◉貢ぎ物
「春野さん!」
仕事終わり、里を歩いていると後ろから呼び止められた。
振り返ると1人の男の人が顔を赤くして立っていた。
「はい?」
何か用事があるのだろうか。
それならさっさと済ませて欲しい。
早く帰ってご飯を作らないと間に合わない。
男は何か言いにくそうに目線を右左に動かすだけで用事を言ってこない。
18になり少しは落ち着いた女性にはなったが、サクラは元々短気。
顔には出さないようにはしているが、イライラが爆発しそうだった。
「何か用ですか?」
我慢出来ずに聞くと、ようやく男は口を開く。
「春野サクラさん!あなたのことが好きです!!」
男は緊張のあまりか大声で告白をしてきた。
サクラは目を見開く。
周囲を歩いていた人たちも立ち止まり、この後の展開を待ち望んだ顔をして2人を見てくる。
しかも女の方は新・伝説の三忍と呼ばれている内の1人だ。
どんどん見物人が増えてくる。
サクラはこの場をどのように切り抜けようか悩んだ。
隠していたかったが、ここまで注目されたらしょうがない。
サクラはため息をついて、頭を下げる。
「ごめんなさい。今、お付き合いしている人がいるんです」
男は受け入れられるとは思ってはいなかったが、恋人発言は予想していなかったのだろう。
今度は男が目を見開き、周りの人達も同じ顔をしていた。
「だ、誰なんですか!?」
男はサクラに詰め寄る。
「え、えっと・・・」
やっぱり相手を聞いてくるか、と返事に困る。
男が近づいてきて後ずさるサクラに、男は肩を掴もうとしたその時。
「ダメだよ」
男の後ろから声が聞こえたかと思ったら、その人物はサクラの左肩を掴み男と引き離す。
そして肩に手を置いたまま背後にまわり抱き寄せる。
「カカシ先生・・・」
サクラは後ろを見上げると、その人物は優しく微笑みサクラを見下ろす。
「ろ・・・六代目火影様!?」
男は驚きのあまり目を見開きカカシを指差す。
周囲の人も突然現れたカカシに驚いている。
昔は顔の半分以上を隠し木ノ葉随一の忍として謳われ、綱手から火影の任を譲り受けたことは皆の記憶には新しい。
写輪眼が無くなったことで隠していた左目を晒してはいるが、火影岩にも刻まれたこの顔を知らない人はいないだろう。
「え・・・・・・まさか・・・火影様が・・・」
未だにカカシをさしたままの男の指がプルプルと震え出す。
カカシは男の問いかけにニッコリと微笑む。
「そ。この子は俺のだから」
そういうと笑っていた目がスッと開く。
殺気を含んだ目で睨まれた男は全身を震え上がらせ走り去っていった。
カカシは殺気を消し周囲を見渡すと、見物人たちも散っていく。
サクラは呆然としていると前に回っていた腕が離れる。
そして体を回転させられカカシと向き合う。
「大丈夫?何もされてない?」
「うん・・・。とゆうかカカシ先生、何でここにいるのよ」
ここは商店街。
夕飯の買い物をしてカカシの家に行こうとしていただけで、ここは通り道ではない。
それにまだ仕事が終わりそうにないと連絡を受けていた。
「まさか・・・仕事抜け出してきたんじゃないでしょうね」
サクラが睨むとカカシは愛想笑いをして明後日の方向を見る。
こうやってシカマルの目を掻い潜って抜け出すから仕事が終わらないんだろう、と呆れてため息をつきカカシを見ると怒っている顔をしていてビックリした。
「サクラ。今月で何回目?」
「・・・3回目」
サクラの回答に今度はカカシがため息をつく。
今月だけでサクラは3回告白されている。
新・伝説の三忍と呼ばれ始めてから時々告白はされていた。
でもその時にはカカシと付き合っていたので毎回断っていた。
だが、サクラが適齢期に入ったからか告白される頻度が多くなった。
