short.1
「カカシ先生、何だってばよ、それ」
ナルトの声に先生を見ると、その手にはレンズが付いた小さい物が。
「インスタントカメラって言うんだと。決まった枚数の使い切りらしいんだが、性能は良いらしい。お前らの成長記録を作るから写真を撮れって三代目に言われたんだよ」
「へー」
私とナルトは先生が持っているカメラをじっくり見る。
カメラ屋さんの本格的なカメラは私たちには扱うのが難しいから、こういうのがあれば簡単に写真が撮れそう。
「ほら、3人並べ。記念すべき1枚目撮るぞ」
先生の言葉に私たちはこの場にいないもう1人を探すと、私たちから距離を取っているサスケくんを見つけて捕まえる。
「オレはいい!」
「何言ってんだってばよ、サスケ!これも任務だ!」
「そうそう!任務放棄は厳罰よ、サスケくん!」
右をナルト、左を私に掴ったサスケくんをズルズル引きずって先生の前に連れて行く。
「いくぞー」
嫌がるサスケくんを2人で押さえ込んで先生がパシャリと撮った。
「先生!これ、いつ見れるんだってばよ?」
「んー、この枚数全部撮らないと現像出来ないっぽいな」
「げんぞー?」
「ま、全部撮ってからのお楽しみってことだよ」
現像の意味が分からなくて首を傾げるナルトの頭を撫でる先生。
明らかに説明するのが面倒になったからだわ。
「じゃあ写真撮るからいつも通り修行してて」
****
「はぁ・・・」
私はクタクタの身体を引きずって木にもたれかかって座り込む。
男女の差があるとはいえ、あの2人の体力にはついていけない。
パシャ
今日1日で聞き慣れた音がまた聞こえ、発生源である隣を見る。
「サクラ、お疲れだねぇ」
いつもは片手にイヤらしい本を持っている先生は今日はずっとカメラを手にしている。
「ただでさえ疲れるのに、その音のせいで集中力が削がれるんですよ」
「はは、サクラもまだまだだね」
そう言ってまたカメラを向けて撮ってくる。
「ずっと撮ってますね。あとどれぐらい?」
「んー、あ、あと1枚だ」
「え!じゃあ私撮ってもいい?」
「いいよ」
はい、と先生にカメラを渡される。
先生が持ってたときは小さく見えていたけど、私が持ったらそれなりの大きさ。
やはり大人と子供の違いだ。
「サクラは何撮るの?って、聞かなくてもサスケだよねぇ。最後の1枚、無駄にしないようにね」
先生はへらっと、笑ってあの本を手に取る。
確かにサスケくんを撮りたい気持ちはあったんだけど。
なんでもお見通しといった隣の男の発言に、むっとする。
私は良いことを思いついて、隣に座り完全に意識が本にある先生の腕を思い切り引っ張る。
「おわ!」
パシャ
「上手く撮れたかしら。見えないから分からないわ」
私はカメラを上から見たり下から見たり振ったりする。
隣で惚けてる先生を無視して。
「・・・サクラ?」
ようやくその一言が出たようだ。
私はしてやったりと笑って。
「こんなに撮ったのに先生の写真がないから、最後は先生撮ってあげようと思ったの」
「いや、これ、お前らの成長記録だからね?」
「別に良いじゃない」
悪びれもなく言うと、先生は呆れたように笑って手を差し出してくる。
「なに?」
「現像するから返して」
「私がするわ」
「は?」
また固まる先生を他所に私はポーチにカメラを入れる。
「最後に撮ったの私だから、私が現像してきます」
「え、サクラ」
「じゃ、また明日ー!」
私はそう言って演習場の出口へと駆け走る。
カカシはサクラが去っていった方向を見て呆然としている。
「・・・まだ解散の合図出してないんだけど」
****
数日後。
カメラ屋さんに頼んだ写真が届いて封筒を開く。
カメラに気づいて睨むサスケくん、カメラに両手でピースしてるナルト、サスケくんに吹き飛ばされて転んでるナルト。
そして、2人に必死に食らいついて泥だらけになってる私、カメラに気づいて可愛く笑ってる私、先生に顔に泥が付いてるのを指摘されて真っ赤になってる私。
改めてこの時の私は恥ずかしくなる。
でも修行中の私ってこんな真剣な顔してるんだなって思えた。
それに、心なしか私の写真が多い気がする。
ペラペラと写真をめくっていくと、最後には先生と私のツーショットの写真。
腕を引き寄せられて驚いている先生と、バッチリ決め顔の私。
「ふふふ!変な顔!」
私はベッドに寝転がってその写真を眺める。
いつもの私ならサスケくんの写真で悶えるはずなのに、今は先生の方が気になる。
それはいつもは飄々としてる先生の驚いた顔が珍しいからか、それとも──。
私はベッドから起き上がって引き出しを漁る。
そしてお目当ての写真立てにツーショットの写真を入れて七班の写真の隣に飾る。
明日、先生はこの写真が無いことに気づいて聞いてくるだろう。
でもこれは絶対手放したくないから適当に誤魔化そう。
この日から私の宝物が増えた。
