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短い夢
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短4
要するにすきなの
あたしは今非常に機嫌が悪い。
今の時刻が真夜中の2時過ぎ、というのもある。
熟睡を邪魔されたから、もある。
そして目の前にあり得ない光景。と言うより人物?!
あたしの部屋の窓になぜ、はたけカカシが腰掛けているのか?
「……なにしてんの?……」
寝起きで全く働かない頭に、この理解不能な光景は、どう転んでも日常とかけ離れている。
ようやく口から吐き出された言葉は、かすれたそれで、精一杯。
『なにって、##NAME1##の部屋にいるんだけど?』
ごく当たり前のように、なに馬鹿なことを聞いているのかと言う雰囲気を醸し出していますけどね!
そして片目しか見えてないそれがニヤりと意地悪く動く。
『お前、酷い顔だネ~』
その発言もおかしいだろうっ!
「あたしの顔はどうでもいいわっ!何で、夜中に、ウチの部屋の窓から不法侵入してるのかってことを聞いてるンですけどっ」
カカシは一気にまくし立てたあたしの言葉なんか気にもしていないようだ。
よいしょっと、自分家の如く、窓から降りて(ちょっと!土足厳禁っ!!)
あろうことか、あたしのいるベッドに背もたれて、ベストを脱ぎだしている!
「ち、ちちちょっとっ!!なにしてんのよっ!」
『……なにって、汚れたから脱いでんだけど。』
これまた、冷ややかな目で振り返ったかと思うと、当たり前の様に額当てを外し、口布もさらりと首もとに下ろす。
はい、はい、おそらくその服の返り血とおぼしき黒ずみやら泥やら土やらの汚れからして、S級並みの任務帰りなことは、寝呆け眼の私でも容易に想像できますよ。
けどね、涼しげな顔をさらけだして爽やかな笑顔で何上半身も曝け出してるんですかぁ~~!!!
もう呆れて開いた口がふさがらないとはこの事だ。
カカシはいきなりアンダーごと上半身の忍服を脱ぎだし目の前に整った色気のある胸板があるのだから、あたしの心臓は跳ね上がる。
「……何みてんの?まさかオレに欲情した?」
「!!!なっ!!!っそんなわけっあっあるわけないじゃないっ!!」
クックっと喉を鳴らして笑うカカシの顔はまさに意地悪を絵に描いたようだ。
……この男はわざとだ。わざとあたしの反応を遊んでいる。
「オレ風呂にはいるだけダヨ?」
「はぁ?」
「あ、適当に使わせてもらうからおかまいなく。」
「ち、ち、ちょっとっっ!?」
今この男は風呂って言った?てきとうにって何を?!。
しかもあたしの返答を待たずして、しれっと、当たり前の様にバスルームに消えていった……のだけれど。
* * * *
カカシが何故かバスルームでシャワーを浴びている。
ここは誰の家?
……考えなくてもあたしの家だ。
なんで?
なんであたしん家で任務の汚れを落としてんだ。
いつまでたっても思考はまとまらず、疑問符ばかりが頭のなかを渦巻いていく。
カカシのあたしに対する態度は謎だらけだ。
バスルームから聞こえる水音がますますあたしの思考能力を奪っていく。
なんで?
なんで?あたしはカカシにからかわれてんだ?
また疑問符のリピート。
この間の一件から、益々カカシの事が解らない。
なんで今までそこら辺の石ころの様な扱いだったのに、キスしたんだ。
なんであたしをだきしめたんだ。
急に甦るあの日の出来事。
何故か待機所で2人きりになってしまったあの日。
アカデミー以来顔を合わすこともなく、上忍になってからも避けていたカカシと2人きり。
なんであたしは逃げなかったんだろう。
あの時理由をつけていくらでも立ち去ることが出来ただろうに。
なんで、あたしは今もあの時もバカみたいに逃げないんだ。
……あたしはバカだ。
ほんとうにバカだ。
逃げない理由なんか分かり切ってる。
カカシを好きだから。
アカデミーの時から。
ずっと。
アカデミーでは、あの銀髪が視界に入るだけで、鼓動が高鳴っていたんだ。
一緒だ。昔も今も。
この鼓動の高鳴りの感覚。
ふいに、自分の気持ちかクリアになった様な感覚。
答えが出た気がした。
結局のところカカシから逃げてても何の解決にもならない。
それならいっそ、自分の気持ちをぶつけてみる?
