NARUTOのはたけカカシの夢小説サイトです。
短い夢
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
短 拍手ログ
シリーズ1.P1
シリーズ2.P2
シリーズ3.P3
シリーズ4.P4~5
シリーズ5.P6~7
ジャンプ機能で各シリーズに飛んでいただけると便利ですm(__)m
ーーーーーーーーー
あ、来たな…。
任務帰りの、気の抜けたオレの背中を目指して突進してくる気配を感じる。
……あのね、毎回毎回それで気配消してるつもり?
オマエそれでも忍びの端くれデショ。
もろバレバレなんだけどね。
徐々に近づいてくる気配に、きっとオレの口布の下は緩んでいるに違いない。
ドンッ
『せんぱ~いっ!!』
同時に背中に心地よい重力を感じる。
『はたけカカシの背中を捕ったりぃ~!!』
「……オマエね…、それは背中を捕ったと言わず、オレにおぶさってるだけでしょうよ…」
『上忍ともあろう人が、あたしなんかに、背中捕られていいんですかぁ~?』
「…人の話聞いてる?っていうか前より重くなったんじゃナイ?」
『ひど~いっ!せんぱいの意地悪~!』
「伊達に何回もオマエに乗っかられてるオレだと思う?」
『酷い~!体重は増えてないですよっ!!乙女に向かってセクハラ発言っ~!』
セクハラだ、セクハラだと人の背中にぶらさがって喚きだしたお前だけど、それはナイんじゃない?
オレの中で何かのスイッチがonになった。
しらないよ?
お前の性だからね?
オレの首もとにしがみついている細い手首を、強く掴み返してやる。
『……せんぱい?』
急に空気が変わったのを察して、不安げにオレの顔を覗き込むお前。
その何気ない仕草ですら愛おしい、なんてオレが想っているなんてお前は知らないだろう。
「んじゃ、ホントにセクハラしに行きますか。」
もちろん合意の上でね。
素早く印を組んでいる間もオレの背中で若干体温が上昇しているお前を感じる。
これから起こる出来事を予想して、オレの口元が益々緩んでいるのは決して悟られてはいけない。
目の前の景色が見えなくなる瞬間、オレの身体にしがみついている愛しい手に力が入るのを感じ、幸せで息が詰まりそうになった。
END
*せんぱいシリーズ2*
お、来たな…。
いつものように、いつものごとく任務帰りのオレの背中を目指してくる気配。
だからね、オマエ気配消さないのはワザとだよネ。
その可愛らしい行動に、やはりオレの口布の下は緩んでいる。
今日は背中を捕られるんじゃなくて、いっそのこと正面から身体ごと抱き締めてやろうか。
その時のオマエの顔がどうなるか楽しみだヨ。
って……。
あれ?
ど~したのヨ。
いつまでたっても背中にあの心地よい重みがやって来ない。
ど~いうことヨ。
オレの後ろにある気配とチャクラは紛れもなくアイツのものだ。しかし、いつもの勢いは全く感じられず、不審に思いながら後ろを振り向けば……。
「せ~んぱ~~い………。」
紛れもなくアイツはいた。
しかし、彼女は漫画に描写されるようなドヨ~ンとした縦線を引いているようだ。どん引きさせる重たい空気をまとわりつかせていた…。
「ど、ど~したのヨ?なんかあったか?」
「せ、せんぱい……。」
いつもの勢いは全くなく、潤んだ瞳で躊躇いがちに話すその姿に、オレが身体の奥底から甘い痺れるような感情を刺激されているって、オマエは分かってんの?
「や、やっぱりせんぱいは本の中の女の人みたいなのが、いいんですよね…。」
「はあ?」
本って、オレの愛読書のこと?
