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短い夢
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珍しく今日は調子の良い日だった。 早朝から駆り出された任務は、血生臭いものになるだろうと覚悟していた。 けどなんてことはない、あたしの予想はあっけなくハズレて忍服もたいして汚れることもなく、夕方には里に着くことが出来たのだ。 任務報告書もそつなく提出し終え、いつもの上忍待機所へ向かう足取りもいつもに比べると軽かったのも確か。 「あら?もう任務終わったの?オマエ」 待機所のドアを開けたそこには、珍しく幼なじみの紅がいて、笑顔で話し掛けてくれた。 あたしとは違い、下忍の師でもある多忙な彼女とは、最近滅多なことで待機所で一緒になることがなかったんだ。 思わずあたしの頬も緩む。 「久しぶりだね~。紅にここで会うのも珍しいよね。」 「ホントね。私は後3時間ほど待機したら今日は終わりなの、は?」 「あたしは今日出たの早朝だったし、任務報告したら終わっていいって火影様に言われたんだ~。」 紅とこんな風にゆっくりと会話するのも何日ぶりだろう。 時々ここで、見かけることはあっても紅はいつも上忍師同士、話をしていることが多くて、声を掛け辛かったんだ。 幼なじみといえども、紅はあたしとは違い、あたしよりも先に上忍に昇格し、そつなく任務もこなせてる。 おまけに美人なうえに、モデル並みにプロポーション抜群だし。 あ、それに引き換えあたしって、ちびだし、地味な顔立ち、おまけに貧乳じゃん。 得意な忍術も土遁と封印術ときてるから、どこまでもあたしは地味なんだと、ちょっぴり悲しくなる。 思わず久しぶりに見る紅の、同性をも魅了しちゃうその笑顔にあたしはマジマジと魅入っていたらしい。 「そんなに見つめてたら、アナ空くんじゃない?」 思いもよらぬ後ろからの低音にあたしは心臓が飛び出るかと…っていうか、ホントに飛び出たんじゃないかというぐらい驚いた。 目線を少し斜め後ろにずらせば、そこにいたのは紅の上忍師仲間である、銀髪マスク男。 待機所には完全に紅しかいない気配だったハズ。 デキる上忍ともなればこんな場所でも気配を消すものなのか? 普段あたしが紅を見かけても、なかなか声をかけられなかった理由のひとつでもある銀髪マスク男は、悪怯れた素振りもなく、ニコニコと邪気のない笑顔でいる。 これまたいつの間にか私の後ろからソファーへと移動して、目線は既にかの有名な怪しげな卑猥本に移っている。 …女の目の前で卑猥本って…どうなのよ……。 これもおできになる上忍ともなるとアリなのか? ああ、もう少し紅とたわいもない話を楽しみたかったのに…。 あたしの中で妙な緊張感が湧き出てくるのが分かる。 ああ…私はこのマスク男が苦手だ。なるべく平静を装い、心拍数が若干速まったのを悟られないように、笑顔をつくる。 「…はたけさん、も今日は終わりなんですか?」 …。少しの沈黙…。なんなのよ。これ。 名前なんてなんて呼んでいいのかわかんないよ。 っていうかあんたあたしの事なんて知らないんじゃないの? もしかしたら上忍とあたし認識されてないんじゃないか?! なんて、あまりにも目の前の銀髪マスク男が驚いた顔をして、卑猥本から顔を上げて片目を真ん丸くさせているんで、パニくり度合いもマックスになる。 そんな微妙な空気を察したのか?なんの意図があるのかどうか、紅が沈黙を破ってくれた。 …のはいいんだけど、紅の言葉に、より一層あたしの心拍数は跳ね上がる。 「そうだ…私明日の任務の打ち合わせがあるんだったわ~。 ゆっくりしたかったんだけどオマエ悪いけど、火影様のとこに行って来るわね~。 カカシ、あとはヨロシク~。」 は?紅…?取って付けたような早口のセリフは何?後3時間は待機でここにいてくれるんじゃなかったの? 半ば呆然と佇むあたしをよそに、なんとも涼しげな笑顔をして、よかったわね~カカシ、なんていう理解不能な言葉を残して紅は出ていってしまった。 …………。 気まずい。っていうかめちゃくちゃ緊張するんですけど…。 