自分の気持ちにケリがついたかと思ったら今度は別の思いに葛藤することになるなんて。
あたしは自分のこの目まぐるしい嵐の様な感情をどう収拾させるのか、考えまくった結論が、カカシへの愛!?の告白なんて。
ほんとうにどうかしてる。
「何がどうかしてんの」
どの位の時間がたっていたのだろう。
けど、カカシがシャワーを浴びていた間中あたしは考え込んでいたらしい。
カカシの声で急に現実に引き戻された。
しかも口には出していなかったはずの気持ちが、どうやら独り言になっていたようで。
ベッドに突っ伏していたあたしは、声のした方向へ顔を上げた…。
!!!
直ぐに顔を上げてその姿を見てしまったことを激しく後悔する。
「ち、ちちちょっと!な、なにか着てよっ!!!」
あたしのいるベッド横で立っている彼はまさにシャワーからの上がりたてで、腰にはバスタオル一枚巻き付けているだけの姿だった。綺麗に引き締まった身体は、ほんのりと湯気に包まれていて、男の艶を醸し出している。その様が余りにも……、あたしには衝撃的で……。
思わずまたベットに顔を埋めてしまった。
ダメだ。今のあたしには直視出来ない。
カカシへの気持ちを再確認して、あろうことか告白!なんてものをしようかと思ってた考えはぐらんぐらんと揺らいでいる。
クックと喉を鳴らして意地悪く笑っている音が頭上付近で聞こえた。
やっぱりからかわれている。ベットマットにあたしは顔を埋めてるので、カカシの顔は勿論見えていない。けど、意地悪くニヤついた表情が想像できる。
あたしの反応をいつもみたいに面白がってるだけだ。
「なんか着てって言われてもね、##NAME1##ん家にオレが着れる服あんの?」
「……ない。」
「##NAME1##にはお泊まりするような男はいないからネ~。」
かわいそうにね~と呟きながら、当たり前のようにベットに腰掛けてくる。何げにバスタオル一枚巻き付けてるだけなんですけど!
「ほっといてよ…。あたしん家なんかより、カカシのお泊まり用の服がある女のとこに行けば良かったじゃんっ!」
「オマエね~、オレってどんな男だと思われてんのヨ。」
「…任務の数だけ女がいる。」
言ってやった。どうだっ、あたしが上忍になった頃に聞いていたカカシに関する噂だ。
ホントの事だろうから反論出来ないんだろう。
憎まれ口を叩いていたカカシがしばらく黙ってしまった。
「##NAME1##…オマエもそんな風に思ってんだ。」
急に今までの口調から優しい声色で言葉を出して、ふいに優しくあたしの髪を撫でる感触。
な、なに?急にこの展開は!
いつもと違う雰囲気に呑まれそうになる。
「あっ、いやそんな、それってあたしが上忍になったころの噂だしっ、任務の数だけなんてっ大袈裟なっ、多分あ、あれじゃない?遊ばれた女の5、6人がムカついて流したうわサ~~~~~いでで~~~いいィ゛!!!!!」
ふいに両頬に走るえげつない激痛。カカシさんよ、必死にフォローしている乙女のデリケートなほっぺたを掴んでこねくり回してるのは、一体なんの冗談ですか?
「オマエねぇ~~~オレに喧嘩売るなんてイイ度胸してるねぇ~~~」
笑顔で優しい口調ですが、目は全く笑ってませんけどね!しかも頬をこねくり回してる力も全く緩めてないし!
