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ツイログ72


『隠れ桃コン』海桃+謙也

 謙也は従兄弟の忍足侑士から青学の桃城についていろいろ聞いていた。いろいろなんてレベルではない。青学と四天宝寺が試合をするまでの間だけでも数時間、その後も電話の度に聞かされていたので最低でも三十時間は超えているだろう。まるでゲームのプレイ時間だ。
 しかしそれは、あの従兄弟がそれ程までに入れ込んでいるという事だ。氷帝の仲間の事を話す時もこうはならない。一つの事に執着しないと思っていた彼がここまでの熱量で話すなんて考えられなかった。

「あいつ自分の事めっちゃ気に入っとってな、電話する度に桃城はええ奴や〜かわいい奴なんや〜って何十分も話しとるで」

「忍足さんが?」

 合宿所で桃城に伝えると、意外そうな顔をされた。最近では二言目には桃城と言うくらいだと教えるとさらに驚かれる。

「たしかに氷帝の中だとよく話す方っスけど、そんなに気に入ってもらえてるって思わなかったっスよ…ほら、忍足さんってコートの外だとクールな人じゃないスか」

 近くに居た菊丸もうんうんと頷いて初耳だと同意する。

「ちゃうねん、アレはカッコつけとるだけや。かわいい後輩にええトコ見せたい男心っちゅー話や」

「へー、忍足さんでもカッコつけたいとか思うのかぁ。そんな事しなくても十分かっこいいのに」

 その言葉を本人に聞かせてやりたいと謙也は思った。きっとすっ転んで動揺して、クールとは程遠い反応を見せる筈だ。

「忍足って桃の事そんなに好きだったんだぁ、全然知らなかったな〜」

「俺も嬉しいよりビックリしたって気持ちの方が大きいっスよ」

「まぁ侑士は思っても喋らん時が多いし、よう知らんと分かりにくいかもしれんな。せやけど従兄弟の俺が言うから間違いないで、めっっっちゃかわいがっとる! デレデレや!」

 そうしている内に何の話だと青学のメンバーが集まってくる。そして忍足が桃城を気に入っているのだと言うと全員が驚いていた。謙也からすればあんなに分かりやすいのにと思うが、従兄弟の自分と他校生では印象が違って当たり前だ。桃城の言葉を借りるなら「クールな忍足」の内側を知らなければ気付かないだろう。

「…だろうな」

 その中で唯一納得する反応が聞こえ、謙也は声の方向を見る。海堂だけは見抜いているように険しい顔をしていた。
 自分の仲間がいた事に謙也は喜んだが、何故海堂は分かったのかと不思議に思う。桃城のように試合をしたり、プライベートで会ったという話は聞いていない。ほとんど交流はない筈だ。なのに何故。
 その疑問はすぐに解消された。
 海堂のギラリとした目の奥には、忍足と同じものがあった。
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