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海桃と小人

『一方その頃』

忍足さんと打ってきた帰り道、草むらから変な生き物が出てきた 猫かネズミかと思ったけど全然違う、見た事がない生き物だった
手のひらサイズの…人間の子供?

「忍足さん、この生き物見た事あります?」

「いや、俺も初めて見たわ…」

そいつはしゃがみ込んでじっと見る俺達をギロッと睨む そっと撫でてみると、嫌そうな顔はするけど特に抵抗はしてこなかった

「ちまっこいなぁ…あ、もしかして小人ですかね?」

「日吉が知ったら喜びそうやなぁ」

本物の小人だったらすげーな…でも何で…

「…何で海堂そっくりなんだ?」

「…何でやろなぁ」

ちまっこい海堂は海堂みたいにふしゅーって息を吐いて、頭に巻いてるバンダナを直した


何だかわかんねーけど取り敢えずちっこい海堂を家に連れてきた 忍足さんに見張ってもらってる間に麦茶を取ってくる

「どうっスか?」

「当たり前やけど警戒してるみたいやな」

「まぁいきなり連れて来ちゃいましたもんね」

麦茶を飲んでる間も離れた位置から睨んだまま近付いてこない デカい方には負けるけどちっこい方もなかなか目つきが悪いな

「…あ、そうだ」

俺はスマホを出して動画アプリを開く この前見た動画が多分履歴に残ってるはず…あった!

「おーい、ちっこいの!」

呼ばれてビクッとするちっこい海堂にスマホの画面を向ける

「猫ちゃんの動画一緒に見ようぜ」

子猫がころころしてる動画は部室でみんなで見た時デカい方もめちゃくちゃガン見してたから、多分こいつも好きだと思う これを見たらちっこい方もちょっとはリラックスできるだろ
思った通りちっこい海堂はソワソワしながら近付いて来て、スマホの画面をガン見する

「よし、中身もデカい方そっくりで良かった!」

「海堂の扱い慣れとんなぁ」

「あいつ素直じゃないけど、難しい奴じゃないんで」

動画が終わるとハッと俺達を見て慌てて睨んできた 悔しそうにふしゅーってするとこもデカい方そっくりで笑ってしまう

「可愛かったろ」

思ってねーぞって言いたそうにプイッとそっぽを向いたけど、すぐにチラチラ俺を見てきた …ははーん、さてはもっと猫ちゃんが見たいんだな、分かりやすい奴!

「ほら、もっとこっち来いよ」


小さい海堂に近付くように言った桃城は忍足にもこっちに来たらどうかと自分の隣をポンポンと叩く せっかくだからとそばに寄ると、低い位置から強烈な視線を感じた
何度も向けられたその視線に、「ああ、お前もか」と忍足は思った
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