一瞬でもフォローしようとした乙女心を返してほしい(泣)
「カ、カカシ゛…いだいから…はなじで…」
「ん~どうしようかなぁ~?、##NAME1##がオレの言う事聞いたら離さないでもないケド?」
さあどうする?と言うようにカカシの笑顔はいつもの意地悪いスイッチが入っているようだ。
何とかして彼の腕をあたしの頬から引き剥がそうとするも、いかんせん相手は上忍の男、しかも写輪眼のカカシだ。全く腕は微動だにしない。
ますます熱いほどに痛くなる頬を解放してほしくて苦し紛れに言ってしまった言葉に後で後悔するのだが。
「~~!な゛んでもいいがら~っはなじでよぅ~~!」
「それって言う事聞くってことだよネ?」
「…………うぅ~~ウン(泣)」
ようやく頬の痛みから解放されてカカシの顔を見れば……。
物凄い悪魔の微笑みを浮かべているカカシの顔が……これまた物凄く近かった。
* * * *
頬と背中が熱い。
正確には、つねられて、ジンジンと痛みの名残が残っている頬に意識を集中しようと努力している。
問題はもう一方の背中だ。こちらも正確には《あたしの身体後面全体》と言うべきか。
痛みの残る頬に意識を集中させないと、《身体後面》に嫌でもその存在を(体温?!)感じでしまうからだ。
…要するに、ベットにカカシも一緒に横になっている状態。
誰かと一緒に寝ることを想定して購入はしてないので(当たり前だっ!カカシじゃあるまいしっ)シングルサイズで狭いため、必然的にくっついて寝る羽目になっている。
これは何の罰ゲーム??
カカシの体温やら頭上付近にかかる息遣いやら、物凄くリアルなカカシを嫌でも感じてしまい、あたしの身体は微動だに出来ない。
しかも、カカシの片腕!!布団の上とはいえ、あたしの腰付近に置かれてるし。
既にあたしの心臓は半端なく走りまくっている。
こんなんで、寝れるわけが………ない。
* * * *
……どれくらいの時間が過ぎたんだろう。
身体の後ろにあたしの全神経が集中してしまい、心臓がバクバクしまくっている。
そんなことをしってか知らずか(あいつの事だから知ってるに決まってるけどね!)カカシは一言も発する事なく、不気味なくらい静まり返っている。もちろん、あたしの腰付近に回された腕もそのままだ。
気が付けば、夜が明け始めてきたようで、灯りが消された室内もぼんやりと色づき始めている。
完全に寝不足だ。
今日が非番であることに心底感謝をしてしまう。
この状況はいただけないけど……。
「##NAME1##」
「っ……!」
突然耳元に響く甘い低音。必要以上に体が震えてしまったのは、痺れる様な甘い疼きが走ったから。
「寝れた……?な~んて、寝れるわけないか。」
「ちょっと…この腕どかしてほしい……。」
「イヤだね。退かしたら##NAME1##逃げるから。」
「当たり前でしょっ」
「……そんなこといわずにさぁ、今日はオレに捕まえられててヨ。」
その時のカカシの声が少し寂しげに聞こえたのは、気のせいだろうか。
「カカシ?」
その途端強い力であたしの身体は反転し、カカシの顔が目の前にあるため顔の熱は下がることもなく、沸騰したままだ。
いつになく優しい眼の彼に見惚れてしまう。
「……オレね、思い出つくりに来たの。」
予想外の彼の言葉に少し困惑する。
「明後日から、里を離れるんだわ。オレ。」
「……。」
忍が任務で里を離れるなんて何時もの事だ。それなのに改めて《里を離れる》と言う表現をするのは余程の長期なのかと想像出来、あたしの顔の熱が一気に下がった気がした。
「……どのくらい、なの?」
「1年…もしかしたらもうちょっと延びるカモ……。」
カカシは少し微笑んでその期間を告げたけれど、あたしの顔は凍り付いたままだ。
「オレの姿、1年見れないから嬉しいデショ、」
言葉の出ないあたしをよそに、至近距離で冗談めかしながら何を言ってるんだろう。