「今日、思わず本屋でその本立ち読み…したんです…。」
勇気あるね…オマエ。
って、泣きそうになりながら何を話すかと思えば。
「カカシ先輩がっ、いつも読んでるから…。気になって見たんだけど……っ…、出てくる女の人、みんな胸おっきい描写だしっ……っそれに比べて、あたしっ胸……ちっさいし………、やっぱりせんぱいは胸おっきいほうが、いいんですよね…。」
「……あのね、何を言うのかと思えば、そんなこと。」
「でも!あたしにしたら、気になりますっ…、ううっ、この間であたし貧相な胸ばれちゃったし…い、いやになったでしょ?」
ああ、ホントにオマエは何を言いだすんだか……。泣きながら馬鹿な事を言っているオマエも堪らなく愛おしいなんて、オレも完全にヤラレテルよね。
「あのね、本は本。オマエはオマエ。オレはオマエのまんまがいいの!今のそのままがいいの。」
そう言って身体ごと抱き締めてやる。言葉で言っても分からないって言うのなら、オレの態度で示すまででしょうよ。
「せんぱい……。」
もうオレのスイッチは押されちゃったからネ。
オマエを抱き締めたまま素早く印を組んで、オレの部屋へと直行するから。
イチャパラを実践したら、オマエの気にしてるバストアップにも貢献できるしね。
なんて言ったら可愛らしい顔して怒るんだろうネ。
いちゃいちゃEND
*せんぱいシリーズ 3*
何時もの様に何時ものごとく、なんら変わる事のない日常のはずだった。
「せんぱい」
と、オレの背後で囁く様に響く愛しい声は何時ものような甘えたものではなかった。
振り向いたその先に佇むのは、闇夜に溶け込んだ暗部服の女が1人。
その顔は白い狐の面で覆われ、表情を窺うことは出来ない。
右肩にあるオレと同じ小さな紋様が視界に入り、思わずオレの表情が小さく歪む。
ふいに抱き締めたい衝動に駆られるが、ぴん、と張り詰めた空気に、忍の己自身がそれを踏みとどまらせる。
「カカシ、せんぱい。」
もう一度呼ばれた名前の響きに、ほんの少しの何かが揺れているのを感じる。
ああ、彼女も己の感情と戦っているのだ。
「今から任務、行ってきます。」
「ん、気をつけて。」
後3歩ほど近づけば触れ合える事が出来るのに、お互いに一定の距離を保ったまま。
「4年、なの。最低でも。」
彼女の言葉には揺るぎない決意が感じられる。それをオレのつまらない独占欲で阻む事など出来はしないのだ。
だからと言って、
「だから、あたしの事は、忘れてくださいね。」
なんて言うお前の台詞に同意出来るほど都合のイイ男じゃないからね。
「忘れるわけないでしょうよ、オレもお前も。」
最高の笑顔で言い放ってやると、狐の面が泣いているように小さく揺れて瞬身で、消えていった。
次は真正面から抱き締めるから
シリアスEND
.
*せんぱいシリーズ4*
とにかくその時のあたしは興奮していた。肩に受けた刀傷なんか全く気にならなかったし、鼓動とともに軽く響いてくる痛みは、むしろあたしが生きていることを実感出来るものであり、走るスピードを落とすことはなかったのだ。
そのくらい嬉しくて、浮かれていて、早く帰りたかった。
チャクラを最大限に下肢に練り上げて枝から枝へと飛び移っていたが、ここで漸く速度を緩めた。
火の国の国境に入ったためだ。
後数時間も走れば、念願の木の葉の結界内に到達できるだろう。なにせ最大限の最短ルートをとっているのだ。
これで敵の心配はない筈。あとは木の葉に帰還して新しい火影様に報告をして、あたしの5年に渡った諜報任務は終了するのだ。
「せんぱい……。」
5年ぶりにあたしの封印していた言葉を出してしまった。この一瞬のようでいて果てしない時間の中あたしはあの人の事を想わない日なんて、なかった。
両手が血にまみれた所業の最中も、情報収集の為に男に抱かれている行為の時でもあたしはあなたの想いで身体中満たされていたんだ。
「カカシせんぱい……。」
もう一度愛しきものの名前を噛み締める。
カカシせんぱい、あなたはあたしの事を忘れないと言ってくれた。だから血へドを吐くような任務も達成出来たんだよ。
カカシせんぱい、5年前にその言葉を言ってくれてありがとう。
でも、あたしはあたしの為にあなたを想うのはこれで止めることにしておきますね。
この5年。
何人を殺めて、何人に抱かれたか、もう憶えていない。あたしは生きるために、任務の為に汚れ切ってしまった。
そんな汚らしい女を、あなたはまた抱くことが出来ますか。
もう5年前の可愛い後輩ではないのだから。だから、帰還してもあなたの前には現れません。
ふと目線を上に上げれば、目が覚めるような眩しい青空が広がっていた。この澄み渡る空の向こうに愛すべき木の葉が在り、そしてせんぱいがいるのだ。それだけで充分幸せな気持ちになれる。たとえ彼に2度と会うことがなくても。
あたしは走る速度を再び上げる為に、枝を蹴る両足に力を込めた。
→続きます。
.
