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思春期100%


「なぁ海堂、これ見てよ」

帰る途中で桃城がスマホを海堂に見せる 表示されていたのは雛人形と一緒に桃城と妹が写っている画像だった

「お前の家のか」

「そ、ひな祭りだから飾ってんの」

男兄弟二人の海堂の家には雛人形は無く、珍しそうに画像を見る 異性だとしっかり理解しているが、こういうところを見ると「そういえば女子だからな」と改めて思い出す

「桃の節句って事は桃ちゃんの日だな! エビカツバーガー奢りでよろしく!」

「ひなあられで良いだろ」

ケチと呟く桃城に家で何か食べるんじゃねぇのかと誘導すると、大きく頷いてちらし寿司が待っているのだと嬉しそうに言った

「ひな祭りもだけどさ、最近桃の飲み物とかお菓子とかたくさん出てるだろ
あーゆーの見ると何か親近感わくっつーか、嬉しくなっちゃうんだよなぁ」

まだ寒い日はあるが暦の上では春という事もあり、海堂もスーパーやコンビニでピンク色のパッケージに彼女の名前の一部が入っている新商品をよく目にしている

「単純すぎんだろ」

「海堂だって桃って字見たらあたしの事思い浮かぶだろ?」

「…浮かばねぇ」

正確に言えば、桃じゃなくても食べ物なら桃城が浮かんでいた 食べたいと言っていた期間限定のお菓子を見ても、ハンバーガーショップの前を通っても、学校の近くに新しい店ができても、隣のクラスの女子が思い浮かぶ
だがそんな事を言ったらまた寄り道をねだられそうで咄嗟に誤魔化した

「えっ、あたしは蛇って字見たら海堂思い浮かぶけど」

「蛇で浮かばせんな」

「だってマムシじゃん」

「マムシじゃねぇ」

桃城の家に着いても以前より辺りは暗くない 日が短い間は桃城を狙ってしまった不運極まりない哀れな不審者が病院送りにされないように送っていたが、もう少ししたら一人で帰らせても大丈夫だろう
別れ際にそう伝えようとしたが、春になると不審者が増えると聞いた事があるのを思い出して言いかけた言葉を呑み込む
まだ一人で帰らせてはダメだ、桃城の心配は微塵もしていないが不審者が危ない
どうかしたのかと見上げる桃城にまた明日と無理矢理話を切って海堂は家路についた


ランニングのついでにおつかいを頼まれ、海堂は帰りに近くのスーパーに寄った 牛乳のパックを持ってレジに向かおうとして、ピンク色が目に入り足を止める
飲み物の新商品コーナーには桃の炭酸飲料やジュースが並んでいた
ここに彼女が居たら指をさして自分に見せていただろうと思いながらパックのミックスジュースを一本手に取り、牛乳と一緒にレジへ持って行った

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