「オレ昔から##NAME1##に冷たかったからネ~、嫌われても仕方ないか……。」
あたしに考える隙間も与えずに目の前の男は話を続ける。
「…オレも素直じゃないんだよネ、特にオマエに関しては…。」
「なに、それ。」
「アカデミーの頃から##NAME1##に冷たくしてただろ?」
「……意地悪だったの自覚してたんだ。」
「全部オマエの気を引くためだし。」
あたしの体温が再度沸騰する。
カカシの大きな手に両頬を優しく包まれていた。
ここでこんな言葉は反則だよ。
「色んな女と付き合ってたくせに。」
胸の高鳴りを打ち消すかの様に、自身の口から出た言葉は、あたしもカカシ並みに素直じゃない証拠だ。
「##NAME1##からオレの事追っかけてきて欲しかったのに、近寄っても来てくれないから。」
「なによそれ……、こどもみたい、ばっかじゃないの」
女の噂が絶えなかった頃のカカシは上忍であたしは中忍。近寄りたくても近寄れなかったんだと言いたかったけど、代わりに出てきたのは溢れんばかりの涙だった。
どうやらあたしの涙腺が壊れたらしい。
あたしの頬を包んでいるカカシの両手にも、涙は流れていき、きっと色気なく彼の手を濡らしている。それでいて、指先でとめどなく流れてくるものを優しく拭ってくれていると気付き、またあふれ出る涙を止める術をあたしは知らなかった。
「あたしはカカシに振り回されっぱなしだよ。」
「うん」
「バチが当たったんだよ、長期任務。」
「うん」
「好きな男にずっと冷たくされてたんだから。」
「……。」
「1年間あたしの事だけ想ってて。」
「……。」
「カカシのこと好きだよ。」
素直に自分の気持ちを口にした途端にあたしの顔はカカシの胸に引き寄せられた。
「オレも好きだよ…。」
すっぽりと身体ごとカカシに包まれて、頭上から甘い低音が響く。
あたしはその痺れるような疼きに身を任せて、返事をする代わりに彼の背中に腕を回した。
しばらくの間あたし達は幸せな余韻に浸り、暖かな体温を感じていたのだけれど……。
もちろんあたしの涙は止まっているし、しだいにほぼ裸のカカシと抱き合っているという状況に意識がクリアーになってくる。
……どうしよう……とてつもなく凄い状態なんですけど。
ふいに沈黙を破る低音。
「想い出作りに来たって言ったヨネ」
「…うん。」
「つくるよ。」
「は?あっ…ッ、んっ~。」
あたしの答える隙間もなく、唇を押しあてられる。
それはキスというよりも吸い付かれているという感覚で、しだいに深く入りこんでくる舌にあたしは身体の奥から込み上げる甘い痺れを感じていた。
もう我慢の限界、と耳元で囁かれて、あたしもだよ、と恥ずかしさのあまり消えいるような小声で答えた。
そこから先はお互いの身体の熱に浮かされたように、あたし達は何度も何度も抱き合った。
まるで今迄の想いを確かめるかの様に。
* * * *
「……腰が痛い……。」
目が覚めたらもう夕方近くのようで、流石にあたしの身体のあちこちが悲鳴をあげていた。
隣には片肘を付いて横になりながらあたしを見ている車輪眼男。
「あ~、オレいい仕事したからネ~~。」
ニヤニヤしながら言ってるセリフが憎たらしい。
いつものカカシモードに戻ってるところも腹が立つ。
けど、そんなカカシも愛おしいなんてあたしはかなりの重症だ。
さっきの仕返しだとばかりにあたしはカカシの頬をつねってやった。
「浮気はゆるさないからね。」
「それはオレのセリフ。」
意外とオレは嫉妬深いし、独占的強いし、もう##NAME1##だけだから、と抱き寄せられて囁かれれば…。
「1年なんてあっという間だよ。」
とカカシの唇にあたしの唇を押しあててやった。
END
要するにすきなの
あたしは今非常に機嫌が悪い。
今の時刻が真夜中の2時過ぎ、というのもある。
熟睡を邪魔されたから、もある。
そして目の前にあり得ない光景。と言うより人物?!
