石鹸
『石鹸』
「桃尻きゅーん」
「何スか小春さん」
はい、と小春はピンク色の袋を手渡す
「これプレゼント、良かったら使ってな」
「プレゼント? 開けて良いっスか?」
「ウフ、どーぞ♡」
袋の中にはピンク色の石鹸と石鹸入れが入っていた
「石鹸?」
「そ、桃の香りの石鹸 桃尻くんにピッタリやと思って」
「へー、ありがとうございます!」
「そ・れ・に♡」
「そ、それに…?」
「その石鹸、体も洗えるけど本来はお尻をツルツルスベスベにしてくれる石鹸なの♡」
「そ、そんな石鹸あるんスか!? あ、マジだ、ヒップケアソープって書いてる!」
「しっかりマッサージして、今以上の桃尻に育てるんやで!」
「尻担当乾先輩なのに!?」
1週間後
「最近桃先輩から桃の匂いがする」
「小春さんから貰った石鹸使ってんだ、良い匂いだろ」
「へー…あ、桃先輩、足下…」
「え?」
何かを踏んだと気付いたのと同時にバランスが崩れる
ずでん!!と豪快な音を立てて桃城は転んだ
「いってぇ…ついてねーな、ついてねーよ…」
「…どけ」
「ん?」
すぐそばで低い声が聞こえた 目を開けると海堂が桃城の下敷きになっていた
「…何してんだ海堂?」
「お前が目の前で転んだんだろうが」
「桃先輩、海堂先輩が助けようとして失敗して下敷きなったんだよ」
「余計な事言うな」
「マジかよ!」
桃城が越前の方を向こうと上に乗ったまま身動ぎする
…むちぃ♡
「…あ?」
突然海堂の手に未知の感触がした 柔らかいような固いような、筋肉のような脂肪のような、指は沈むが適度に押し返してくる
何だ、これは
「?」
「お前に助けられるなんて思わなかったぜ、わりーな海堂」
桃城が馬乗りになっていた海堂の体から離れる
「この借りは後で返すからよ…どうした?」
「…何でもねぇ」
そっか、じゃあな、と桃城は越前と立ち去る
「…」
手のひらを凝視するが感触はもう無い 海堂の元に残ったのは疑問と微かな桃の香りだけだった
数日後
海堂と桃城が喧嘩していたらその時不思議な事が起こってロッカーに閉じ込められた!
「何でロッカーの中に閉じ込められるんだよ!」
「知るか!」
抱きつくように密着するしかない程狭い空間で大声を出したせいでクラリとする
「うっ…ダメだ、この狭さで大声はヤバい 一回休戦、喧嘩無しな」
「チッ…大人しくしてろよ」
「にしても狭すぎんだろ、もっと詰めろよ」
「無理言うんじゃねぇ…おい、押すな」
楽な体勢を探ってもぞもぞ動いているとふわりと桃の香りがした ロッカーの中に芳香剤があるのかと思ったが、すぐそばの桃城から匂いがしていると気付く
「…お前桃食べたか?」
「食ってねーけど…あ、それ多分石鹸だ 最近桃の匂いの石鹸使ってるから」
思い返せばこの前桃城の下敷きになった時も桃の匂いがした 確かあの時の桃城も風呂上がりだったはずだ そして
むちぃ…♡
手のひらにあの時と同じ感触がした
「(一体何なんだ…)」
むにむに…ぐにぐに…
手の感覚だけを頼りに正体を探ろうとする 弾力のある『何か』は布に覆われているらしい さらりとした手触りからして、ジャージのような素材だろう
「…なぁ、海堂」
「あ?」
「何でお前、さっきから俺の尻触ってんの…?」
「…尻!?」
「うるっせぇなお前!?」
叫んだせいで互いにダメージを受けた
「お前…尻? 正気か?」
「いやお前こそ正気かよ」
「男のがこんなになるのか…?」
信じられないと言うように凝視する海堂から思わず視線を逸らす
「…あー、さっき言った石鹸が、その…尻用で…マッサージしてたら、育ったっつーの…?」
