このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

恋人未満(長編)

暁のときの闘いで万華鏡写輪眼を使い、体が動けなくなり入院することになった。
そしてサクラがサソリから得た情報で、大蛇丸の部下が現れる場所にナルト、サクラ、新たにテンゾウとサイという根の所属の奴が向かって数日。

だんだんと体が動かせるようになり、ベッドの上で上半身を起こし愛読書を読んでいた時だった。

ノックが聞こえたと思ったら返事をする前にドアが開き、身なりがボロボロのサクラが無言のまま近づいてきて俺の胸に飛び込んできた。


「サクラ、どうした?」
「・・・・・・うん」
「何かあった?」
「・・・・・・うん」


なかなか話さないまま胸に顔を埋めたサクラの薄紅色の髪を梳く。

下忍時代はこうやって飛びついてきたり、手を繋いで歩いたりと甘えてばかりだった。
サスケが里抜けをしてナルトが修行に出て、サクラも綱手様の弟子になってからは昔みたいに甘えてこなくなった。
サクラが中忍になってからは尚更。
逆に俺がサクラに甘えて世話をやいて貰ったりしていた。
気丈に振りまっていても、落ち込んだりしたときはこうやって甘えてくるから、とことん甘やかしてやる。



でも今回は違う。

里から帰ってきてそのまま病室に来たのだろう。
装備などがそのまま付いており、ふとサクラの左の二の腕にある傷が見えた。

「この傷」

二の腕に手を這わすと、サクラの体がピクっと動いた。

「ナルトか?」

サクラがガバっと飛び起き、顔を歪ませていた。
サクラが来る前、テンゾウから報告を受けていた。
サクラが顔を歪ませているのは、その理由を俺が知っていたからだろ。

「ち、違うの!!ヤマト隊長はちゃんと止めてくれたのに私が聞かないで突っ込んだからなの!だから、ナルトとヤマト隊長は悪くない!」

サクラは泣きそうな顔をしながら俺の胸元を掴む。
俺がナルトとテンゾウを叱ると思ったのだろう。
本当にサクラは優しい。
もうテンゾウは叱っておいたが。


「そうか。綱手様かシズネにでも治して貰いなさい。体も早く休ませた方がいい」

目を細め優しくサクラを見るとサクラはホッとした顔をして俯いた。
これが本題ではないのだろう。



「先生」
「ん?」

サクラはまた俺の胸に顔を埋めて喋る。

「サスケくんに会ったの」
「うん」

これも聞いていたので驚かなかった。


「・・・サスケくん変わってた。目が冷たくなってた」
「うん」
「ナルトも自分の身体を傷つけながらサスケくんを助けるために闘ってた」
「うん」

サクラの肩が少し震えていた。

「私やっと追いついたと思ったのに、また何も出来なかった。頭打って戦闘中なのに気絶してヤマト隊長に迷惑かけた。九尾になって傷ついたナルトをちゃんと治せなかった。私がちゃんと出来てたら・・・」


サクラはしゃくり上げ、俺をサクラの頭を撫でる。


「サクラはちゃんと成長してるよ」
「嘘・・・」
「嘘じゃない。誰も治せなかったカンクロウくんを治したり、チヨバア様と一緒にサソリを倒した」
「・・・・・・・・・」
「それに、サクラがちゃんと成長したと思ったから俺の班に戻した。命を預ける医療忍者に実力が伴ってない奴を選ぶつもりはないよ。それが大事な元生徒であってもね」

俺は笑いかけると、ようやくサクラの涙が止まり顔を上げてきたので、親指で拭ってやる。

「サクラ、焦るな。ちゃんとお前は成長してる。お前はきっと綱手様よりもすごい医療忍者になるよ」

そういうとプッと吹き出して、ようやくサクラの顔に笑顔が生まれる。

「なにそれ。そんなこと言って師匠に怒られても知らないわよ」
「いや、ほんとほんと」
「本当口が上手いんだから」


そう言ってサクラは俺から体を離す。


「ねぇ、先生」
「ん?」
「先生は・・・私を置いていかないでね」

サクラは寂しそうな顔をして俺を見てくる。
サスケとナルトが里を出て、置いていかれた俺たちは別の繋がりがあった。
寂しさからお互いに寄り添うように。

「ああ。俺はサクラを置いていかないよ。ずっと側にいる」

俺はそう言ってサクラの頭を撫でると、サクラは気持ちよさそうに目を瞑った。






俺たちが離れる時は

ーサクラが俺を置いていくときだ
1/8ページ