あたしの部屋の窓になぜ、はたけカカシが腰掛けているのか?
「……なにしてんの?……」
寝起きで全く働かない頭に、この理解不能な光景は、どう転んでも日常とかけ離れている。
ようやく口から吐き出された言葉は、かすれたそれで、精一杯。
『なにって、##NAME1##の部屋にいるんだけど?』
ごく当たり前のように、なに馬鹿なことを聞いているのかと言う雰囲気を醸し出していますけどね!
そして片目しか見えてないそれがニヤりと意地悪く動く。
『お前、酷い顔だネ~』
その発言もおかしいだろうっ!
「あたしの顔はどうでもいいわっ!何で、夜中に、ウチの部屋の窓から不法侵入してるのかってことを聞いてるンですけどっ」
カカシは一気にまくし立てたあたしの言葉なんか気にもしていないようだ。
よいしょっと、自分家の如く、窓から降りて(ちょっと!土足厳禁っ!!)
あろうことか、あたしのいるベッドに背もたれて、ベストを脱ぎだしている!
「ち、ちちちょっとっ!!なにしてんのよっ!」
『……なにって、汚れたから脱いでんだけど。』
これまた、冷ややかな目で振り返ったかと思うと、当たり前の様に額当てを外し、口布もさらりと首もとに下ろす。
はい、はい、おそらくその服の返り血とおぼしき黒ずみやら泥やら土やらの汚れからして、S級並みの任務帰りなことは、寝呆け眼の私でも容易に想像できますよ。
けどね、涼しげな顔をさらけだして爽やかな笑顔で何上半身も曝け出してるんですかぁ~~!!!
もう呆れて開いた口がふさがらないとはこの事だ。
カカシはいきなりアンダーごと上半身の忍服を脱ぎだし目の前に整った色気のある胸板があるのだから、あたしの心臓は跳ね上がる。
「……何みてんの?まさかオレに欲情した?」
「!!!なっ!!!っそんなわけっあっあるわけないじゃないっ!!」
クックっと喉を鳴らして笑うカカシの顔はまさに意地悪を絵に描いたようだ。
……この男はわざとだ。わざとあたしの反応を遊んでいる。
「オレ風呂にはいるだけダヨ?」
「はぁ?」
「あ、適当に使わせてもらうからおかまいなく。」
「ち、ち、ちょっとっっ!?」
今この男は風呂って言った?てきとうにって何を?!。
しかもあたしの返答を待たずして、しれっと、当たり前の様にバスルームに消えていった……のだけれど。
* * * *
カカシが何故かバスルームでシャワーを浴びている。
ここは誰の家?
……考えなくてもあたしの家だ。
なんで?
なんであたしん家で任務の汚れを落としてんだ。
いつまでたっても思考はまとまらず、疑問符ばかりが頭のなかを渦巻いていく。
カカシのあたしに対する態度は謎だらけだ。
バスルームから聞こえる水音がますますあたしの思考能力を奪っていく。
なんで?
なんで?あたしはカカシにからかわれてんだ?
また疑問符のリピート。
この間の一件から、益々カカシの事が解らない。
なんで今までそこら辺の石ころの様な扱いだったのに、キスしたんだ。
なんであたしをだきしめたんだ。
急に甦るあの日の出来事。
何故か待機所で2人きりになってしまったあの日。
アカデミー以来顔を合わすこともなく、上忍になってからも避けていたカカシと2人きり。
なんであたしは逃げなかったんだろう。
あの時理由をつけていくらでも立ち去ることが出来ただろうに。
なんで、あたしは今もあの時もバカみたいに逃げないんだ。
……あたしはバカだ。
ほんとうにバカだ。
逃げない理由なんか分かり切ってる。
カカシを好きだから。
アカデミーの時から。
ずっと。
アカデミーでは、あの銀髪が視界に入るだけで、鼓動が高鳴っていたんだ。
一緒だ。昔も今も。
この鼓動の高鳴りの感覚。
ふいに、自分の気持ちかクリアになった様な感覚。
答えが出た気がした。
結局のところカカシから逃げてても何の解決にもならない。
それならいっそ、自分の気持ちをぶつけてみる?