まじで苦手な人間とどうやってこの2人っきりの空間を過ごせばいいの?紅~!久しぶりに会ったっていうのにこの仕打ちは何? 「まぁ、そこじゃナンだから、こっち座ったら?」 パニくるあたしをよそに、この銀髪マスクは、さわやかに彼の横の空いてるソファーのスペースをポンポンと叩いた。 イヤイヤ…今度はあたしが目を丸くしながら、いきなりあんたの真横に座るなんてムリじゃん、なんて思いながら、しぶしぶ対面したソファーに座った。 「あ~~やっぱりそっちに座るんだよネ」 なんだかこの人ニコニコしてるんですけど。 私もしかしてからかわれてる? 「あ~オレ今日は任務終わったんだけどネ、ちょっと人待ち中だったのヨ」 「はぁ、そうなんですか。」 「……。」 きっとあたしの顔は相当変になってたんだろう。 少しの沈黙があった後 「オマエちゃんってさぁ…あんまオレと話しないよね?」 あたしの心拍数がより一層たぎるのを感じた。 彼の言った内容もそうだけど、あたしの名前を呼んだことのほうが衝撃だった。 「気になってたんだよね~、前から。」 あっけにとられてるあたしをよそに、銀髪は何だか楽しそうに会話を進めていく。 「紅達とは普通に話してんのに、オレとはあんま目をあわさないな~ってサ。」 そうだよ、あたってるよ、観察力もエリート上忍は半端ないな、なんて今も目を合わせられず、あたしから見えるのは手元のテーブルの木目模様。 うわ~あたし今ワキ汗すごいぞ。 「こうやって話するのなんて、##NAME1##ちゃんが上忍になってから初めてじゃない?」 再びあたしの名前が飛びこんできて、顔に血流が一気に上がるのがわかった。 「……。あたしの事なんて知らないって思ってました。」 思わず本音が出て顔を上げれば、銀髪の目がより一層弓なりに『ニコニコ』を絵に書いたように崩れている…。 マジでひくわ…。 あんたホントにあのはたけカカシ? そもそも、あんたにとってあたしの存在なんてそこら辺の石ころみたいなもんでしょ? 気紛れで石ころを蹴るのはやめてほしい。 (思い出したくない記憶が甦るじゃないっ) 「は?何言ってんの。オマエちゃんとはアカデミー一緒だったでしょ。」 「!………。しりません……。」 あたしの存在をこの銀髪が覚えてた。その事実にあたしの胸は不覚にも高鳴っている。ああ、悔しいことに今あたしの顔は火がついてるみたいに赤いんだろう。 この銀髪、カカシとはアカデミーが一緒でクラスも同じだったのだ。 スマートに何でもこなすカカシはその頃から目立った存在だった。 気付けば幼いあたしはいつもカカシの背中を探していたんだった。 けど、カカシのあたしに対する態度は酷く冷たいものだった。それはもう、ものの見事に意地悪だったんだ。 ああ、思い出すだけでも腹が立つぅ~。 それでも、負けるもんかとがむしゃらに修行して、追い付きたくて、追いかけて、でもカカシはあっという間に中忍になって、異例の早さで上忍になり、その背中を見ることはなくなった。 いつからだろう、カカシが女と一緒にいるのを度々目にするようになったのは。 見かける度に違う女だったし、その手の噂もよく耳にした。 マジで最低な男じゃないか。なのになんで、まわりの友人達はカカシの話題になると、色めきたつんだ。 「オレはさ、おぼえてたよオマエちゃんのこと」 「……あたしはしりません。」 あたしをあんたのまわりにいる女と一緒にするな。 「ハハッ、…オマエってかわってないネ~。意地っ張りなとことか。」 おもいっきり睨んでやってるのに、なんでこいつの目線はずっと卑猥本なんだ。 おいこら、あたしはあんたを睨みまくってんだ。殺気バリバリ出しまくってんだ。 と、唐突に銀髪が揺れて卑猥本がテーブルに置かれた。 さっきまでの弓なりの目が消えていて、思いっきりあたしと視線がぶつかる。 口布と額あてで、顔の半分以上は隠されている。見えているのは片目だけ。 ……。なのに不覚にもいつになく真剣な目に、惹かれてしまう。 「オマエちゃんさぁ……、オレがどんだけ待ったと思ってんの?」 な、何をこの男はぬかしてやがるんだ。 「オマエ上忍になるの遅すぎ。」 「わ、悪かったわね!