思春期100%
「海堂先輩って桃先輩にホワイトデーに何渡すんスか」
低い位置から向けられた熱い視線に海堂はいきなり何だと聞き返す 二年生がヒヤヒヤしながら見守っているとは知らない一年生達は正直に事情を説明した
「一年生みんなで桃ちゃん先輩にお返ししようって話してたんですけど…」
「ホワイトデーコーナーに行ったらお菓子がたくさんあって、全然決められなかったんです」
「で、とりあえず海堂先輩と被らない物にしようって話になったわけ」
「何でも喜ぶだろ」
「だから悩んでるんスよ〜」
桃城なら食べ物でも日用品でも何を貰っても喜ぶだろう、それが後輩からなら尚更だ
「やっぱり飴あげるんですか?」
「飴?」
やけに具体的な予想に訝しげに見下ろす
「お返しに飴を渡すとあなたが好きって意味だってテレビで言ってたんですよ」
「あとマシュマロは嫌いって意味だからあげちゃダメだって」
「よく分かんないけどエビカツバーガー奢ってあげたら?」
「何言ってんだよ越前、海堂先輩はこーゆートコで気合い入れるタイプに決まってるだろ!」
二年生はハラハラするどころの話ではなかった グラウンド百周させられるぞ、それ以上言うな、と声に出さずに伝えようとするが全く気付かれない
「…ケーキは変な意味ねぇだろうな」
険しい表情のまま海堂が呟く
「ケーキですか?」
「特に無かったはずですよ」
「海堂先輩、もしかしてケーキあげるの」
「昼休みにチーズケーキが食べたいって言ってたから作るだけだ」
「えっ、手作りっスか!?」
「手は抜かねぇ」
バレンタインに桃城が頑張って作ったなら自分も相応に力を入れなければ気が済まない
それは負けず嫌いから来ているものだが、聞いていた部員達は「すごいな、やっぱり本命のお返しは気合いが違うんだな」と誤解し、ただただ感心していた
