海桃と小人
『仲良くなってきた頃』
海堂の部屋で宿題をやってると、テーブルの下からふしゅふしゅと音が聞こえてくる 覗き込んだらちっこいのが桃に抱きつかれて真っ赤になっていた
「お前ら何してんだ?」
桃はニコッと笑って、俺に見せるように改めてちっこいのにぎゅうぎゅう抱きついた プロレスごっこでもしてんのか?
「海堂、桃がちっこいのに絞め技かけてる」
「テメーじゃあるまいし桃がそんな事するわけねぇだろ」
「んだとコラ! ホントだから見ろよ!」
めんどくさそうに海堂がシャーペンを置いてテーブルの下を見る
「…何してんだ桃」
呼ばれた桃はちっこいのを放して海堂の方に走ってって、今度は海堂の手に抱きついた
ちっこいのは開放されてホッとしてる 最近やっと桃に慣れてきたけど、くっつかれんのは相変わらず苦手で毎回しんどそうな顔をしてる
「後で遊んでやるからもう少し待ってろ」
嬉しそうに撫でられてた桃が俺の方を見る どうしたって聞いたら、俺と海堂を交互にキョロキョロ見上げた
「何て言ってんだ?」
「…分からねぇ」
海堂の服の裾をちょっと引っ張ってからトコトコちっこいのに近付いて、またぎゅっと抱きつく びっくりしたちっこいのが飛び上がって、あいつには悪いけどちょっとおかしかった
ふしゅふしゅしてるちっこいのは気にしないで、桃はまた俺達を交互に見る
…あー、何となく何が言いたいか分かったかも 海堂を見たら同じ事考えてたみたいで、うわって感じの顔をしてた
「…海堂、ちゃんと言ってやれよ」
「…桃、俺達はやらねぇぞ」
キョトンとした顔で、何でって言いたそうに海堂を見る 何でって言われても、まぁやらねーよな 他の誰かならまだしも海堂と抱き合うなんて無い
首を傾げて、もう一度ちっこいのに抱きついてキョロキョロする ちっこいの目が泳ぎまくってるけど大丈夫か
「…桃城」
「ちっこいの離してやるか?」
「俺がやりたくてやるわけじゃねぇから終わったらすぐ忘れろ…!」
…嘘だろ
「お前本気かよ!?」
「嫌に決まってんだろ! 良いか、絶対忘れろ!」
そんなに嫌なのにやろうとするって、どんだけ桃に弱いんだこいつ…
多分こうなったら撤回させんのはすげーめんどくさいし、その前にちっこいのが気絶しそうだ 海堂となんて絶対やだけど、一瞬我慢してちっこいのが助かるって考えたら妥協してやった方が良いか…
「エビカツバーガー二つでどうだ」
「…一つだけだ」
「乗った、ほらよ」
両腕を伸ばして受け入れ体勢を取ってやる …何か違うな、これじゃ抱っこをせがんでるみたいだ そろそろと腕を開いてみる…うん、こっちの方が合ってる気がする
準備ができたらさっさとハグして終わりだと思ってたのに、海堂はソワソワと手をさまよわせるだけで全然抱きついて来ない お前がやるって言ったくせに何躊躇ってんだ
…仕方ねーな、嫌だけどエビカツバーガー分は働いてやるか
「海堂」
チンタラしてる海堂に俺から抱きついてやる ビクッとしてからちっこいのみたいにふしゅふしゅ言っててちょっと笑ってしまった、そっくりさんすぎんだろ
「桃、これで良いだろ」
下を見ると桃が満足そうに頷いて、ちっこいのに抱きついてぴょんぴょんしてる
ちっこいのはヘロヘロになりながらも海堂を睨もうと頑張ってるけど、真っ赤な顔でふしゅふしゅしてて全然迫力が無い
ふしゅふしゅと言えば、さっきからずっと耳元でも聞こえてる もう離してやった方が良いかなって思ってたら、そろそろと俺の背中に手を回してきた 別にそこまでしなくても良いのに、律儀な奴
そこまでして桃を甘やかしたい海堂もすげーしあの海堂にここまでさせる桃もすげーけど、こんな事になっても冷静でいられた俺が一番すげーと思う
海堂の部屋で宿題をやってると、テーブルの下からふしゅふしゅと音が聞こえてくる 覗き込んだらちっこいのが桃に抱きつかれて真っ赤になっていた
「お前ら何してんだ?」
桃はニコッと笑って、俺に見せるように改めてちっこいのにぎゅうぎゅう抱きついた プロレスごっこでもしてんのか?
