サマバレショック2020
『サマバレショック』
他の部員達が帰り三年レギュラー陣だけになると、六人は顔を見合わせる
「…今日の海堂、様子がおかしくなかったか?」
その言葉に全員頷く 部活中ずっと海堂はピリピリしたオーラを放っていてかなり近寄りがたかった
「乾は何か知っているか?」
指名を受けた乾はスッと眼鏡を上げて答える
「ハッピーサマーバレンタイン2020で桃のライバルの座を忍足に奪われたのが原因の確率99%かな」
「「あー…」」
くせ者推しが重傷を負った公式発表…通称サマバレショック2020の噂は青学メンバーも聞いていた
「桃のライバルって言ったら海堂だったからなぁ…」
「そう言えばテニラビ2周年記念のキャラ紹介でも、海堂の時は桃のライバルって書いてたのに桃の時は海堂に一切触れられなかったよね」
「切ないな〜…」
「三回ダブルス組んだだけの男が二回戦っただけの男に負けたと言い換えると余計に切ないよ」
「…いや、言い換えると急に低レベルな争いに聞こえる」
「何だろう、小さい数だからかな」
『だけ』が付くとそんな事は無いのに一気に浅い関係に聞こえてしまう 複雑そうな雰囲気の中、乾が「大丈夫」と笑った
「海堂ならすぐに立ち直るよ」
「乾…」
そうだ、海堂なら立ち直るに違いない、自分達が信じないでどうする そう思った時
「桃城推し海桃左右固定過激派忍桃地雷の海堂はこれまで何度も地雷を踏む度に持ち前の精神力で這い上がってきた、今回もきっと大丈夫だよ」
「何だって?」
本当に大丈夫か不安になってきた
「海堂!」
走っていた海堂が振り返る 自転車に乗った桃城がすぐそばに止まった
「ちょうど良かった、お前ひまわりいる?」
「ひまわり?」
「写真撮影の記念に貰ったんだ、たくさんあるからお前にもやるよ」
撮影と聞いて海堂は眉をひそめる ひまわりと、写真撮影 自分ではなく別な男がライバルと言われた、あの案件に違いない
見たのだろうか、青空の下で笑う桃城を また焦がされただろうか、陽射しよりも熱く眩しい存在に
「…忍足さんも居たのか」
桃城は唐突に出てきた名前に首を傾げる
「忍足さん? 居なかったけど、何か用あったか?」
「いや…」
何かを察したのか、ふーんと言ったきり追及しなかった 少しの沈黙の後、桃城はふいと目を逸らし、呟く
「お前が気にしてるから言うんだからな」
「あ?」
「上手くできるか分かんねーけど…仕方なく言ってやるんだから、ちゃんと聞けよ」
何の事だと聞こうとするが、視線を彷徨わせていた桃城がその紫色をまっすぐ海堂へ向ける
「大好き」
言い終えた瞬間、桃城の頬が赤く染まる
「ほ、ほら、これで元気出たろ! 暑いんだから熱中症に気をつけろよな!」
わたわたと慌ただしくカゴから取ったひまわりを押し付けるが、海堂は受け取らない 早くしろと見上げれば、真っ赤になった顔が視界に映った
「お前、顔…」
「何でもねぇ」
動揺していないと言わんばかりに睨まれるが、迫力に欠ける様子に桃城は思わず吹き出す 茹で蛸みたいな二人が向かい合ってるのがおかしくて笑っていると、太陽は後ろにあるのに、海堂は眩しそうに目を細めた
他の部員達が帰り三年レギュラー陣だけになると、六人は顔を見合わせる
「…今日の海堂、様子がおかしくなかったか?」
その言葉に全員頷く 部活中ずっと海堂はピリピリしたオーラを放っていてかなり近寄りがたかった
「乾は何か知っているか?」
指名を受けた乾はスッと眼鏡を上げて答える
「ハッピーサマーバレンタイン2020で桃のライバルの座を忍足に奪われたのが原因の確率99%かな」
「「あー…」」
くせ者推しが重傷を負った公式発表…通称サマバレショック2020の噂は青学メンバーも聞いていた
「桃のライバルって言ったら海堂だったからなぁ…」
「そう言えばテニラビ2周年記念のキャラ紹介でも、海堂の時は桃のライバルって書いてたのに桃の時は海堂に一切触れられなかったよね」
「切ないな〜…」
「三回ダブルス組んだだけの男が二回戦っただけの男に負けたと言い換えると余計に切ないよ」
「…いや、言い換えると急に低レベルな争いに聞こえる」
「何だろう、小さい数だからかな」
『だけ』が付くとそんな事は無いのに一気に浅い関係に聞こえてしまう 複雑そうな雰囲気の中、乾が「大丈夫」と笑った
「海堂ならすぐに立ち直るよ」
「乾…」
そうだ、海堂なら立ち直るに違いない、自分達が信じないでどうする そう思った時
「桃城推し海桃左右固定過激派忍桃地雷の海堂はこれまで何度も地雷を踏む度に持ち前の精神力で這い上がってきた、今回もきっと大丈夫だよ」
「何だって?」
本当に大丈夫か不安になってきた
「海堂!」
走っていた海堂が振り返る 自転車に乗った桃城がすぐそばに止まった
「ちょうど良かった、お前ひまわりいる?」
「ひまわり?」
「写真撮影の記念に貰ったんだ、たくさんあるからお前にもやるよ」
撮影と聞いて海堂は眉をひそめる ひまわりと、写真撮影 自分ではなく別な男がライバルと言われた、あの案件に違いない
見たのだろうか、青空の下で笑う桃城を また焦がされただろうか、陽射しよりも熱く眩しい存在に
「…忍足さんも居たのか」
桃城は唐突に出てきた名前に首を傾げる
「忍足さん? 居なかったけど、何か用あったか?」
「いや…」
何かを察したのか、ふーんと言ったきり追及しなかった 少しの沈黙の後、桃城はふいと目を逸らし、呟く
「お前が気にしてるから言うんだからな」
「あ?」
「上手くできるか分かんねーけど…仕方なく言ってやるんだから、ちゃんと聞けよ」
何の事だと聞こうとするが、視線を彷徨わせていた桃城がその紫色をまっすぐ海堂へ向ける
「大好き」
言い終えた瞬間、桃城の頬が赤く染まる
「ほ、ほら、これで元気出たろ! 暑いんだから熱中症に気をつけろよな!」
わたわたと慌ただしくカゴから取ったひまわりを押し付けるが、海堂は受け取らない 早くしろと見上げれば、真っ赤になった顔が視界に映った
「お前、顔…」
「何でもねぇ」
動揺していないと言わんばかりに睨まれるが、迫力に欠ける様子に桃城は思わず吹き出す 茹で蛸みたいな二人が向かい合ってるのがおかしくて笑っていると、太陽は後ろにあるのに、海堂は眩しそうに目を細めた