とにかくオレは急いでいた。逸る気持ちを抑えることなど出来るはずもなく、最大限にチャクラを練り上げた両足のスピードは全く落ちることはなかった。
こんなに気持ちが昂ぶることがあっただろうか。己の奥底にここまでの熱情があったとは。
『里の誉れ』『写輪眼のカカシ』数々の異名を掲げ、それに見合う任務を冷静沈着な判断でこなしてきた筈だった。
たった数時間前までは。
それを聞いたのはほんの偶然だった。綱手様に任務報告をおこなっている最中のこと。5年に渡る諜報任務から1人の暗部がその役目を終え、帰路に着きまもなく国境に入るとの式が飛んできたのだった。
考えるよりも先に身体が動いていた。気が付けば木の葉の大門を飛び抜けて木々の間を跳んでいたのだ。
思い当たる人物なんて、1人しかいない。この5年の間1日たりとも忘れることなどなかった。
あの日オマエは、自分のことを忘れてくれと狐面の下で泣いていた。
ねぇ、オレを見くびるんじゃないよ。オレがどれだけ想い続けているかなんてなんにもわかっちゃいないね。
だからオマエの考えている事なんか全部お見通しだよ。
どうせつまんない事考えてオレの前には現われまいとでも思ってるだろうから。
そんなことオレが許すわけないでしょうよ。この5年間焦がれ続けていた渇きを満たすことなく消えるなんて、許さない。
ねぇ、昔言ったよね。オマエはオマエ、今のそのままがいい、と。
その言葉に嘘はないんだよ。何時でも全てを受け入れる覚悟はあるから。
だから最短ルートで木の葉の結界に到達して、待ち構えるよ。逃がしはしないからね。
そして、おかえり、愛してると言ってやる。
再び両下肢にチャクラを練り上げて、足元の枝から跳躍する。周りの緑が認識出来ないほどにスピードが一層速まるのを感じた。
全てを抱きしめて、もう、離さない。
End
*せんぱいシリーズ5*
ああ、やはりと言うべきか。
前方から来る懐かしいチャクラを感知して、一瞬の胸の痛みを払拭するように、あたしは狐面を被った。
己の想いを隠すために。
「逃げれると思ってるの。」
跳躍し続けるあたしの真後ろから突然響く低音。
ほぼ間合いのない距離感に身体が震える。
その胸の中に飛び込んで行きたい甘い衝動に駆られるが、クナイを握りしめその冷たさに自分の決意を甦らせる。
「後ろを捕られちゃだめでしょうよ。」
返事をする代わりに、瞬時に彼から距離をとり戦闘体勢に入る。全身に殺気を纏いながら。
先に仕掛けたのはあたしだった。
目の覚めるような青空に、キンキンとお互いが繰り出す金属音が響き渡る。そして最大限の体術を繰り出し、先輩の体幹へ蹴を狙うが、流れるようにことごとくかわされていく。
「あたしは変わったんです。」
せんぱい、もうあたしは昔のあたしじゃないの。
あなたが愛したあたしはいない。
5年前に言ったあたしの『忘れて』と言ったあの言葉通り、汚れ切ったあたしのことは忘れてください。
だから、その為には手加減はしない。
素早く印を結び、先輩に向かい幻術をかける。
ぐにゃり、とあたし達の周りの空間が歪み、今まで戦っていた森林の風景から薄暗い部屋へと変化する。
そして…その室内には喘ぐ男女が絡み合う。
快楽に身を委ね、だらしなく開いた女の口からは、組み抱かれた男の行為に応える様に喘ぎ声が出され続けている…。