自分の気持ちにケリがついたかと思ったら今度は別の思いに葛藤することになるなんて。
あたしは自分のこの目まぐるしい嵐の様な感情をどう収拾させるのか、考えまくった結論が、カカシへの愛!?の告白なんて。
ほんとうにどうかしてる。
「何がどうかしてんの」
どの位の時間がたっていたのだろう。
けど、カカシがシャワーを浴びていた間中あたしは考え込んでいたらしい。
カカシの声で急に現実に引き戻された。
しかも口には出していなかったはずの気持ちが、どうやら独り言になっていたようで。
ベッドに突っ伏していたあたしは、声のした方向へ顔を上げた…。
!!!
直ぐに顔を上げてその姿を見てしまったことを激しく後悔する。
「ち、ちちちょっと!な、なにか着てよっ!!!」
あたしのいるベッド横で立っている彼はまさにシャワーからの上がりたてで、腰にはバスタオル一枚巻き付けているだけの姿だった。綺麗に引き締まった身体は、ほんのりと湯気に包まれていて、男の艶を醸し出している。その様が余りにも……、あたしには衝撃的で……。
思わずまたベットに顔を埋めてしまった。
ダメだ。今のあたしには直視出来ない。
カカシへの気持ちを再確認して、あろうことか告白!なんてものをしようかと思ってた考えはぐらんぐらんと揺らいでいる。
クックと喉を鳴らして意地悪く笑っている音が頭上付近で聞こえた。
やっぱりからかわれている。ベットマットにあたしは顔を埋めてるので、カカシの顔は勿論見えていない。けど、意地悪くニヤついた表情が想像できる。
あたしの反応をいつもみたいに面白がってるだけだ。
「なんか着てって言われてもね、##NAME1##ん家にオレが着れる服あんの?」
「……ない。」
「##NAME1##にはお泊まりするような男はいないからネ~。」
かわいそうにね~と呟きながら、当たり前のようにベットに腰掛けてくる。何げにバスタオル一枚巻き付けてるだけなんですけど!
「ほっといてよ…。あたしん家なんかより、カカシのお泊まり用の服がある女のとこに行けば良かったじゃんっ!」
「オマエね~、オレってどんな男だと思われてんのヨ。」
「…任務の数だけ女がいる。」
言ってやった。どうだっ、あたしが上忍になった頃に聞いていたカカシに関する噂だ。
ホントの事だろうから反論出来ないんだろう。
憎まれ口を叩いていたカカシがしばらく黙ってしまった。
「##NAME1##…オマエもそんな風に思ってんだ。」
急に今までの口調から優しい声色で言葉を出して、ふいに優しくあたしの髪を撫でる感触。
な、なに?急にこの展開は!
いつもと違う雰囲気に呑まれそうになる。
「あっ、いやそんな、それってあたしが上忍になったころの噂だしっ、任務の数だけなんてっ大袈裟なっ、多分あ、あれじゃない?遊ばれた女の5、6人がムカついて流したうわサ~~~~~いでで~~~いいィ゛!!!!!」
ふいに両頬に走るえげつない激痛。カカシさんよ、必死にフォローしている乙女のデリケートなほっぺたを掴んでこねくり回してるのは、一体なんの冗談ですか?
「オマエねぇ~~~オレに喧嘩売るなんてイイ度胸してるねぇ~~~」
笑顔で優しい口調ですが、目は全く笑ってませんけどね!しかも頬をこねくり回してる力も全く緩めてないし!
