恋人未満(長編)
ナルトの修行をしていたある日、暁との闘いでアスマが殉職したことを聞かされた。
(アスマ・・・結局お前の話聞けなかったな・・・)
アスマの葬儀に参列し墓を見ながら最後の会話を思い出す。
昔からなにかと気にかけてくれ、兄の様であり悪友だった存在。
目線をアスマ班に向けるとシカマルはおらず2人だけだった。
アスマは幸せだっただろう。
最愛の生徒たちに看取られたんだ。
忍の世界で誰かに最後を看取られるなんて良いほうだ。
俺もそんな最後を迎えられるだろうかと思ったが、リンを手にかけておいてそんなことがあると思っているのかと、心の中で苦笑する。
目線を2人から傍らにいるサクラに移す。
スカートを握りしめ、赤い目を伏せていた。
そんな彼女を見て、ある想いを抱いてしまった。
アスマの葬儀から暫くして。
こっそりと監視を付けていたシカマルに動きがあり、チョウジといのと会っていた。
あのアスマの弟子たちだ。動かないわけがない。
あの子達が動けるよう俺も準備をして、とある場所へと向かった。
人々で賑わう里も夜の帳が下りる。
建物の屋根を移動し、窓が開けられた部屋に降り立つ。
「サクラ」
電気が消えた部屋でベッドの上に座り写真立てを手にしていた少女に声をかける。
写真から顔を上げた少女は驚いた顔をしていた。
「カカシ先生・・・どこか行くの・・・?」
「ああ。シカマルたちとね」
聡い彼女なら俺の格好とこの言葉だけで分かるだろう。
泣きそうな顔をしたサクラは俺の腕を掴む。
「行かないで・・・先生。もうこれ以上大切な人がいなくなったら・・・」
堪えていた涙は頬を伝い、緑の瞳は潤みエメラルドのように煌めく。
死なないと思っていたアスマが死んで、忍に付き纏う死を実感したのだろう。
そんな彼女を見て葬儀の時のことを思い出した。
もし俺が死んだら彼女はどうなるのだろうかと。
ナルトかサイの胸で俺のことを想って泣くのだろうか。
それとも気丈に振る舞って1人で泣くのか。
泣いてくれるのならどちらでもいい。
彼女の胸の中を一時でも独り占め出来るのなら。
いつもサスケで埋まるサクラの中に残れるのなら。
そんな想いを抱きながら腕を掴み泣くサクラを抱きしめたいと思ってしまった。
だがこの体を抱きしめたらもう進めない。
ずっと胸に掻き抱いて閉じこもってしまいたくなる。
だが、そんなことは許されない。
自分でこの道を選んだのだから。
「サクラ」
ようやく出た俺の言葉にサクラの体がビクッと揺れる。
そして顔を俯かせたまま体を離す。
本当に聡い子だ。
俺の言いたいことが分かったのだろう。
「行ってくるよ」
サクラの頭を撫でて、そのまま窓から地面へと飛び降りる。
必ず帰るとも待っててとも言わない。
そんな約束が出来る闘いではないのだから。
あうんの門に着くと、里を出ようとするシカマルたちと綱手が言い争いをしていた。
そんな綱手を言いくるめ、俺が入り第十班として里を出た。
暁の元へ向かう3人の背中を見て感慨深くなる。
俺たちに守られていた子供たちがどんどん成長していく。
ナルトやサクラ、この子達が俺たちの背中を追い抜いて行く日も近いだろう。
ーーなぁ、アスマ。
お前が一番この子達の成長を楽しみにしていたのにな。
俺はいつまでこの子達を見ていけるだろうか。
出来ることなら
里がこの子達の時代になっていくところを見届けたい。
そしてお前と酒を酌み交わしながら語り合いたいよ。
(アスマ・・・結局お前の話聞けなかったな・・・)
アスマの葬儀に参列し墓を見ながら最後の会話を思い出す。
昔からなにかと気にかけてくれ、兄の様であり悪友だった存在。
目線をアスマ班に向けるとシカマルはおらず2人だけだった。
アスマは幸せだっただろう。
最愛の生徒たちに看取られたんだ。
忍の世界で誰かに最後を看取られるなんて良いほうだ。
俺もそんな最後を迎えられるだろうかと思ったが、リンを手にかけておいてそんなことがあると思っているのかと、心の中で苦笑する。
目線を2人から傍らにいるサクラに移す。
スカートを握りしめ、赤い目を伏せていた。
そんな彼女を見て、ある想いを抱いてしまった。
アスマの葬儀から暫くして。
こっそりと監視を付けていたシカマルに動きがあり、チョウジといのと会っていた。
あのアスマの弟子たちだ。動かないわけがない。
あの子達が動けるよう俺も準備をして、とある場所へと向かった。
人々で賑わう里も夜の帳が下りる。
建物の屋根を移動し、窓が開けられた部屋に降り立つ。
「サクラ」
電気が消えた部屋でベッドの上に座り写真立てを手にしていた少女に声をかける。
写真から顔を上げた少女は驚いた顔をしていた。
「カカシ先生・・・どこか行くの・・・?」
「ああ。シカマルたちとね」
聡い彼女なら俺の格好とこの言葉だけで分かるだろう。
泣きそうな顔をしたサクラは俺の腕を掴む。
「行かないで・・・先生。もうこれ以上大切な人がいなくなったら・・・」
堪えていた涙は頬を伝い、緑の瞳は潤みエメラルドのように煌めく。
死なないと思っていたアスマが死んで、忍に付き纏う死を実感したのだろう。
そんな彼女を見て葬儀の時のことを思い出した。
もし俺が死んだら彼女はどうなるのだろうかと。
ナルトかサイの胸で俺のことを想って泣くのだろうか。
それとも気丈に振る舞って1人で泣くのか。
泣いてくれるのならどちらでもいい。
彼女の胸の中を一時でも独り占め出来るのなら。
いつもサスケで埋まるサクラの中に残れるのなら。
そんな想いを抱きながら腕を掴み泣くサクラを抱きしめたいと思ってしまった。
だがこの体を抱きしめたらもう進めない。
ずっと胸に掻き抱いて閉じこもってしまいたくなる。
だが、そんなことは許されない。
自分でこの道を選んだのだから。
「サクラ」
ようやく出た俺の言葉にサクラの体がビクッと揺れる。
そして顔を俯かせたまま体を離す。
本当に聡い子だ。
俺の言いたいことが分かったのだろう。
「行ってくるよ」
サクラの頭を撫でて、そのまま窓から地面へと飛び降りる。
必ず帰るとも待っててとも言わない。
そんな約束が出来る闘いではないのだから。
あうんの門に着くと、里を出ようとするシカマルたちと綱手が言い争いをしていた。
そんな綱手を言いくるめ、俺が入り第十班として里を出た。
暁の元へ向かう3人の背中を見て感慨深くなる。
俺たちに守られていた子供たちがどんどん成長していく。
ナルトやサクラ、この子達が俺たちの背中を追い抜いて行く日も近いだろう。
ーーなぁ、アスマ。
お前が一番この子達の成長を楽しみにしていたのにな。
俺はいつまでこの子達を見ていけるだろうか。
出来ることなら
里がこの子達の時代になっていくところを見届けたい。
そしてお前と酒を酌み交わしながら語り合いたいよ。
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