迎え
オンライン参加の手塚を合わせた九人での飲み会は『海堂と桃城が付き合ってるのを知らなかったのが越前だけ』という話で盛り上がっていた
「そっかー、おチビは気付いてなかったか〜」
「気付かないっスよ、最後に会ったの何年も前だし」
『越前、俺もみんなに言われるまで気付かなかった』
「手塚と越前は日本に居ない時間が多いからな、仕方ないよ」
「俺達も聞いた時は驚いたよ いつからだっけ?」
「付き合い始めたのは高校二年生の七月だな」
「急によそよそしくなった時期だよね、懐かしいなぁ」
「もう良いじゃないですかその話〜…」
桃城が何とか話を終わらせようとするが一向に終わる気配がない その隣で海堂はこれ以上墓穴を掘るまいと無言でウーロン茶を飲んでいた
「…ねぇ桃先輩」
「何だよ?」
「桃先輩が変わったのって海堂先輩の趣味?」
「違ぇ」
海堂は即答した
「違うの? こんな何か…近所に住むお姉さんみたいな感じなのに?」
「俺を何だと思ってんだ」
「俺の事も何だと思ってんだよ」
「だって隣に引っ越してきた大学生を食べそうだし…本で見た事ある」
「「あ〜…」」
「納得しないでください! お前もどんな本読んでんだよ!」
「分かる、お裾分けって言って料理持っていきそう」
「無防備な格好で宅配便受け取ったりしてない?」
「してないっス!」
「あんなに小さかった越前がそういう本を読むなんて…大きくなったな…!」
「そんな事で泣かなくても…」
よく分からないポイントに感動した大石が涙ぐむ
「俺達もお酒飲めてるし…」
「長い付き合いだよな〜…」
『ああ…』
つられて他の上級生組もしんみりし始める
今なら話を変えられると踏んだ桃城は同じように長期交際している乾に話を振った
「そういや乾先輩ってまだ柳さんと付き合ってるんスか?」
「付き合ってないよ」
「「えっ」」
アッサリ返された言葉に個室の中が静まり返る 重苦しい沈黙にポカンとしていた乾は「あ」と呟くと服で隠れていたネックレスを引っ張り出し、鎖から外したリングを左手の薬指に嵌めた
「「…柳(先輩)!?」」
「乾だよ」
別れたわけではなく、付き合うという表現が自分達には適さないから使っていないだけで一緒にはいると乾は話す
「誤解させたね…結婚したわけじゃないからこれもただのペアリングだよ、十八歳の誕生日に貰ったんだ」
「あぁ、ただの…待ってください、十八で?」
「そんなに前から…」
「高校生の時じゃないか…」
今度は別な意味でざわついた
「二人は指輪買うの?」
「…考えた事がねぇ」
「俺も…」
「とか言って次会う時に指輪してたりして」
「「あ〜…」」
「俺らの話は終わりにしません!?」
折角流れを変えられたと思ったのにまた戻ってきてしまった 半ばヤケになって越前にドリンクメニューを渡す
「ほら越前グラス空いてるぞ、何飲む!?」
「じゃあぶどうサワーで」
「あ、カシオレもよろしく!」
「食べ物も頼もうか?」
「焼き鳥盛り合わせとか良いんじゃないかな」
「手塚は食べたいのある?」
『俺が頼んでも食べられないだろう』
呼び出しボタンを押した桃城はちびちびとウーロン茶を飲んでる海堂を見る
その考え込んでる仏頂面に、部屋の掃除をした時に見つけてしまった小さい箱の出番はもっと先になるんだろうなと思った
「そっかー、おチビは気付いてなかったか〜」
「気付かないっスよ、最後に会ったの何年も前だし」
『越前、俺もみんなに言われるまで気付かなかった』
「手塚と越前は日本に居ない時間が多いからな、仕方ないよ」
「俺達も聞いた時は驚いたよ いつからだっけ?」
「付き合い始めたのは高校二年生の七月だな」
「急によそよそしくなった時期だよね、懐かしいなぁ」
「もう良いじゃないですかその話〜…」
桃城が何とか話を終わらせようとするが一向に終わる気配がない その隣で海堂はこれ以上墓穴を掘るまいと無言でウーロン茶を飲んでいた
「…ねぇ桃先輩」
「何だよ?」
「桃先輩が変わったのって海堂先輩の趣味?」
「違ぇ」
海堂は即答した
「違うの? こんな何か…近所に住むお姉さんみたいな感じなのに?」
「俺を何だと思ってんだ」
「俺の事も何だと思ってんだよ」
「だって隣に引っ越してきた大学生を食べそうだし…本で見た事ある」
「「あ〜…」」
「納得しないでください! お前もどんな本読んでんだよ!」
「分かる、お裾分けって言って料理持っていきそう」
「無防備な格好で宅配便受け取ったりしてない?」
「してないっス!」
「あんなに小さかった越前がそういう本を読むなんて…大きくなったな…!」
「そんな事で泣かなくても…」
よく分からないポイントに感動した大石が涙ぐむ
「俺達もお酒飲めてるし…」
「長い付き合いだよな〜…」
『ああ…』
つられて他の上級生組もしんみりし始める
今なら話を変えられると踏んだ桃城は同じように長期交際している乾に話を振った
「そういや乾先輩ってまだ柳さんと付き合ってるんスか?」
「付き合ってないよ」
「「えっ」」
アッサリ返された言葉に個室の中が静まり返る 重苦しい沈黙にポカンとしていた乾は「あ」と呟くと服で隠れていたネックレスを引っ張り出し、鎖から外したリングを左手の薬指に嵌めた
「「…柳(先輩)!?」」
「乾だよ」
別れたわけではなく、付き合うという表現が自分達には適さないから使っていないだけで一緒にはいると乾は話す
「誤解させたね…結婚したわけじゃないからこれもただのペアリングだよ、十八歳の誕生日に貰ったんだ」
「あぁ、ただの…待ってください、十八で?」
「そんなに前から…」
「高校生の時じゃないか…」
今度は別な意味でざわついた
「二人は指輪買うの?」
「…考えた事がねぇ」
「俺も…」
「とか言って次会う時に指輪してたりして」
「「あ〜…」」
「俺らの話は終わりにしません!?」
折角流れを変えられたと思ったのにまた戻ってきてしまった 半ばヤケになって越前にドリンクメニューを渡す
「ほら越前グラス空いてるぞ、何飲む!?」
「じゃあぶどうサワーで」
「あ、カシオレもよろしく!」
「食べ物も頼もうか?」
「焼き鳥盛り合わせとか良いんじゃないかな」
「手塚は食べたいのある?」
『俺が頼んでも食べられないだろう』
呼び出しボタンを押した桃城はちびちびとウーロン茶を飲んでる海堂を見る
その考え込んでる仏頂面に、部屋の掃除をした時に見つけてしまった小さい箱の出番はもっと先になるんだろうなと思った