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雷雨と共に

無事に任務が終わり。
いつも通り野宿の準備をしていたら雨粒が落ちてきた。
そして一瞬で雨がひどくなり、近くの町で泊まることに。
突然の宿泊だったけど2部屋取れて、先生と私たち3人に分かれた。
それから雨風が強くなり雷も鳴り出し、部屋が取れて良かったね、とみんなでのびのびと過ごした。





コンコン。

日付が変わり、皆が寝静まった時間。
とある部屋の襖がノックされる。


「どうぞ〜」

中から間延びた返事が返ってきて襖が開く。

「せんせぇ・・・」
「ん、どうしたサクラ」

半べそになっているサクラを畳の上で道具の手入れをしていたカカシは招き入れる。

「雷が、雷が煩くて・・・」
「あー、サクラは雷が怖いのかぁ」
「違う!煩くて寝れないのよ!」
「うんうん。サクラちゃんは可愛いねぇ」
「違うったら!!」

サクラはカカシをポカポカ殴るが、カカシはニマニマ笑ってサクラの頭を撫でる。
その時、外がピカッと光り、近くで落ちたのか地響きがするほどの音が鳴り響いた。

「ひっ!!」

サクラはカカシの胸に抱きつく。
小さく震えるサクラをカカシは優しく抱きしめて背中を撫でる。

「大丈夫、大丈夫」
「うぅ〜・・・」

ポンポンと赤子をあやす様にする行為が心地よく、だんだんサクラが落ち着いてくる。

「ナルトとサスケは?」
「こんなに煩いのに熟睡よ・・・信じられない」
「はは。まぁ、あの2人が雷で怯えてるのは想像出来ないけどね」
「それはそうだけど・・・」

それでもこんな中で爆睡なんてありえない、と2人のことをグチグチ言い出し、いつものサクラに戻った様だった。


「で、どうする?まだ雷止みそうにないけど」
「うー・・・」

サクラは外をチラチラ見て、カカシに上目遣いをする。

「オレは別にいいけど、何するか分からないよ?」
「あー!私がまだ子供だからってまた揶揄うのね!こっちで寝ます!ナルトのイビキも煩いし!」

枕持ってくる、とサクラは部屋を出て行き、完全に男として意識されてないな、とカカシは苦笑した。



****



枕を持ってサクラが帰ってきたので、部屋の電気を消して一緒の布団に入る。
未だに鳴り続ける雷で怖がるサクラを安心させるために抱きしめて。

「先生、誰にもこのことは言わないでよね!」
「はいはい」

カカシの胸元辺りで頬を膨らませるサクラに、カカシは苦笑して寝る様に促す。

「家のときはどうしてるんだ?」
「お父さんのベッドに忍び込んで抱きついてる」

最近加齢臭がするから困ってるのよね、とサクラの言葉にいつか自分も言われるのだろうか、と遠い目をするカカシ。

「先生はいい匂いがするわ」
「そう?」
「うん・・・安心、する・・・」

サクラはそう言って寝息を立て始める。
カカシは気持ちよさそうに眠るサクラの髪を優しく撫でた。











****



「て、いうことが4年前にもあったよねぇ」

ニコニコ笑いながら思い出話をするカカシ。

「立派に成長して甘えてくれなくなったから寂しく思ってたけど、まだ雷は怖いなんて可愛いなぁ」
「もう、煩い!忘れてよ!!」

サクラは恥ずかしさから、枕を投げつけるが、カカシは難なくキャッチして喉の奥で笑う。


新七班での任務中。
またしても雷雨に襲われ、ヤマトの木遁で立派な家が出来た。
しかしヤマトが疲れていたこともあり2部屋しか作ることが出来ず、大人と子供に別れることに。
ヤマトと2人で任務の話をしていると、ドアをノックする音が。
ヤマトが返事をすると、情け無い顔をして寝袋を持ったサクラがひょっこりと顔を出す。
それを見たカカシは、ヤマトに適当な理由でナルトとサイと一緒に寝る様に言う。
勿論文句を言うヤマトだったが、口の上手いカカシに勝てるはずもなく、渋々部屋を出ていった。


「別にヤマト隊長が一緒でも良かったのに」
「ダーメ。男と同じ部屋なんて危ないでしょ」
「先生も男の人じゃないですか・・・」
「オレはいいの。それに約束しただろ?誰にも言わないって」

カカシは寝袋を広げ、隣にサクラのも広げる様に促す。
サクラはそれに従って寝袋を広げ、隣同士に寝転ぶ。
外はまだ雷雨が酷い。

「サクラ、手、出して」
「手?」

サクラは首を傾げながら寝袋から手を出すと、カカシは突然手をにぎってくる。

「か、カカシせんせっ!」

修行ばかりで男に慣れていないサクラは、男の大きい手に顔が真っ赤になる。

「さすがに寝袋に一緒に入って抱きしめてあげれないから手で勘弁して」
「セクハラ!それセクハラですよ!!」
「え〜?昔は抱きしめて寝たでしょ。可愛いく抱きついてきちゃって」
「忘れてって言ったじゃないですか!」

サクラは繋いだ手を折れるのではないと思うぐらい握ると、カカシから悲鳴が上がる。

「はー・・・すっかり強くなっちゃって」
「今なら先生に腕相撲で勝てますよ」
「はは。腕折られそうだから止めておきまーす」

手を繋いだまま他愛のない話をする。
班の活動がなくなり、綱手に弟子入りしてから甘えることを忘れてしまった。
中忍になってからは尚更で、綱手の弟子として恥ずかしくないように、昔みたいに弱いところを見せれなくて。
でもカカシといると昔に戻ってしまう。
あの数年間もカカシはサクラを甘味処に誘ってくれて愚痴を聞いてくれた。
それがどれだけ心の支えになってくれてたか。
この男は多分知らない。
サクラのカカシに対する想いが変わったことも。

「先生」
「んー?」
「ありがとね」

突然のお礼にビックリしたカカシはサクラを見る。
微笑むサクラにカカシも顔を綻ばせる。

「いーえ。これぐらい、いつだってしてあげるよ」
「ふふ、ありがと」




それからも話の花を咲かせ。
気づいたら雨は止んでいた。



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