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ツイログ71


『見抜く』海桃+仁

 桃城が廊下を歩いていると、正面から海堂と切原が歩いてきた。よう、と手を上げると海堂はああと返す。足を止めた桃城はすれ違った海堂の背に声を掛けた。

「仁王さん、肩幅が足りてないっスよ」

 海堂が振り向き、桃城を見る。

「肩幅?」

「海堂はもっとデカいっス」

 切原は驚き、仁王だと言われた海堂をジロジロと眺める。目つきが悪くて十分デカい、いつもの海堂だ…プリッと言うまでは。

「げぇっ!? 仁王先輩!?」

「今度は成功したと思ったんじゃが…相変わらず青学のくせ者は強敵ぜよ」

「でも結構良いセンいってますよ、あと一mくらい肩幅プラスしたら良い感じっス!」

「一m違うのは大分離れとるのう…」


 仁王はトレーニングルームの器具を使って広背筋を鍛える。今日もまた桃城にイリュージョンを見抜かれ、「海堂にしては肩幅が足りない」という指摘を受けた。
 肩幅が足りない。たしかに海堂は肩幅もデカいしゴツゴツのバキバキな体型だ、パワー重視の選手よりもゴリゴリしている。桃城と並ぶとどちらがパワータイプか分からない程だ。しかしその体格も完全に模倣できている筈なのに、桃城は足りないと言う。

 今まで仕草やプレースタイルの分析を積み重ねてきたが、ここは一度視点を変えた方が良いかもしれない。自分の肩幅を広くする事で見えるものがあるだろうとトレーニングをしながら作戦を練る。
 このイリュージョンはテニスに活かす為に磨いているわけではない。ただ単純に、青学のくせ者に勝ちたい。イタズラだろうと見抜かれっぱなしでは悔しいのだ。
 どうすれば海堂になれるか。どうすれば肩幅二mになれるか。筋肉の他に何が足りていない。

「仁王さんも背中鍛えてるんスか」

 声を掛けてきたのは海堂だった。肯定しつつ一度手を止めて呼吸を整える。

「…桃城から肩幅が足りないと言われてのう」

「肩幅?」

 首を傾げる海堂の肩幅はデカい、その下の胴体も下半身もデカい。この体格を再現しているのに、それでも桃城は足りないと言う。肩幅とは何だ、もしかすると哲学的なものなのか。

「海堂にイリュージョンしても肩幅で分かるそうじゃ、愛されてるの」

「っス、俺の桃城なんで」

 ズドン、と。ただでさえ屈強な肩幅がさらに大きくなった気がした。
 これだ。桃城の言う肩幅とは単純に見た目だけの肩幅ではなく、完璧で究極の彼氏面から生まれる肩幅だったのだ。
 仁王はヒントを与えてくれた海堂に礼を言う。海堂は何の事か全く分からないが、きっと仁王も海桃派なんだろうと前向きに受け止めた。
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