「海堂、桃がちっこいのに絞め技かけてる」
「テメーじゃあるまいし桃がそんな事するわけねぇだろ」
「んだとコラ! ホントだから見ろよ!」
めんどくさそうに海堂がシャーペンを置いてテーブルの下を見る
「…何してんだ桃」
呼ばれた桃はちっこいのを放して海堂の方に走ってって、今度は海堂の手に抱きついた
ちっこいのは開放されてホッとしてる 最近やっと桃に慣れてきたけど、くっつかれんのは相変わらず苦手で毎回しんどそうな顔をしてる
「後で遊んでやるからもう少し待ってろ」
嬉しそうに撫でられてた桃が俺の方を見る どうしたって聞いたら、俺と海堂を交互にキョロキョロ見上げた
「何て言ってんだ?」
「…分からねぇ」
海堂の服の裾をちょっと引っ張ってからトコトコちっこいのに近付いて、またぎゅっと抱きつく びっくりしたちっこいのが飛び上がって、あいつには悪いけどちょっとおかしかった
ふしゅふしゅしてるちっこいのは気にしないで、桃はまた俺達を交互に見る
…あー、何となく何が言いたいか分かったかも 海堂を見たら同じ事考えてたみたいで、うわって感じの顔をしてた
「…海堂、ちゃんと言ってやれよ」
「…桃、俺達はやらねぇぞ」
キョトンとした顔で、何でって言いたそうに海堂を見る 何でって言われても、まぁやらねーよな 他の誰かならまだしも海堂と抱き合うなんて無い
首を傾げて、もう一度ちっこいのに抱きついてキョロキョロする ちっこいの目が泳ぎまくってるけど大丈夫か
「…桃城」
「ちっこいの離してやるか?」
「俺がやりたくてやるわけじゃねぇから終わったらすぐ忘れろ…!」
…嘘だろ
「お前本気かよ!?」
「嫌に決まってんだろ! 良いか、絶対忘れろ!」
そんなに嫌なのにやろうとするって、どんだけ桃に弱いんだこいつ…
多分こうなったら撤回させんのはすげーめんどくさいし、その前にちっこいのが気絶しそうだ 海堂となんて絶対やだけど、一瞬我慢してちっこいのが助かるって考えたら妥協してやった方が良いか…
「エビカツバーガー二つでどうだ」
「…一つだけだ」
「乗った、ほらよ」
両腕を伸ばして受け入れ体勢を取ってやる …何か違うな、これじゃ抱っこをせがんでるみたいだ そろそろと腕を開いてみる…うん、こっちの方が合ってる気がする
準備ができたらさっさとハグして終わりだと思ってたのに、海堂はソワソワと手をさまよわせるだけで全然抱きついて来ない お前がやるって言ったくせに何躊躇ってんだ
…仕方ねーな、嫌だけどエビカツバーガー分は働いてやるか
「海堂」
チンタラしてる海堂に俺から抱きついてやる ビクッとしてからちっこいのみたいにふしゅふしゅ言っててちょっと笑ってしまった、そっくりさんすぎんだろ
「桃、これで良いだろ」
下を見ると桃が満足そうに頷いて、ちっこいのに抱きついてぴょんぴょんしてる
ちっこいのはヘロヘロになりながらも海堂を睨もうと頑張ってるけど、真っ赤な顔でふしゅふしゅしてて全然迫力が無い
ふしゅふしゅと言えば、さっきからずっと耳元でも聞こえてる もう離してやった方が良いかなって思ってたら、そろそろと俺の背中に手を回してきた 別にそこまでしなくても良いのに、律儀な奴
そこまでして桃を甘やかしたい海堂もすげーしあの海堂にここまでさせる桃もすげーけど、こんな事になっても冷静でいられた俺が一番すげーと思う