ナルトの声に先生を見ると、その手にはレンズが付いた小さい物が。
「インスタントカメラって言うんだと。決まった枚数の使い切りらしいんだが、性能は良いらしい。お前らの成長記録を作るから写真を撮れって三代目に言われたんだよ」
「へー」
私とナルトは先生が持っているカメラをじっくり見る。
カメラ屋さんの本格的なカメラは私たちには扱うのが難しいから、こういうのがあれば簡単に写真が撮れそう。
「ほら、3人並べ。記念すべき1枚目撮るぞ」
先生の言葉に私たちはこの場にいないもう1人を探すと、私たちから距離を取っているサスケくんを見つけて捕まえる。
「オレはいい!」
「何言ってんだってばよ、サスケ!これも任務だ!」
「そうそう!任務放棄は厳罰よ、サスケくん!」
右をナルト、左を私に掴ったサスケくんをズルズル引きずって先生の前に連れて行く。
「いくぞー」
嫌がるサスケくんを2人で押さえ込んで先生がパシャリと撮った。
「先生!これ、いつ見れるんだってばよ?」
「んー、この枚数全部撮らないと現像出来ないっぽいな」
「げんぞー?」
「ま、全部撮ってからのお楽しみってことだよ」
現像の意味が分からなくて首を傾げるナルトの頭を撫でる先生。
明らかに説明するのが面倒になったからだわ。
「じゃあ写真撮るからいつも通り修行してて」
****
「はぁ・・・」
私はクタクタの身体を引きずって木にもたれかかって座り込む。
男女の差があるとはいえ、あの2人の体力にはついていけない。
パシャ
今日1日で聞き慣れた音がまた聞こえ、発生源である隣を見る。
「サクラ、お疲れだねぇ」
いつもは片手にイヤらしい本を持っている先生は今日はずっとカメラを手にしている。
「ただでさえ疲れるのに、その音のせいで集中力が削がれるんですよ」
「はは、サクラもまだまだだね」
そう言ってまたカメラを向けて撮ってくる。
「ずっと撮ってますね。あとどれぐらい?」
「んー、あ、あと1枚だ」
「え!じゃあ私撮ってもいい?」
「いいよ」
はい、と先生にカメラを渡される。
先生が持ってたときは小さく見えていたけど、私が持ったらそれなりの大きさ。
やはり大人と子供の違いだ。
「サクラは何撮るの?って、聞かなくてもサスケだよねぇ。最後の1枚、無駄にしないようにね」
先生はへらっと、笑ってあの本を手に取る。
確かにサスケくんを撮りたい気持ちはあったんだけど。
なんでもお見通しといった隣の男の発言に、むっとする。
私は良いことを思いついて、隣に座り完全に意識が本にある先生の腕を思い切り引っ張る。
「おわ!」
パシャ
「上手く撮れたかしら。見えないから分からないわ」
私はカメラを上から見たり下から見たり振ったりする。
隣で惚けてる先生を無視して。
「・・・サクラ?」
ようやくその一言が出たようだ。
私はしてやったりと笑って。
「こんなに撮ったのに先生の写真がないから、最後は先生撮ってあげようと思ったの」
「いや、これ、お前らの成長記録だからね?」
「別に良いじゃない」
悪びれもなく言うと、先生は呆れたように笑って手を差し出してくる。
「なに?」
「現像するから返して」
「私がするわ」
「は?」
また固まる先生を他所に私はポーチにカメラを入れる。
「最後に撮ったの私だから、私が現像してきます」
「え、サクラ」
「じゃ、また明日ー!」
私はそう言って演習場の出口へと駆け走る。
カカシはサクラが去っていった方向を見て呆然としている。
「・・・まだ解散の合図出してないんだけど」
****
数日後。
カメラ屋さんに頼んだ写真が届いて封筒を開く。
カメラに気づいて睨むサスケくん、カメラに両手でピースしてるナルト、サスケくんに吹き飛ばされて転んでるナルト。
そして、2人に必死に食らいついて泥だらけになってる私、カメラに気づいて可愛く笑ってる私、先生に顔に泥が付いてるのを指摘されて真っ赤になってる私。
改めてこの時の私は恥ずかしくなる。
でも修行中の私ってこんな真剣な顔してるんだなって思えた。
それに、心なしか私の写真が多い気がする。
ペラペラと写真をめくっていくと、最後には先生と私のツーショットの写真。
腕を引き寄せられて驚いている先生と、バッチリ決め顔の私。
「ふふふ!変な顔!」
私はベッドに寝転がってその写真を眺める。
いつもの私ならサスケくんの写真で悶えるはずなのに、今は先生の方が気になる。
それはいつもは飄々としてる先生の驚いた顔が珍しいからか、それとも──。
私はベッドから起き上がって引き出しを漁る。
そしてお目当ての写真立てにツーショットの写真を入れて七班の写真の隣に飾る。
明日、先生はこの写真が無いことに気づいて聞いてくるだろう。
でもこれは絶対手放したくないから適当に誤魔化そう。
この日から私の宝物が増えた。
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