仮装
「海堂はハロウィンパーティーの仮装決めたか?」
「まだ決めてねぇ」
「じゃあミイラ男やろーぜ、忍足さんが後で包帯巻いてくれるって言ってたし」
「何でお前とお揃いの…おい包帯を巻いてくれるって何だ」
「え? 普通に手が届きにくいところも綺麗に巻いてくれるって事だろ?」
「…そんな着るのも脱ぐのも大変な仮装なんかやめておけ、使い終わった包帯を綺麗に巻き直す手間も掛かるだろ」
「そっか、脱ぐ時の事は考えてなかったな…じゃあ乾先輩とお揃いのゴーストメイド服にするか。お前はゴースト執事にしてみろよ」
「何だゴースト執事って…いや待て、乾先輩とお揃いって何だ」
「柳さんから着てくれって頼まれたんだって。黒とグレーのメイド服で、三着あるから一緒に着ないかって誘われてさぁ…あ、お前の肩幅だと着れないから諦めろよ!」
「誰が着るか! …三着?」
海堂は嫌な予感がした。乾と桃城は着るとして、もう一人の分がある。合宿所で柳乾と海桃と来ればもう一組滑り込んで来るペアは絞られる。
「…真田副部長!! メイド服ありますよ!! ハロウィンの日は誰か一人がチーム代表でメイド服着なきゃいけないって決まりがあるからここは真田副部長の出番っスよ!!」
「そのような決まりは聞いた事がないぞ!!」
遠くから聞こえてきた声に、やっぱりそうなったかと海堂は思った。