
これ以上の触れ合いはまずい、そう思うのに止められない。もっと好葉に触れたい。もっと好葉を感じたい。
その感情に従って手が首筋から鎖骨へと滑っていく。だがそれが胸の膨らみに差し掛かった瞬間、突如好葉が井吹の腕を掴んだ。
「だ、だめっ」
はっとして顔を上げれば、潤んだ瞳がこちらを見ていた。紅潮した頬に荒い呼吸を繰り返す姿からはいつもの穏やかさなど欠片も感じられない。濡れた唇から覗く赤い舌に目を奪われていると、好葉がたどたどしく口を開いた。
「これ以上は……だめ、だよ」
消え入りそうな声でそう呟くと、尻尾で顔を隠してしまった。井吹は呆然としていたが、すぐに我に返る。
「……っ!わ、悪い!」
ばっと手を引っ込めると、好葉はほっとしたように息を吐いた。その反応に胸がつきりと痛みを訴える。
「悪い。怖がらせるつもりはなくて……」
「ううん、違うの。井吹くんが悪いんじゃなくて……」
好葉はゆるゆると首を振ると、胸元でぎゅうと拳を握った。そしてどこか言いにくそうに口を開く。
「お……おかしく、なりそうで」
「は……」
予想外の返答に目を見開く。好葉は恥ずかしそうにしながらも言葉を続けた。
「このまま触られたらっ、その……変な気持ちになっちゃいそうで……」
だから駄目なのだと訴える好葉の言葉に、井吹は全身の血が沸騰するかのような錯覚を覚えた。
変な気持ちとは、それは。
「お前それ、分かって言ってるのか」
「え……?」
きょとんとする好葉に、井吹は深くため息を吐いた。多分、いや絶対に分かっていない。その言葉が男をどれだけ煽るか。
だが燻る欲を目の前の彼女で発散する訳にはいかず、井吹はどうにか昂る熱を抑え込む。
まだ、その時じゃない。
だから極めて冷静に、言い聞かせるように、心の中で呟くのだった。
「生えてるのはわかったが……これに触覚というか、触られてる感覚があるのか?」
「うーん……あるようなないような……」
曖昧だな、と井吹が小さく零す。
「自分じゃ怖くて触ってないから」
「じゃあ、俺が触ってみてもいいか?」
「うん……」
井吹の言葉に頷き、耳と尻尾をぴるぴると動かす。その動きは正しく動物のそれで、やはり感情に連動して動いているようだ。
「触るぞ」
そう断りを入れてから、井吹の指が恐る恐る耳に触れた。
「っ」
好葉の肩がぴくりと跳ね、尻尾がぶわりと膨らむ。その反応に井吹は驚き、すぐに手を引っ込めた。
「悪い、痛かったか?」
「う、ううん!ちょっとびっくりしただけ……」
ピン、と耳が立ち上がりふるふると震えている。どうやら刺激に弱いようだ。
力を入れすぎないよう注意しながら、再び耳にそっと触れる。柔らかな毛並みを楽しむように指でなぞると、好葉の口から甘い吐息が零れた。
「ふ……っ、ぅ……」
微かな喘ぎにも似たそれに、思わず井吹は手を止めた。見れば好葉は顔を真っ赤に染め上げ、何かを耐えるような表情で井吹を見上げていて。
「いぶ、きく……それ、ゃ……」
はぁ、と吐き出された熱い吐息が耳を掠める。それは先程とは全く違う反応で。まるで性的な刺激を受けているかのように蕩けた顔をする好葉に、今度は井吹が動揺する番だった。
(っ、なんだこれ……)
むず痒いような、甘い疼きが腰元を襲う。好葉の表情につられて全身に熱が廻り、身体の中心にじわじわと欲が溜まっていく。
好葉の甘い声が耳に纏わりついて離れない。もっと聞きたい、もっと触れたい。そんな欲望がどんどんと膨れ上がり、井吹は本能のままに手を滑らせた。
「んっ……」
耳の付け根辺りを優しく撫でると好葉の口から小さく声が零れる。すりすりと耳の周囲を摩ると、もっともっとと言うように擦り寄ってきて可愛らしい。しかしそれと同時に悩ましげな吐息も増えていくものだから、堪らない気持ちになってしまう。
「っ、好葉……」
「は……いぶきく……ん……?」
熱に浮かされたように互いの名前を呼び合う。井吹の指先が耳の付け根を掠める度に好葉の腰が跳ね、尻尾がゆらゆらと揺れた。
これ以上の触れ合いはまずい、そう思うのに止められない。もっと好葉に触れたい。もっと好葉を感じたい。
その感情に従って手が首筋から鎖骨へと滑っていく。だがそれが胸の膨らみに差し掛かった瞬間、突如好葉が井吹の腕を掴んだ。
「だ、だめっ」
はっとして顔を上げれば、潤んだ瞳がこちらを見ていた。紅潮した頬に荒い呼吸を繰り返す姿からはいつもの穏やかさなど欠片も感じられない。濡れた唇から覗く赤い舌に目を奪われていると、好葉がたどたどしく口を開いた。
「これ以上は……だめ、だよ」
消え入りそうな声でそう呟くと、尻尾で顔を隠してしまった。井吹は呆然としていたが、すぐに我に返る。
「……っ!わ、悪い!」
ばっと手を引っ込めると、好葉はほっとしたように息を吐いた。その反応に胸がつきりと痛みを訴える。
「悪い。怖がらせるつもりはなくて……」
「ううん、違うの。井吹くんが悪いんじゃなくて……」
好葉はゆるゆると首を振ると、胸元でぎゅうと拳を握った。そしてどこか言いにくそうに口を開く。
「お……おかしく、なりそうで」
「は……」
予想外の返答に目を見開く。好葉は恥ずかしそうにしながらも言葉を続けた。
「このまま触られたらっ、その……変な気持ちになっちゃいそうで……」
だから駄目なのだと訴える好葉の言葉に、井吹は全身の血が沸騰するかのような錯覚を覚えた。
変な気持ちとは、それは。
「お前それ、分かって言ってるのか」
「え……?」
きょとんとする好葉に、井吹は深くため息を吐いた。多分、いや絶対に分かっていない。その言葉が男をどれだけ煽るか。
だが燻る欲を目の前の彼女で発散する訳にはいかず、井吹はどうにか昂る熱を抑え込む。
まだ、その時じゃない。
だから極めて冷静に、言い聞かせるように、心の中で呟くのだった。