桃城も自分の体の変化には薄々気付いていた 体を洗うついでに半信半疑でマッサージをしていたらいつの間にか以前と違った感触…四天宝寺のバカップルの言葉を借りるなら、桃尻のようになっていた
「尻用」
「そう」
「…柔軟剤入りか」
「洗濯石鹸じゃねーよ」
洗濯石鹸で洗っても人体は柔らかくはならない
「あーあ、尻担当は乾先輩だと思うんだけどな〜」
「数回出しただけだろ」
「数回も出してんのがおかしいだろ…つーかいつまで触ってんだスケベ!」
「狭くて動かせねぇんだ! 好きで触ってんじゃねぇ!」
正体が分からなかった時は思いっきり触っていた海堂だったがその言葉に嘘はない 行き着いてしまった場所から手を移動させるのは困難だった
「何でお前とこんな事になってんだよ、ラッキースケベかよ…全然ラッキーじゃねーけど」
「…あ? ラッキー…?」
最近似たような言葉を誰かから言われた気がする 記憶を辿っていくと、数日前に普段はあまり関わらない他校の三年生が雑誌を片手に近付いて来た日があった
『おはよー海堂くん、君って確か5月生まれだったよね?』
『そうっスけど…何かあるんスか』
『今週5月生まれの人は桃がラッキーアイテムなんだって、フルーツ食べたい時は桃を選ぶと運気上がるかもよ』
桃と、『ラッキー』スケベ 信じたくないが繋がってしまった
「あれだ…!」
「どれだよ」
「お前の石鹸が悪い」
「はぁ!?」
「千石さんから俺の今週のラッキーアイテムが桃って言われた」
その言葉に一瞬納得しかけた桃城だったが、すぐにおかしいと気付いた
「お前の運俺とのラッキースケベに全振りかよ!?」
「俺が望んだ事じゃねぇ!」
「桃尻きゅーん」
「何スか小春さん」
はい、と小春はピンク色の袋を手渡す
「これプレゼント、良かったら使ってな」
「プレゼント? 開けて良いっスか?」
「ウフ、どーぞ♡」
袋の中にはピンク色の石鹸と石鹸入れが入っていた
「石鹸?」
「そ、桃の香りの石鹸 桃尻くんにピッタリやと思って」
「へー、ありがとうございます!」
「そ・れ・に♡」
「そ、それに…?」
「その石鹸、体も洗えるけど本来はお尻をツルツルスベスベにしてくれる石鹸なの♡」
「そ、そんな石鹸あるんスか!? あ、マジだ、ヒップケアソープって書いてる!」
「しっかりマッサージして、今以上の桃尻に育てるんやで!」
「尻担当乾先輩なのに!?」
1週間後
「最近桃先輩から桃の匂いがする」
「小春さんから貰った石鹸使ってんだ、良い匂いだろ」
「へー…あ、桃先輩、足下…」
「え?」
何かを踏んだと気付いたのと同時にバランスが崩れる
ずでん!!と豪快な音を立てて桃城は転んだ
「いってぇ…ついてねーな、ついてねーよ…」
「…どけ」
「ん?」
すぐそばで低い声が聞こえた 目を開けると海堂が桃城の下敷きになっていた
「…何してんだ海堂?」
「お前が目の前で転んだんだろうが」
「桃先輩、海堂先輩が助けようとして失敗して下敷きなったんだよ」
「余計な事言うな」
「マジかよ!」
桃城が越前の方を向こうと上に乗ったまま身動ぎする
…むちぃ♡
「…あ?」
突然海堂の手に未知の感触がした 柔らかいような固いような、筋肉のような脂肪のような、指は沈むが適度に押し返してくる
何だ、これは
「?」
「お前に助けられるなんて思わなかったぜ、わりーな海堂」
桃城が馬乗りになっていた海堂の体から離れる
「この借りは後で返すからよ…どうした?」
「…何でもねぇ」
そっか、じゃあな、と桃城は越前と立ち去る
「…」
手のひらを凝視するが感触はもう無い 海堂の元に残ったのは疑問と微かな桃の香りだけだった
数日後
海堂と桃城が喧嘩していたらその時不思議な事が起こってロッカーに閉じ込められた!
