七海君からの悪戯での告白から約一ヶ月後。

　僕はこの一ヶ月間、色々な物を調べたり少女漫画やネットを見て総合的に考えて、あの時考えていた事は僕の間違えではないような気がして来たから、今度は本気で僕が七海君に告白をする覚悟を決めた。

　あの時とは違い、誰もいない屋上に僕はあの憧れの七海君を呼び出してみた。

　屋上のフェンスの向こうに見えるのは部活動で頑張る生徒達の姿だ。　高校時代っていうのは本当に色々な事に関して青春時代なんだろう。　そうやって自分の好きな事に打ち込める時でもあるんだから。　そう高校時代になると自分が好きな事というのが分かって来る。　だから大学に向けて進路を固めて行く時期でもある。

　僕はフェンスの向こうに見える生徒を見つめるのだ。　七海君に告げた時間は十六時に屋上。

　昼休みに七海君の机の中に手紙を入れておいた。　先ずそれさえも見てるかさえも分からない。　勿論、七海君が十六時にこの場所に来てくれるさえも今は分からない所だ。

　僕は校庭に見える時計を見上げながら、顔を俯けフェンスを握り締める。

　今の時刻は十六時。

　やっぱり七海君は来てくれなかったようだ。　これで僕の青春というのは終わった……。

　七海君は僕の手紙さえも気付いてくれなかったのであろう。　まぁ、一ヶ月前と結果は一緒だったっていう事だ。

　そう僕の方は諦めて、それはそれで吹っ切って次の恋を見つけようと屋上にある扉に手を掛ける直前、急に屋上に通じる扉が開かれる。

　そこには息を切らした七海君が立っていた。

「……へ？　七海君！？」

　僕の方は目を丸くしながら七海君の目を見つめる。　その一瞬目が合っただけでも僕の鼓動は高鳴り始めるたようだ。

「あ……」

　その言葉一つ言うと僕の事を七海君は見上げて来る。

　一瞬の沈黙の後、

「あ、ゴメン……」

　そう言って七海君が僕から視線を外してまで言っていた。

　……ゴメン。　って事は、やっぱりそうだよね。

　ま、初恋って実らないっていうし、そもそも男同士で恋人になる確率なんて低い訳だし、恋愛ドラマや少女漫画の世界もそこは男女カップルの話であって、男同士の恋愛には当てはまらないという事だろう。

　そして七海君は急に僕の事を見上げて来て、

「約束の時間に遅れて来てゴメン……」

　……へ？　ど、どういう事！？

　寧ろ僕の方がパニック状態だ。

　……あ、約束の時間に来れなくてゴメン……っていう意味なんだよね？

　僕は自分の心に確認してしまった位なのだから。