っていうか、誰もあんたに待ってくれなんて頼んでないしっ!!」 ああ、もう顔が爆発しそう。呂律もまわらない。 「はは、なに?オマエちゃん顔まっか。」 「うるさい!」 「……。オレね、怒ってるのよ。待ちくたびれたのもあるし、さっきの、『はたけさん』ってナニ?」 「はたけカカシだから、はたけさんじゃん。」 もう、そんなに真っすぐに見つめないでほしい。カカシの眼力が強すぎる。あたしは耐えきれず、思わず目を背けた。 「その呼び方嫌がらせ?」 の声と同時にカカシの大きな手のひらがあたしの両頬を包み強引にぐい、と顔を正面にむかせた。 ち、近すぎるよ…。顔。 「オマエ。」 その表情にここで呼び捨てってズルいんじゃないの。もうあたしはこの状況に心が折れそうだ。 「カ、カカシはあたしなんか昔からどうでもよかったじゃん! あたしのことなんか石ころみたいな態度だったじゃん! 今さらナニよ!待ってたとか意味分かんない!。」 「ナニ?石ころって?その石ころにオレは今まで避けられてたんでしょうよ。」 カカシの目がまじでヤバイ。 あたしの両頬はそいつの両手にすっぽりと挟まれたままだ。 よく聞けと言わんばかりに手のひらに力が入る。 「いいか、仮にもオレの方が上忍として先輩!わかってる?」 「…は、はいッ」 その迫力に思わず否と言えず。 「だから、これからオレの事見かけたら、必ず声かけること!」 「……はぁ?」 思わず心の声が出てみればぎゅうぅ~っと思い切り両頬をつねらる。 って、い、痛いんですけどっ。 「返事はっ?」 「ふぁい…い…いふぁいぃ……。」 「後、オレの命令は絶対だからネ。」 ようやく頬の痛みに解放されたあたしは、このムチャクチャなカカシの言葉に抗議をしようとした瞬間、視界が真っ暗になった。 「!!!」 目の前には口布をはずした不覚にも見惚れてしまう整った顔立ちがそこにあり、あ、と思う間もなく、カカシの柔らかな口唇が触れた。 ガタタツ…… 急にカカシが顔を放すもんだから、あたしの体のバランスが崩れ、カカシとの間にあるテーブルに突っ伏しそうになる。 その瞬間気付けばカカシの腕の中にいた。 もう、めまぐるしく変わるこの展開に、恥ずかしいやら腹が立つやら、思考回路は完全にショートだ。 為す術もなくあたしはカカシのなすがまま。 どのくらいそうしていたのかは分からない。けど待機所の扉の向こうに人の気配を感じたあたしは、この状況にたえきれず、腕から脱出しようと試みる。 ……。抜け出せない……。 「ち、ちょっとッ…。」 あたしの火のついた顔はカカシの広い胸に押し付けられたままだ。 ど、どういう状態なんだこれは。この男は新手の嫌がらせをしてるのか? どうでもいいけどっ、静まれ心臓! 爆発しそうな動悸は、けしてときめいてるからなんかじゃない、あたしはムカついているんだ。 待機所のドアがまさに動こうという気配を感じた瞬間に、いきなり拘束が解かれた。 反射的にカカシの腕から飛び出して、この場所からも飛び出していた。 一瞬ドアでぶつかりそうになったアスマさんと目が合った気がしたけど、そんなことも気にならないくらい、あたしは必死だったんだと思う。 なんなのよ!!今日ここへ来るまでは確かにツイてる日だったのに。なんなんだっ、何でこんな目に合わなきゃいけないのっ。 っていうか、あ、アイツあたしにナニした?なんで????? 思考回路が完全に壊れたあたしは明日からのことを考えると、マジで忍をやめちゃおうか、なんて思いながら家へと向かった。 《カカシサイド》 あ~今日はいい日だったヨ。 紅からアイツの任務が夕方には終了することは聞いてたからネ。 今日こそは捕まえてやろうと思ってた。 オマエ、散々オレのこと避けておいて、このまま許せるわけないでしょうよ。 軽くキスくらいいいんじゃない? オレは色んな意味で散々待ったんだし。 後でアスマと紅には『ガキみたいだ』って呆れられたけどね。 まぁナンとでも言えっての。 いずれはオレとマンセル組む日もくるだろうし?。 (オレがそう仕向けるしね。) その為にも免疫つけといてもらわないと。 あ~、明日からの事を考えると楽しくて仕方がないヨ。 覚悟しててヨ、オマエ END →あとがき