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化け猫来りて恩返す


休日に海堂が買い出しに行くと高確率で桃城がついて来る 外ではくっついてくる事もなく人間のように振る舞う桃城だが、キャットフードコーナーで「これうまそうだな」と言われると正直ギクリとする

何事もなく買い物を終わらせて会計をするとレジで抽選券を渡された 商品券やお菓子が当たる福引きをやっているらしく、二人は袋詰めを終えてから抽選の列に並ぶ

「何当たったら嬉しい?」

「二等の商品券」

「じゃあ隣で招き猫のポーズしてやるな」

「やめろ、変な目で見られんだろ」

不満そうにする桃城を放っておいて海堂は係員に抽選券を渡した

「桃城、お前やるか」

「良いの?」

「早く回すんじゃねぇぞ、ゆっくり回せ」

玉が出るまでガラガラと抽選器を回す 受け皿を転がる金色の玉を見て係員がカランカランとベルを鳴らした

「これ商品券の玉?」

一等の旅行券の玉だと教えると、化け猫改め招き猫は残念そうに玉を指で弾いた


「当たんなかったな」

旅行券の手続きを終えてスーパーを出てからも機嫌は戻らない

「旅行券当てただろ」

「でも海堂は商品券が欲しかったんだろ、恩返しになると思ったのに」

しょぼくれたような足取りで隣を歩く桃城を見る

「何でそんなに恩返ししたいんだ」

「返したいに決まってんだろ、お前に助けられたんだから」

「…恩を返したらお前はどうするんだ」

「あ!」

海堂の声を遮るように桃城が声を上げた

「あの子知り合いだ、紹介してやるよ!」

桃城はこちらを見ている白い猫に駆け寄る 猫が猫を撫でる光景を見ながら海堂も近付いた
言葉は返さなかったが、追い越す時に手の甲をかすめた指が答えなのだと思った
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