「何でロッカーの中に閉じ込められるんだよ!」
「知るか!」
抱きつくように密着するしかない程狭い空間で大声を出したせいでクラリとする
「うっ…ダメだ、この狭さで大声はヤバい 一回休戦、喧嘩無しな」
「チッ…大人しくしてろよ」
「にしても狭すぎんだろ、もっと詰めろよ」
「無理言うんじゃねぇ…おい、押すな」
楽な体勢を探ってもぞもぞ動いているとふわりと桃の香りがした ロッカーの中に芳香剤があるのかと思ったが、すぐそばの桃城から匂いがしていると気付く
「…お前桃食べたか?」
「食ってねーけど…あ、それ多分石鹸だ 最近桃の匂いの石鹸使ってるから」
思い返せばこの前桃城の下敷きになった時も桃の匂いがした 確かあの時の桃城も風呂上がりだったはずだ そして
むちぃ…♡
手のひらにあの時と同じ感触がした
「(一体何なんだ…)」
むにむに…ぐにぐに…
手の感覚だけを頼りに正体を探ろうとする 弾力のある『何か』は布に覆われているらしい さらりとした手触りからして、ジャージのような素材だろう
「…なぁ、海堂」
「あ?」
「何でお前、さっきから俺の尻触ってんの…?」
「…尻!?」
「うるっせぇなお前!?」
叫んだせいで互いにダメージを受けた
「お前…尻? 正気か?」
「いやお前こそ正気かよ」
「男のがこんなになるのか…?」
信じられないと言うように凝視する海堂から思わず視線を逸らす
「…あー、さっき言った石鹸が、その…尻用で…マッサージしてたら、育ったっつーの…?」
桃城も自分の体の変化には薄々気付いていた 体を洗うついでに半信半疑でマッサージをしていたらいつの間にか以前と違った感触…四天宝寺のバカップルの言葉を借りるなら、桃尻のようになっていた
「尻用」
「そう」
「…柔軟剤入りか」
「洗濯石鹸じゃねーよ」
洗濯石鹸で洗っても人体は柔らかくはならない
「あーあ、尻担当は乾先輩だと思うんだけどな〜」
「数回出しただけだろ」
「数回も出してんのがおかしいだろ…つーかいつまで触ってんだスケベ!」
「狭くて動かせねぇんだ! 好きで触ってんじゃねぇ!」
正体が分からなかった時は思いっきり触っていた海堂だったがその言葉に嘘はない 行き着いてしまった場所から手を移動させるのは困難だった
「何でお前とこんな事になってんだよ、ラッキースケベかよ…全然ラッキーじゃねーけど」
「…あ? ラッキー…?」
最近似たような言葉を誰かから言われた気がする 記憶を辿っていくと、数日前に普段はあまり関わらない他校の三年生が雑誌を片手に近付いて来た日があった
『おはよー海堂くん、君って確か5月生まれだったよね?』
『そうっスけど…何かあるんスか』
『今週5月生まれの人は桃がラッキーアイテムなんだって、フルーツ食べたい時は桃を選ぶと運気上がるかもよ』
桃と、『ラッキー』スケベ 信じたくないが繋がってしまった
「あれだ…!」
「どれだよ」
「お前の石鹸が悪い」
「はぁ!?」
「千石さんから俺の今週のラッキーアイテムが桃って言われた」
その言葉に一瞬納得しかけた桃城だったが、すぐにおかしいと気付いた
「お前の運俺とのラッキースケベに全振りかよ!?」
「俺が望んだ事じゃねぇ!」