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上の階のお兄ちゃん

『隣の部屋のお姉さん〜雨の夜〜』

意識が浮上した まだ半分夢の中にいるような状態で寝返りをうつ
網戸から入ってくるひんやりした風が気持ちいい
ザーザーという音も聞いてて落ち着く、まだ暗いからもう一眠りできるかな
…ザーザー?
飛び起きて窓の外を見ると雨が降っていた 今夜は降らない予報だったのに

ヤバい、洗濯物をベランダに出しっぱなしだ もう濡れてるだろうけど、一刻も早く回収しないと
一歩目で窓に接近、網戸を開ける それと同時に二歩目でベランダへ
三歩目で物干し竿のハンガーをスライドさせて一纏めにして掴み回収成功 四歩目で部屋に戻ろうとしたら
隣のベランダでキスしてたお姉さん達と目が合ってしまった

「「…」」

まずい
まずい以外の言葉が思い浮かばない
お姉さん達も顔は離れてたけど完全に固まってる そうだろう、隣人にキスの現場目撃されるなんて自分なら恥ずかしさで死にそうになる
お姉さん達の関係は分かってたけど、いわゆるイチャイチャしてるところは今まで見た事がなかった(うっすら声が聞こえた事はあったけど) だから実際に見ると何と言うか…ああ、やっぱりそういう関係なんだな…って思った
あと低い声のお兄さんに消されるんじゃないかと死を覚悟した
とりあえずこの場をどうにか切り抜けないとダメだ 何か言わないと、何か…何か…!!

「あ、ありがとうございます!!」

「ど、どういたしまして…!」

俺のクソデカ大声に戸惑いながらもそう返してくれたお姉さんに頭を下げて部屋に戻る 何でお礼を言ったのか小一時間ほど考えたけど、答えは見つからなかった
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