喜びとも苦痛ともいえぬ表情を浮かべている女。
それは、あたしだった。
先輩の表情が小さく歪む。
「あたしは変わったと言ったでしょう。」
言いながらも胸の奥が握り潰されたような痛みを感じる。
戦意を喪失したのか、カカシ先輩の殺気が消えていくのが分かった。
狐面を被っていて良かった。きっと面の下は酷い事になっているから。
「だから、オレと別れる覚悟をしたの?」
そう言いながら近づいてくる先輩の顔は、とても愛おしいものを見るような哀しげな笑顔をしていて…、あたしを力強く抱き締めたのだった。
「なら……、なんで泣くの?」
「…あたしは変わったんです…。」
5年前と何も変わらない彼の温度と匂いに、全身が震える。あたしの心も大きく震えて、同時に幻術は消えてしまった。
「何もオマエは変わっちゃいない。5年前、同じように面の下で泣いていたオマエのままだよ。」
「でも…分かったでしょう?あたしは汚れてしまったから……。」
彼の背中に手を回す勇気も出ないまま震える声を絞り出す。
「それでもオマエがいい。オマエはオマエだ。今のままでいいんだよ。」
ああ、もう視界がぼやけて歪んでよく分からない。益々面の下は涙でぐちゃぐちゃで酷い事になっている。
「ねえ、顔見せてよ。」
そう言って先輩はそっとあたしの面を取り、ぐちゃぐちゃの顔を優しく両手で包んでくれた。
「ずっと会いたかった。おかえり。」
やっぱりあなたを忘れるなんて出来そうにありません。
先輩の広い背中に両手を回して、存在を確認するようにその手に力を込めた。
「……せんぱい、ただいま。」
「オマエが嫌だって言っても、離さないからね。」
5年分のイチャパラの埋め合わせもしないとね、と言ってカカシ先輩は5年前と何ら変わらない笑顔であたしにキスをした。
もう二度と離れないから。
End
せんぱいシリーズはこれで完結ですm(__)m
ここまで読んでいただき有り難うございました。
シリーズ1.P1
シリーズ2.P2
シリーズ3.P3
シリーズ4.P4~5
シリーズ5.P6~7
ジャンプ機能で各シリーズに飛んでいただけると便利ですm(__)m
ーーーーーーーーー
あ、来たな…。
任務帰りの、気の抜けたオレの背中を目指して突進してくる気配を感じる。
……あのね、毎回毎回それで気配消してるつもり?
オマエそれでも忍びの端くれデショ。
もろバレバレなんだけどね。
徐々に近づいてくる気配に、きっとオレの口布の下は緩んでいるに違いない。
ドンッ
『せんぱ~いっ!!』
同時に背中に心地よい重力を感じる。
『はたけカカシの背中を捕ったりぃ~!!』
「……オマエね…、それは背中を捕ったと言わず、オレにおぶさってるだけでしょうよ…」
『上忍ともあろう人が、あたしなんかに、背中捕られていいんですかぁ~?』
「…人の話聞いてる?っていうか前より重くなったんじゃナイ?」
『ひど~いっ!せんぱいの意地悪~!』
「伊達に何回もオマエに乗っかられてるオレだと思う?」
『酷い~!体重は増えてないですよっ!!乙女に向かってセクハラ発言っ~!』
セクハラだ、セクハラだと人の背中にぶらさがって喚きだしたお前だけど、それはナイんじゃない?
オレの中で何かのスイッチがonになった。
しらないよ?
お前の性だからね?
