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海桃と小人

『ややこしい事になってきた頃』

前回のあらすじ
桃が部活についてきた!! どうする海堂!!

誰にも見られないようにロッカーに桃を入れる 運良くバッグに入っていた飴を全部砕いて、パッケージを開けて並べてやる

「…良いか、これ全部食って良いからロッカーから出るんじゃねぇぞ」

小声で伝えると、桃は飴を見ながら頷いた 絶対話を聞いてないが、桃は飴を食べたら満腹なってすぐ眠くなる…一度寝てしまえば部活が終わるまでは起きないはずだ 早速飴を食べ始めた桃の隣にハンカチを敷いて即席の布団を準備する

「部活終わるまで大人しく待ってろ…家に帰ったら遊んでやるから」

飴で膨らんだ頬を指で撫でるとニコニコしながら手で撫で返してくる …誰に見られるか分からない部室でそんな事すんな
緩みかけた表情を引き締めてロッカーを閉めると、ちょうど外から戻って来た桃城と目が合った

「お前何で汗だくなんだ?」

「何でもねぇ…」

「変な奴…あっ!?」

バッグからタオルを出していた桃城が急に大声をあげた いきなりデカい声出すんじゃねぇ、桃が驚くだろうが

「うるせぇぞ、お前こそどうした」

「な、何でもねぇ!! いっ、乾先輩〜!」

桃城はバッグを担いで部室の外に走っていった …騒がしい奴



「なぁ海堂、絆創膏持ってねーか? 指切っちまってよ…」

休憩時間に桃城が指を押さえて近付いて来た

「救急箱にあんだろ」

「この前英二先輩とふざけてキティちゃんの可愛い絆創膏補充したから使いにくい」

「何やってんだテメーは…ロッカーに入ってるから勝手に使え」

「サンキュー!」

桃城は部室に走っていく…変なイタズラしやがって 毎回保健室に絆創膏貰いに行かないといけなくなるだろうが
確か絆創膏はロッカーを開けたらすぐ見える位置に置いてたからいくら雑な桃城でも中を荒らす事は…
…ロッカーを開けたら?

「待て桃城!! 俺が探すからロッカーは開けるな!!」

部室に駆け込んだ時には桃城はロッカーを開けていた 遅かったか、いや桃がハンカチに潜り込んでればまだ誤魔化しがきく

「絆創膏なら出してやるから待ってろ!」

桃城を押しのけてロッカーを覗き込むと、すでに起きていた桃が眠そうに目をこすってこっちを見ていた 俺を認識した桃は笑顔で立ち上がって抱き上げろと両手を伸ばしてくる そうしてやりたいが今はそんな状況じゃねぇ
振り返ると桃城は信じられないと言うような顔で俺と桃を見ていた 自分そっくりな小人みたいなのがロッカーに居たら俺だってそうなる

「桃城…」

「海堂…」

二対の紫色が俺に向けられる 何から説明して良いか分からずに黙っていると、桃城は自分のロッカーを開けた

「…なぁ、絶対そいつ、こいつの仲間だよな…?」

「…あ?」

無理矢理荷物を押し込んで作ったようなスペースに何かいる

十センチくらいのちまっこい…俺がいた

フシュウと威嚇してくる小さい奴を見て、今の俺はさっきの桃城と同じ顔をしていると思った

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