しかし、こんな大衆の面前で告白をされたのは初めてで、まさか詰め寄られるとは思わなかった。
今までは相手がいるとは伝えずに断っていたが、さすがにそれだけでは収まりそうになくて。
カカシと付き合うようになったのは大分前で、暫くしてカカシが火影に就任してサクラも病院のことで忙しくなり、仲間たち以外に知らせるタイミングを失ってしまったのだ。
とりあえずお互い落ち着いたら公表しようとなっていたのだが、サクラへの告白が絶えなくなってきてカカシは頭を抱えていたときに起きたのが今日の出来事。
サクラは自分がどれだけ魅力的に映るか分かっていない。
年を重ねるごとに美しい女性に成長していく。
それがカカシの悩みの種だった。
いつかサクラがカカシの側を離れていくのではないかと。
「いいタイミングかな」
「え?」
難しい顔をしていたカカシは、頬を緩ませサクラの頭に手をおく。
訳が分からないサクラは首を傾げる。
「明日広報に発表するように言っておこうと思って。春野サクラは未来の火影夫人ですって」
サクラは目と口を開きカカシを凝視する。
それはつまり、プロポーズだ。
「え、ちょ、ちょっと待って!」
「え、何か問題ある?」
不思議そうに見るカカシに、サクラは顔を真っ赤にさせ口をパクパクさせることしか出来ない。
「俺はサクラを手放す気ないけど、サクラは一緒にいてくれないの?」
カカシはサクラの頬を撫でる。
眉を下げてしょんぼりする顔を見るとサクラがカカシに勝てない。
サクラは覚悟を決めるしかない。
「ずっと一緒に決まってるでしょ!火影夫人でもなんでもかかってきなさいよ!!」
サクラはそう叫んでカカシの胸に飛び込ぶ。
「さすがサクラ。そうこなくっちゃ」
カカシは胸に飛び込んできた愛しい恋人を思い切り抱きしめた。
里を騒がせる明日の見出しは「はたけカカシ、春野サクラと結婚」になりそうだ。
仕事終わり、里を歩いていると後ろから呼び止められた。
振り返ると1人の男の人が顔を赤くして立っていた。
「はい?」
何か用事があるのだろうか。
それならさっさと済ませて欲しい。
早く帰ってご飯を作らないと間に合わない。
男は何か言いにくそうに目線を右左に動かすだけで用事を言ってこない。
18になり少しは落ち着いた女性にはなったが、サクラは元々短気。
顔には出さないようにはしているが、イライラが爆発しそうだった。
「何か用ですか?」
我慢出来ずに聞くと、ようやく男は口を開く。
「春野サクラさん!あなたのことが好きです!!」
男は緊張のあまりか大声で告白をしてきた。
サクラは目を見開く。
周囲を歩いていた人たちも立ち止まり、この後の展開を待ち望んだ顔をして2人を見てくる。
しかも女の方は新・伝説の三忍と呼ばれている内の1人だ。
どんどん見物人が増えてくる。
サクラはこの場をどのように切り抜けようか悩んだ。
隠していたかったが、ここまで注目されたらしょうがない。
サクラはため息をついて、頭を下げる。
「ごめんなさい。今、お付き合いしている人がいるんです」
男は受け入れられるとは思ってはいなかったが、恋人発言は予想していなかったのだろう。
今度は男が目を見開き、周りの人達も同じ顔をしていた。
「だ、誰なんですか!?」
男はサクラに詰め寄る。
「え、えっと・・・」
やっぱり相手を聞いてくるか、と返事に困る。
男が近づいてきて後ずさるサクラに、男は肩を掴もうとしたその時。
「ダメだよ」
男の後ろから声が聞こえたかと思ったら、その人物はサクラの左肩を掴み男と引き離す。
そして肩に手を置いたまま背後にまわり抱き寄せる。
「カカシ先生・・・」
サクラは後ろを見上げると、その人物は優しく微笑みサクラを見下ろす。
「ろ・・・六代目火影様!?」
男は驚きのあまり目を見開きカカシを指差す。
周囲の人も突然現れたカカシに驚いている。