オレの首もとにしがみついている細い手首を、強く掴み返してやる。
『……せんぱい?』
急に空気が変わったのを察して、不安げにオレの顔を覗き込むお前。
その何気ない仕草ですら愛おしい、なんてオレが想っているなんてお前は知らないだろう。
「んじゃ、ホントにセクハラしに行きますか。」
もちろん合意の上でね。
素早く印を組んでいる間もオレの背中で若干体温が上昇しているお前を感じる。
これから起こる出来事を予想して、オレの口元が益々緩んでいるのは決して悟られてはいけない。
目の前の景色が見えなくなる瞬間、オレの身体にしがみついている愛しい手に力が入るのを感じ、幸せで息が詰まりそうになった。
END
*せんぱいシリーズ2*
お、来たな…。
いつものように、いつものごとく任務帰りのオレの背中を目指してくる気配。
だからね、オマエ気配消さないのはワザとだよネ。
その可愛らしい行動に、やはりオレの口布の下は緩んでいる。
今日は背中を捕られるんじゃなくて、いっそのこと正面から身体ごと抱き締めてやろうか。
その時のオマエの顔がどうなるか楽しみだヨ。
って……。
あれ?
ど~したのヨ。
いつまでたっても背中にあの心地よい重みがやって来ない。
ど~いうことヨ。
オレの後ろにある気配とチャクラは紛れもなくアイツのものだ。しかし、いつもの勢いは全く感じられず、不審に思いながら後ろを振り向けば……。
「せ~んぱ~~い………。」
紛れもなくアイツはいた。
しかし、彼女は漫画に描写されるようなドヨ~ンとした縦線を引いているようだ。どん引きさせる重たい空気をまとわりつかせていた…。
「ど、ど~したのヨ?なんかあったか?」
「せ、せんぱい……。」
いつもの勢いは全くなく、潤んだ瞳で躊躇いがちに話すその姿に、オレが身体の奥底から甘い痺れるような感情を刺激されているって、オマエは分かってんの?
「や、やっぱりせんぱいは本の中の女の人みたいなのが、いいんですよね…。」
「はあ?」
本って、オレの愛読書のこと?
「今日、思わず本屋でその本立ち読み…したんです…。」
勇気あるね…オマエ。
って、泣きそうになりながら何を話すかと思えば。
「カカシ先輩がっ、いつも読んでるから…。気になって見たんだけど……っ…、出てくる女の人、みんな胸おっきい描写だしっ……っそれに比べて、あたしっ胸……ちっさいし………、やっぱりせんぱいは胸おっきいほうが、いいんですよね…。」
「……あのね、何を言うのかと思えば、そんなこと。」
「でも!あたしにしたら、気になりますっ…、ううっ、この間であたし貧相な胸ばれちゃったし…い、いやになったでしょ?」
ああ、ホントにオマエは何を言いだすんだか……。泣きながら馬鹿な事を言っているオマエも堪らなく愛おしいなんて、オレも完全にヤラレテルよね。
「あのね、本は本。オマエはオマエ。オレはオマエのまんまがいいの!今のそのままがいいの。」
そう言って身体ごと抱き締めてやる。言葉で言っても分からないって言うのなら、オレの態度で示すまででしょうよ。
「せんぱい……。」
もうオレのスイッチは押されちゃったからネ。
オマエを抱き締めたまま素早く印を組んで、オレの部屋へと直行するから。
イチャパラを実践したら、オマエの気にしてるバストアップにも貢献できるしね。
なんて言ったら可愛らしい顔して怒るんだろうネ。
いちゃいちゃEND
*せんぱいシリーズ 3*
何時もの様に何時ものごとく、なんら変わる事のない日常のはずだった。
「せんぱい」
と、オレの背後で囁く様に響く愛しい声は何時ものような甘えたものではなかった。
振り向いたその先に佇むのは、闇夜に溶け込んだ暗部服の女が1人。
その顔は白い狐の面で覆われ、表情を窺うことは出来ない。
右肩にあるオレと同じ小さな紋様が視界に入り、思わずオレの表情が小さく歪む。
ふいに抱き締めたい衝動に駆られるが、ぴん、と張り詰めた空気に、忍の己自身がそれを踏みとどまらせる。
「カカシ、せんぱい。」
もう一度呼ばれた名前の響きに、ほんの少しの何かが揺れているのを感じる。
ああ、彼女も己の感情と戦っているのだ。
「今から任務、行ってきます。」
「ん、気をつけて。」
後3歩ほど近づけば触れ合える事が出来るのに、お互いに一定の距離を保ったまま。
「4年、なの。最低でも。」
彼女の言葉には揺るぎない決意が感じられる。それをオレのつまらない独占欲で阻む事など出来はしないのだ。
だからと言って、
「だから、あたしの事は、忘れてくださいね。」
なんて言うお前の台詞に同意出来るほど都合のイイ男じゃないからね。
「忘れるわけないでしょうよ、オレもお前も。」
最高の笑顔で言い放ってやると、狐の面が泣いているように小さく揺れて瞬身で、消えていった。
次は真正面から抱き締めるから
シリアスEND
.
