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お題集

◯信じる占い

「先生聞いてよ!」

部屋で寛いでいるとインターホンが何回も押され、玄関を開けると恋人が胸に飛び込んでくる。
何故か異様にテンションが高いサクラを落ち着かせるために部屋の中に連れて行ってココアを渡す。
ほっ、と一息ついたサクラの隣に座る。

「で、何?」
「あ、そうだった。あのね、今日いのとよく当たるって評判の占い師のとこに行ったのね。そしたら、今の恋人と一緒にいると幸せになれるって言われたの!」

キャー、と頬を染めて嬉しそうにするサクラ。

「・・・へぇ」
「へぇって。嬉しくないわけ?」

素気なく返事をすると頬を膨らませて睨んでくる。

「いや、オレ占いとか信じてないからさー」
「だからってー。もうちょっと喜んでくれてもいいじゃない!」

プイッとそっぽを向くサクラ。
しまった、機嫌を損ねてしまった。

「でもね、サクラちゃん」
「・・・・・・」

話しかけても返事をしてくれない。
ちょっとしたことで喜んで、ちょっとしたことで不機嫌になって。
今までの彼女が機嫌悪くしても何とも思わなかったのに。
サクラにはいつも笑っていてほしい。

「その占いは信じてみたいよね」
「・・・最初からそう言えばいいでしょ」

不機嫌そうに振り向いてくれたが、すぐに嬉しそうに顔が綻びだし、またオレの胸に抱きついてくるのでオレも思い切り抱きしめた。






◯髪を切る、香水を付ける

「サクラ。髪切った?」

任務が休みの日、本屋に寄ったら偶然先生と会って、あんみつを奢ってくれるというので並んでお店に向かっている時だった。

「よく分かりましたね。さっきちょっとだけ」

だんだん任務が忙しくなって手入れが疎かになってきたせいで枝毛が増えてきた。
ずっと可愛く見られたいから定期的に美容院に行くようにしている。

「それに、いつもと違う匂いがする」

先生は顔を近づけてクンクンと鼻を鳴らしてくる。

「ちょ、近い!休みの日だけ香水付けてるんです。ダメですか?」
「いいんじゃない?そういう人結構いるし」

女の人は大変だよねぇ、と先生は笑う。

「・・・先生はこの匂い好き?」
「オレ?そうだね。人より鼻が良いからか香水の匂い苦手だけど、これは好きかな。サクラに良く似合ってる」
「・・・ありがとうございます」

にこっ、と微笑む先生から目を逸らして首筋に手を当てる。
火傷しそうなほど熱い。

ちょうど熱った体を冷やすように気持ちの良い風が吹いて香水の匂いが舞う。
今度似たような匂いの香水を探してみよう。
そしたらまた気づいてくれるかな。






◯春野サクラの可愛さ

「春野サクラって可愛くないか?」

ピクリ。

休憩室で休憩していると、中忍だろう男2人組の会話の中によく知っている名前が出てきて否応なしに反応してしまう。

「分かる。最近色っぽくなったよな」

聞いてませんよ、と書類を見ているフリをして会話に耳をすませる。

「あれって男知ったからだろうなー。誰と付き合ってんのかな」
「オレ最初から可愛いって思ってたんだよ・・・クソー!早く告白しとけば良かったー!」

──悪いね。あの子はもうオレのだから。

悔しがる男を横目に心の中でほくそ笑む。
オレとサクラが付き合っていることは一部の人間しか知らない。
オレに見合う女性になるまでもうちょっと待ってと可愛くお願いされたら断る理由はないでしょ?
それにオレのために努力してどんどん綺麗になっていく。
こんなに男冥利につきることはない。
そんなとき、部屋が控えめにノックされ、男の片方が返事をする。

「失礼します。あ、カカシ先生!・・・はたけ上忍、少しお時間宜しいでしょうか」

ドアを開けて顔を覗かせたのは渦中のサクラだった。
オレを探していたらしく、部屋の中を見て目が合うと嬉しそうに顔を輝かせる。
しかし他に人がいることに気づいてコホン、と咳払いをして改める。
恥ずかしそうにしているサクラが可愛くて頬が緩む。

「いいよ。外出ようか」

オレはサクラの腰に腕を回して引き寄せて部屋の外へと促す。
師弟以上の雰囲気を感じ取った男たちが放心としているのを肩越しに見て、オレは勝ち誇った顔でドアを閉めた。






◯幸せな時間

朝。
目が覚めると隣にいたはずのサクラがいなかった。
上半身を起こすと、キッチンから鼻歌と共にいい匂いが漂ってくる。
オレは床に落ちてる下着を手に取って、とりあえず汗を流そうと浴室に向かった。

「おはよ〜・・・」
「おはよう。ちょうどご飯出来た、って髪濡れてるじゃない」
「あー、乾かすの面倒で」
「ダメよ、ちゃんとしないと!私がしてあげるからドライヤーと櫛持ってきて。それとちゃんと服着てよ!」

タオルで濡れた髪を拭きながらキッチンに行くと、サクラは頬を染めて睨んでくる。
自分の格好はパンツ1枚。
昨日はお互い全裸で色んなことをしたのにまだ恥ずかしがるサクラが可愛い。
オレはニヤけながら洗面所に向かった。

ソファーの前に座り、ソファーに座ってドライヤーの電源を付けたサクラが髪を乾かしてくれる。

「先生の髪、フワフワで綺麗なんだからちゃんとしないと将来ハゲるわよ」
「えー?何か言ったー?」
「ふふ、なーんにも!」

ドライヤーの音が煩くてサクラが何か言ってるが聞こえない。
さっきよりも大きい声で聞こえたのは何か楽しそうで、「ま、いっか」と櫛で髪をとかすサクラと幸せな時間に身を委ねた。






◯嫉妬してません

カカシ先生は人気者だ。
里一の上忍だからしょっちゅう任務のことで話しかけられてる。
それに、モテる。
恋人の私が隣を歩いてても眼中にないとばかしに話しかけてくる綺麗な女の人たち。
先生は邪険に扱うこともなく、にこにこにこにこ。
だから近寄る女の人が絶えないのだ。
普通恋人が横にいる時に女の人と話す?
嫉妬でイライラする。
でも誰とも話しちゃダメなんて子供っぽい。
それに独占欲強すぎるのは別れる原因だっていのに言われた。
だから我慢、我慢・・・。


「サークラ、眉間に皺寄ってるけどどうしたの」

女の人と話し終えたらしい先生が私のところに戻ってくる。
ニコニコ笑っちゃって。

「別に。さっさと行きましょ」

私は気にしてません、とふいっと顔を逸らして先生を置いて歩く。
すぐに先生は追いついて私の手を取って指を絡める。
チラッと先生の顔を盗み見るとニコニコ顔。
いつも女の人と話した後の先生はいつもご機嫌だ。
最初はそんなに女の人とお喋り出来て嬉しいのか?と思っていたけど、最近ようやく分かった。
先生は私の反応を楽しんでいる。

悔しいから絶対ヤキモチ焼いてます、なんて言ってやらないんだから。


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