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恋人未満(長編)

ペインがナルトを捕まえに木ノ葉を襲撃をし、オレはペインの1人と戦闘になった。
チョウザは倒れ、ペインの情報を綱手に伝えるようチョウジに託し、オレは最後の力を振り絞りチョウジへと迫る攻撃を消した。



「どうやらオレもここまでのようだよ・・・オビト・・・リン・・・」

チャクラが完全に無くなり意識が朦朧とし始め、瞼を降ろす。
瞼の裏に映るのは、最愛の師と仲間。
そしてオレを信頼し笑顔を向け、あの日約束をした桜色の少女。



ーーごめん・・・サクラ・・・・・・





***

「カカシ先生・・・?」

カカシ先生の声が聞こえたと思って後ろを振り向くがどこにもその姿はなかった。

ーー何か、すごく嫌な予感がする・・・
私の心臓は早鐘を打ち、変な汗が浮き出てくる。

「春野さん!次この人お願いします!」
「は、はい!」

私は医療班の人に呼ばれて嫌なことを振り切り新たな患者へと向きあった。



***

ナルトがペインの本体の元へ1人で向ってから暫くすると、理由は分からないがペインによって亡くなった人たちが次々と息を吹き返し始めたのだ。

「どういうこと・・・?」


とりあえずナルトが向かった場所へと向かうと、そこには木ノ葉の人々で溢れかえり、皆の表情は明るかった。
どうやらナルトがペインを倒したのだ。


私は人波をかき分けカカシ先生を探していると、後ろから「サクラ!」と呼ばれて振り返るとそこにはチョウジが立っていた。
いつもの元気はなく、何か言いにくそうに唇を噛み締めていた。

「チョウジ・・・どうしたの?」

私が聞くと、チョウジは涙を溜め覚悟を決めた顔をして話し始めた。
それは、カカシ先生の身に起こったことだった。

「・・・・・・え?」

私はチョウジが言ったことを理解出来ずにいると、一角から歓声が上がった。


その方向を見ると、奥から動けないナルトをおぶったカカシ先生が現れたのだ。

子供たちがナルトを取り囲み、私は人波をかきわけてナルトに近づいて抱きしめた。


みんなでナルトを胴上げをしても皆の昂りは収まらず、ナルトは未だに囲まれていた。
里のみんなに忌み嫌われていたナルトが今では里の中心となっているのを見ていると自然に笑顔になる。




私はナルト達から離れ周りを見渡すと、みんなから離れた所で木に背を預けているカカシ先生を見つけた。
近づいてくる私に気づいた先生は木から背を離して微笑んでくる。

「サクラ、聞いたよ。大活躍だったんだってね」

嬉しそうに話してくるカカシ先生の手を取って歩き出す。

「え、ちょっと、サクラ?」

後ろで慌てる先生を無視して、私は目的地へズンズンと歩いた。



***

そこは怪我人などを運び入れる仮設テント。
無言で椅子を指差すと、カカシ先生は私の顔色を伺いながら座る。
私は先生の後ろに回り背中に手を当ててチャクラを流す。


「ちょ、サクラ、オレは大丈夫だから!お前だ・・・て・・・」

慌てて振り返ったカカシ先生は、私の手を掴んだまま目を見開き止まった。
何故なら私が大粒の涙をボロボロ流していたから。
先生は涙を流す理由を察して、座ったまま私の涙を拭ってくれる。


「・・・聞いたんだな。オレが死んでたの」

その言葉に私の涙はさらに溢れる。
カカシ先生は立ち上がって私を抱きしめてきた。
いきなりの行動にビックリして涙が止まった。
先生は背中に回していた手を赤子をあやすように撫でてくる。


「心配かけてごめんな。でも、オレはちゃんと生きてるよ」


先生はそう言ってさらに強く抱きしめてくれて、私の心は先生の温かさに癒されていく。
私は手をカカシ先生の背中に回すと先生の体がピクっと動いたが、体を離さずそのままでいてくれた。
その温もりを感じながら、私は目を閉じた。





ーーあぁ
私はもうこの温もりを離せない。


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