一瞬でもフォローしようとした乙女心を返してほしい(泣)
「カ、カカシ゛…いだいから…はなじで…」
「ん~どうしようかなぁ~?、##NAME1##がオレの言う事聞いたら離さないでもないケド?」
さあどうする?と言うようにカカシの笑顔はいつもの意地悪いスイッチが入っているようだ。
何とかして彼の腕をあたしの頬から引き剥がそうとするも、いかんせん相手は上忍の男、しかも写輪眼のカカシだ。全く腕は微動だにしない。
ますます熱いほどに痛くなる頬を解放してほしくて苦し紛れに言ってしまった言葉に後で後悔するのだが。
「~~!な゛んでもいいがら~っはなじでよぅ~~!」
「それって言う事聞くってことだよネ?」
「…………うぅ~~ウン(泣)」
ようやく頬の痛みから解放されてカカシの顔を見れば……。
物凄い悪魔の微笑みを浮かべているカカシの顔が……これまた物凄く近かった。
* * * *
頬と背中が熱い。
正確には、つねられて、ジンジンと痛みの名残が残っている頬に意識を集中しようと努力している。
問題はもう一方の背中だ。こちらも正確には《あたしの身体後面全体》と言うべきか。
痛みの残る頬に意識を集中させないと、《身体後面》に嫌でもその存在を(体温?!)感じでしまうからだ。
…要するに、ベットにカカシも一緒に横になっている状態。
誰かと一緒に寝ることを想定して購入はしてないので(当たり前だっ!カカシじゃあるまいしっ)シングルサイズで狭いため、必然的にくっついて寝る羽目になっている。
これは何の罰ゲーム??
カカシの体温やら頭上付近にかかる息遣いやら、物凄くリアルなカカシを嫌でも感じてしまい、あたしの身体は微動だに出来ない。
しかも、カカシの片腕!!布団の上とはいえ、あたしの腰付近に置かれてるし。
既にあたしの心臓は半端なく走りまくっている。
こんなんで、寝れるわけが………ない。
* * * *
……どれくらいの時間が過ぎたんだろう。
身体の後ろにあたしの全神経が集中してしまい、心臓がバクバクしまくっている。
そんなことをしってか知らずか(あいつの事だから知ってるに決まってるけどね!)カカシは一言も発する事なく、不気味なくらい静まり返っている。もちろん、あたしの腰付近に回された腕もそのままだ。
気が付けば、夜が明け始めてきたようで、灯りが消された室内もぼんやりと色づき始めている。
完全に寝不足だ。
今日が非番であることに心底感謝をしてしまう。
この状況はいただけないけど……。
「##NAME1##」
「っ……!」
突然耳元に響く甘い低音。必要以上に体が震えてしまったのは、痺れる様な甘い疼きが走ったから。
「寝れた……?な~んて、寝れるわけないか。」
「ちょっと…この腕どかしてほしい……。」
「イヤだね。退かしたら##NAME1##逃げるから。」
「当たり前でしょっ」
「……そんなこといわずにさぁ、今日はオレに捕まえられててヨ。」
その時のカカシの声が少し寂しげに聞こえたのは、気のせいだろうか。
「カカシ?」
その途端強い力であたしの身体は反転し、カカシの顔が目の前にあるため顔の熱は下がることもなく、沸騰したままだ。
いつになく優しい眼の彼に見惚れてしまう。
「……オレね、思い出つくりに来たの。」
予想外の彼の言葉に少し困惑する。
「明後日から、里を離れるんだわ。オレ。」
「……。」
忍が任務で里を離れるなんて何時もの事だ。それなのに改めて《里を離れる》と言う表現をするのは余程の長期なのかと想像出来、あたしの顔の熱が一気に下がった気がした。
「……どのくらい、なの?」
「1年…もしかしたらもうちょっと延びるカモ……。」
カカシは少し微笑んでその期間を告げたけれど、あたしの顔は凍り付いたままだ。
「オレの姿、1年見れないから嬉しいデショ、」