*せんぱいシリーズ4*
とにかくその時のあたしは興奮していた。肩に受けた刀傷なんか全く気にならなかったし、鼓動とともに軽く響いてくる痛みは、むしろあたしが生きていることを実感出来るものであり、走るスピードを落とすことはなかったのだ。
そのくらい嬉しくて、浮かれていて、早く帰りたかった。
チャクラを最大限に下肢に練り上げて枝から枝へと飛び移っていたが、ここで漸く速度を緩めた。
火の国の国境に入ったためだ。
後数時間も走れば、念願の木の葉の結界内に到達できるだろう。なにせ最大限の最短ルートをとっているのだ。
これで敵の心配はない筈。あとは木の葉に帰還して新しい火影様に報告をして、あたしの5年に渡った諜報任務は終了するのだ。
「せんぱい……。」
5年ぶりにあたしの封印していた言葉を出してしまった。この一瞬のようでいて果てしない時間の中あたしはあの人の事を想わない日なんて、なかった。
両手が血にまみれた所業の最中も、情報収集の為に男に抱かれている行為の時でもあたしはあなたの想いで身体中満たされていたんだ。
「カカシせんぱい……。」
もう一度愛しきものの名前を噛み締める。
カカシせんぱい、あなたはあたしの事を忘れないと言ってくれた。だから血へドを吐くような任務も達成出来たんだよ。
カカシせんぱい、5年前にその言葉を言ってくれてありがとう。
でも、あたしはあたしの為にあなたを想うのはこれで止めることにしておきますね。
この5年。
何人を殺めて、何人に抱かれたか、もう憶えていない。あたしは生きるために、任務の為に汚れ切ってしまった。
そんな汚らしい女を、あなたはまた抱くことが出来ますか。
もう5年前の可愛い後輩ではないのだから。だから、帰還してもあなたの前には現れません。
ふと目線を上に上げれば、目が覚めるような眩しい青空が広がっていた。この澄み渡る空の向こうに愛すべき木の葉が在り、そしてせんぱいがいるのだ。それだけで充分幸せな気持ちになれる。たとえ彼に2度と会うことがなくても。
あたしは走る速度を再び上げる為に、枝を蹴る両足に力を込めた。
→続きます。
.
とにかくオレは急いでいた。逸る気持ちを抑えることなど出来るはずもなく、最大限にチャクラを練り上げた両足のスピードは全く落ちることはなかった。
こんなに気持ちが昂ぶることがあっただろうか。己の奥底にここまでの熱情があったとは。
『里の誉れ』『写輪眼のカカシ』数々の異名を掲げ、それに見合う任務を冷静沈着な判断でこなしてきた筈だった。
たった数時間前までは。
それを聞いたのはほんの偶然だった。綱手様に任務報告をおこなっている最中のこと。5年に渡る諜報任務から1人の暗部がその役目を終え、帰路に着きまもなく国境に入るとの式が飛んできたのだった。
考えるよりも先に身体が動いていた。気が付けば木の葉の大門を飛び抜けて木々の間を跳んでいたのだ。
思い当たる人物なんて、1人しかいない。この5年の間1日たりとも忘れることなどなかった。
あの日オマエは、自分のことを忘れてくれと狐面の下で泣いていた。
ねぇ、オレを見くびるんじゃないよ。オレがどれだけ想い続けているかなんてなんにもわかっちゃいないね。
だからオマエの考えている事なんか全部お見通しだよ。
どうせつまんない事考えてオレの前には現われまいとでも思ってるだろうから。
そんなことオレが許すわけないでしょうよ。この5年間焦がれ続けていた渇きを満たすことなく消えるなんて、許さない。
ねぇ、昔言ったよね。オマエはオマエ、今のそのままがいい、と。
その言葉に嘘はないんだよ。何時でも全てを受け入れる覚悟はあるから。
だから最短ルートで木の葉の結界に到達して、待ち構えるよ。逃がしはしないからね。