昔は顔の半分以上を隠し木ノ葉随一の忍として謳われ、綱手から火影の任を譲り受けたことは皆の記憶には新しい。
写輪眼が無くなったことで隠していた左目を晒してはいるが、火影岩にも刻まれたこの顔を知らない人はいないだろう。
「え・・・・・・まさか・・・火影様が・・・」
未だにカカシをさしたままの男の指がプルプルと震え出す。
カカシは男の問いかけにニッコリと微笑む。
「そ。この子は俺のだから」
そういうと笑っていた目がスッと開く。
殺気を含んだ目で睨まれた男は全身を震え上がらせ走り去っていった。
カカシは殺気を消し周囲を見渡すと、見物人たちも散っていく。
サクラは呆然としていると前に回っていた腕が離れる。
そして体を回転させられカカシと向き合う。
「大丈夫?何もされてない?」
「うん・・・。とゆうかカカシ先生、何でここにいるのよ」
ここは商店街。
夕飯の買い物をしてカカシの家に行こうとしていただけで、ここは通り道ではない。
それにまだ仕事が終わりそうにないと連絡を受けていた。
「まさか・・・仕事抜け出してきたんじゃないでしょうね」
サクラが睨むとカカシは愛想笑いをして明後日の方向を見る。
こうやってシカマルの目を掻い潜って抜け出すから仕事が終わらないんだろう、と呆れてため息をつきカカシを見ると怒っている顔をしていてビックリした。
「サクラ。今月で何回目?」
「・・・3回目」
サクラの回答に今度はカカシがため息をつく。
今月だけでサクラは3回告白されている。
新・伝説の三忍と呼ばれ始めてから時々告白はされていた。
でもその時にはカカシと付き合っていたので毎回断っていた。
だが、サクラが適齢期に入ったからか告白される頻度が多くなった。
しかし、こんな大衆の面前で告白をされたのは初めてで、まさか詰め寄られるとは思わなかった。
今までは相手がいるとは伝えずに断っていたが、さすがにそれだけでは収まりそうになくて。
カカシと付き合うようになったのは大分前で、暫くしてカカシが火影に就任してサクラも病院のことで忙しくなり、仲間たち以外に知らせるタイミングを失ってしまったのだ。
とりあえずお互い落ち着いたら公表しようとなっていたのだが、サクラへの告白が絶えなくなってきてカカシは頭を抱えていたときに起きたのが今日の出来事。
サクラは自分がどれだけ魅力的に映るか分かっていない。
年を重ねるごとに美しい女性に成長していく。
それがカカシの悩みの種だった。
いつかサクラがカカシの側を離れていくのではないかと。
「いいタイミングかな」
「え?」
難しい顔をしていたカカシは、頬を緩ませサクラの頭に手をおく。
訳が分からないサクラは首を傾げる。
「明日広報に発表するように言っておこうと思って。春野サクラは未来の火影夫人ですって」
サクラは目と口を開きカカシを凝視する。
それはつまり、プロポーズだ。
「え、ちょ、ちょっと待って!」
「え、何か問題ある?」
不思議そうに見るカカシに、サクラは顔を真っ赤にさせ口をパクパクさせることしか出来ない。
「俺はサクラを手放す気ないけど、サクラは一緒にいてくれないの?」
カカシはサクラの頬を撫でる。
眉を下げてしょんぼりする顔を見るとサクラがカカシに勝てない。
サクラは覚悟を決めるしかない。
「ずっと一緒に決まってるでしょ!火影夫人でもなんでもかかってきなさいよ!!」
サクラはそう叫んでカカシの胸に飛び込ぶ。
「さすがサクラ。そうこなくっちゃ」
カカシは胸に飛び込んできた愛しい恋人を思い切り抱きしめた。
里を騒がせる明日の見出しは「はたけカカシ、春野サクラと結婚」になりそうだ。
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