言葉の出ないあたしをよそに、至近距離で冗談めかしながら何を言ってるんだろう。
「オレ昔から##NAME1##に冷たかったからネ~、嫌われても仕方ないか……。」
あたしに考える隙間も与えずに目の前の男は話を続ける。
「…オレも素直じゃないんだよネ、特にオマエに関しては…。」
「なに、それ。」
「アカデミーの頃から##NAME1##に冷たくしてただろ?」
「……意地悪だったの自覚してたんだ。」
「全部オマエの気を引くためだし。」
あたしの体温が再度沸騰する。
カカシの大きな手に両頬を優しく包まれていた。
ここでこんな言葉は反則だよ。
「色んな女と付き合ってたくせに。」
胸の高鳴りを打ち消すかの様に、自身の口から出た言葉は、あたしもカカシ並みに素直じゃない証拠だ。
「##NAME1##からオレの事追っかけてきて欲しかったのに、近寄っても来てくれないから。」
「なによそれ……、こどもみたい、ばっかじゃないの」
女の噂が絶えなかった頃のカカシは上忍であたしは中忍。近寄りたくても近寄れなかったんだと言いたかったけど、代わりに出てきたのは溢れんばかりの涙だった。
どうやらあたしの涙腺が壊れたらしい。
あたしの頬を包んでいるカカシの両手にも、涙は流れていき、きっと色気なく彼の手を濡らしている。それでいて、指先でとめどなく流れてくるものを優しく拭ってくれていると気付き、またあふれ出る涙を止める術をあたしは知らなかった。
「あたしはカカシに振り回されっぱなしだよ。」
「うん」
「バチが当たったんだよ、長期任務。」
「うん」
「好きな男にずっと冷たくされてたんだから。」
「……。」
「1年間あたしの事だけ想ってて。」
「……。」
「カカシのこと好きだよ。」
素直に自分の気持ちを口にした途端にあたしの顔はカカシの胸に引き寄せられた。
「オレも好きだよ…。」
すっぽりと身体ごとカカシに包まれて、頭上から甘い低音が響く。
あたしはその痺れるような疼きに身を任せて、返事をする代わりに彼の背中に腕を回した。
しばらくの間あたし達は幸せな余韻に浸り、暖かな体温を感じていたのだけれど……。
もちろんあたしの涙は止まっているし、しだいにほぼ裸のカカシと抱き合っているという状況に意識がクリアーになってくる。
……どうしよう……とてつもなく凄い状態なんですけど。
ふいに沈黙を破る低音。
「想い出作りに来たって言ったヨネ」
「…うん。」
「つくるよ。」
「は?あっ…ッ、んっ~。」
あたしの答える隙間もなく、唇を押しあてられる。
それはキスというよりも吸い付かれているという感覚で、しだいに深く入りこんでくる舌にあたしは身体の奥から込み上げる甘い痺れを感じていた。
もう我慢の限界、と耳元で囁かれて、あたしもだよ、と恥ずかしさのあまり消えいるような小声で答えた。
そこから先はお互いの身体の熱に浮かされたように、あたし達は何度も何度も抱き合った。
まるで今迄の想いを確かめるかの様に。
* * * *
「……腰が痛い……。」
目が覚めたらもう夕方近くのようで、流石にあたしの身体のあちこちが悲鳴をあげていた。
隣には片肘を付いて横になりながらあたしを見ている車輪眼男。
「あ~、オレいい仕事したからネ~~。」
ニヤニヤしながら言ってるセリフが憎たらしい。
いつものカカシモードに戻ってるところも腹が立つ。
けど、そんなカカシも愛おしいなんてあたしはかなりの重症だ。
さっきの仕返しだとばかりにあたしはカカシの頬をつねってやった。
「浮気はゆるさないからね。」
「それはオレのセリフ。」
意外とオレは嫉妬深いし、独占的強いし、もう##NAME1##だけだから、と抱き寄せられて囁かれれば…。
「1年なんてあっという間だよ。」
とカカシの唇にあたしの唇を押しあててやった。
END