そして、おかえり、愛してると言ってやる。
再び両下肢にチャクラを練り上げて、足元の枝から跳躍する。周りの緑が認識出来ないほどにスピードが一層速まるのを感じた。
全てを抱きしめて、もう、離さない。
End
*せんぱいシリーズ5*
ああ、やはりと言うべきか。
前方から来る懐かしいチャクラを感知して、一瞬の胸の痛みを払拭するように、あたしは狐面を被った。
己の想いを隠すために。
「逃げれると思ってるの。」
跳躍し続けるあたしの真後ろから突然響く低音。
ほぼ間合いのない距離感に身体が震える。
その胸の中に飛び込んで行きたい甘い衝動に駆られるが、クナイを握りしめその冷たさに自分の決意を甦らせる。
「後ろを捕られちゃだめでしょうよ。」
返事をする代わりに、瞬時に彼から距離をとり戦闘体勢に入る。全身に殺気を纏いながら。
先に仕掛けたのはあたしだった。
目の覚めるような青空に、キンキンとお互いが繰り出す金属音が響き渡る。そして最大限の体術を繰り出し、先輩の体幹へ蹴を狙うが、流れるようにことごとくかわされていく。
「あたしは変わったんです。」
せんぱい、もうあたしは昔のあたしじゃないの。
あなたが愛したあたしはいない。
5年前に言ったあたしの『忘れて』と言ったあの言葉通り、汚れ切ったあたしのことは忘れてください。
だから、その為には手加減はしない。
素早く印を結び、先輩に向かい幻術をかける。
ぐにゃり、とあたし達の周りの空間が歪み、今まで戦っていた森林の風景から薄暗い部屋へと変化する。
そして…その室内には喘ぐ男女が絡み合う。
快楽に身を委ね、だらしなく開いた女の口からは、組み抱かれた男の行為に応える様に喘ぎ声が出され続けている…。
喜びとも苦痛ともいえぬ表情を浮かべている女。
それは、あたしだった。
先輩の表情が小さく歪む。
「あたしは変わったと言ったでしょう。」
言いながらも胸の奥が握り潰されたような痛みを感じる。
戦意を喪失したのか、カカシ先輩の殺気が消えていくのが分かった。
狐面を被っていて良かった。きっと面の下は酷い事になっているから。
「だから、オレと別れる覚悟をしたの?」
そう言いながら近づいてくる先輩の顔は、とても愛おしいものを見るような哀しげな笑顔をしていて…、あたしを力強く抱き締めたのだった。
「なら……、なんで泣くの?」
「…あたしは変わったんです…。」
5年前と何も変わらない彼の温度と匂いに、全身が震える。あたしの心も大きく震えて、同時に幻術は消えてしまった。
「何もオマエは変わっちゃいない。5年前、同じように面の下で泣いていたオマエのままだよ。」
「でも…分かったでしょう?あたしは汚れてしまったから……。」
彼の背中に手を回す勇気も出ないまま震える声を絞り出す。
「それでもオマエがいい。オマエはオマエだ。今のままでいいんだよ。」
ああ、もう視界がぼやけて歪んでよく分からない。益々面の下は涙でぐちゃぐちゃで酷い事になっている。
「ねえ、顔見せてよ。」
そう言って先輩はそっとあたしの面を取り、ぐちゃぐちゃの顔を優しく両手で包んでくれた。
「ずっと会いたかった。おかえり。」
やっぱりあなたを忘れるなんて出来そうにありません。
先輩の広い背中に両手を回して、存在を確認するようにその手に力を込めた。
「……せんぱい、ただいま。」
「オマエが嫌だって言っても、離さないからね。」
5年分のイチャパラの埋め合わせもしないとね、と言ってカカシ先輩は5年前と何ら変わらない笑顔であたしにキスをした。
もう二度と離れないから。
End
せんぱいシリーズはこれで完結ですm(__)m
ここまで読んでいただき有り難うございました。