short.1
「あ」
いつものメンバーで飲み会をして、次の店に向かっている時に道端で店を出している商品に目が行く。
「なに?あら、素敵なエメラルド」
後ろから紅が覗き込んで、オレが見ているものに気づく。
それはエメラルドのネックレスだった。
普段アクセサリーなんて興味ないのに、目の端に入って反応してしまった。
それを今後悔している。
何故なら同期で上忍師をしている3人に冷やかされているからで。
「へぇ〜、あんた、こういうの興味あるんだ?」
「ただ目に入っただけだよ」
「アクセサリーなんかにお前が興味あるわけないだろ」
そうタバコをふかしながらアスマも後ろから覗いてくる。
本当にただ目に入っただけだ。
彼女の瞳みたいだったから。
紅は店員に一言言ってオレが見ていたネックレスを手に取る。
「あら?これってイミテーション?」
「さすがですね。でも本物みたいに綺麗でしょう?」
紅は「そうね」と頷き、オレにそれを差し出す。
訝しんでいると、オレの手を掴んで握らせる。
「なんだよ。欲しいならアスマに買ってもらえよ」
「あんたが先に目をつけたんでしょ。それ、あげたい子でもいるんじゃないの?」
紅は軽くオレの肩を叩き、アスマとガイと次の店に向かう。
店員はニコニコと笑う。
オレは諦めてポケットから財布を取り出した。
****
「ねぇ、サクラ。あんた知ってる?」
「何を?」
今日は休みだったので1人で甘栗甘にあんみつを食べていると、そこにいのが現れて勝手に同じ席に座る。
「なんか、木ノ葉に神出鬼没のお店があるらしいのよ。いつ、どこに現れるか分からないんだって」
「なにそれ。何屋さん?」
「アクセサリー。イミテーションなんだけど、宝石みたいに綺麗なネックレスが売ってるみたい」
「へー」と、適当に相槌を打ってあんみつを食べる。
「しかも、それが縁結びの効果があるらしいじゃないの!」
「縁結び?」
対して興味なかったけど、縁結びと聞いては無視出来ない。
「自分で買ったらモテモテになったり、異性に貰ったらその人と縁が結ばれて運命の相手になるらしいのよ!」
「なにそれ、馬鹿馬鹿しい」
信憑性のある話かと思えばくだらない噂話に鼻を鳴らす。
「あら。でも実際本当に効果があったらしいわよ。犬猿の仲だった2人が、そのネックレスを渡した途端お互いを意識し出して、最終的に結婚したんだって」
「なんか呪いのアイテムみたいじゃない」
「ただのネックレスよ。だから、女子の間じゃ『運命のネックレス』、だなんて言われてるんだって」
「ふーん」
私は残り少ないお皿をグチャグチャに回す。
「なにあんた。興味ないじゃない」
「だってそんな相手いないもの。サスくんはくれるわけないし」
「まぁ、確かに?あんたには無理ね」
「それはあんたもでしょ」
お互いイー、と歯を見せあって鼻を鳴らし、別々に店を出た。
****
次の日。
軽い任務で早めに解散になり、家に帰ろうとすると。
「あー、サクラ」
後ろにいた先生に呼び止められた。
振り返ると珍しく歯切れが悪い。
「なに?」
「あぁ、うん、サクラ、ネックレスとか好きか?」
「まぁ、人並みに」
好みは人それぞれだ。
私の回答にまだ唸っていた先生だったが、何か決心したようにポシェットから可愛らしい袋を取り出した。
それを渡してくる。
「なにこれ。開けていいんですか?」
一応確認を取ると、先生は苦渋の顔で頷いた。
私は恐る恐る開けると、そこには綺麗なエメラルドのネックレスが入っていた。
ネックレス、というキーワードにいのの言葉がよぎる。
「せ、先生。これどうしたの?」
「一昨日の夜、アスマたちと酒飲んでたら道端に店が出ててさ。そこでそのネックレス買ったんだ」
いのが言ってたお店だ。
よく見たら、エメラルドに輝くものはイミテーションのようだった。
背中に冷や汗が流れる。
あれはただの噂話だと分かっているのに。
「サクラに似合いそうだなって思ってね。良かったら貰ってよ」
先生は居心地が悪いのか、そう言って立ち去った。
私が返事をする前に。
「えぇ〜・・・」
私はカカシ先生が立ち去った方向とネックレスを交互に見る。
きっとこのネックレスをくれたことに意味はない。
先生は噂なんて知らない。
それでも、それでも・・・。
「どうしよう・・・」
いのがあんな話なんかしたからだ。
知らなかったら普通に喜べたのに。
いのに相談なんて出来ない。
絶対冷やかされる。
もういっそ、引き出しの奥に仕舞い込みたい。
でも、1回も付けてるの見せなかったら先生は悲しい顔をするかもしれない。
もし、ナルトかサスケくんが噂を知ってたら・・・。
「どうしよおぉぉ・・・」
私は顔を真っ赤にしてネックレスを握りしめる。
数ヶ月、その噂が本当になるとは露知らず。
いつものメンバーで飲み会をして、次の店に向かっている時に道端で店を出している商品に目が行く。
「なに?あら、素敵なエメラルド」
後ろから紅が覗き込んで、オレが見ているものに気づく。
それはエメラルドのネックレスだった。
普段アクセサリーなんて興味ないのに、目の端に入って反応してしまった。
それを今後悔している。
何故なら同期で上忍師をしている3人に冷やかされているからで。
「へぇ〜、あんた、こういうの興味あるんだ?」
「ただ目に入っただけだよ」
「アクセサリーなんかにお前が興味あるわけないだろ」
そうタバコをふかしながらアスマも後ろから覗いてくる。
本当にただ目に入っただけだ。
彼女の瞳みたいだったから。
紅は店員に一言言ってオレが見ていたネックレスを手に取る。
「あら?これってイミテーション?」
「さすがですね。でも本物みたいに綺麗でしょう?」
紅は「そうね」と頷き、オレにそれを差し出す。
訝しんでいると、オレの手を掴んで握らせる。
「なんだよ。欲しいならアスマに買ってもらえよ」
「あんたが先に目をつけたんでしょ。それ、あげたい子でもいるんじゃないの?」
紅は軽くオレの肩を叩き、アスマとガイと次の店に向かう。
店員はニコニコと笑う。
オレは諦めてポケットから財布を取り出した。
****
「ねぇ、サクラ。あんた知ってる?」
「何を?」
今日は休みだったので1人で甘栗甘にあんみつを食べていると、そこにいのが現れて勝手に同じ席に座る。
「なんか、木ノ葉に神出鬼没のお店があるらしいのよ。いつ、どこに現れるか分からないんだって」
「なにそれ。何屋さん?」
「アクセサリー。イミテーションなんだけど、宝石みたいに綺麗なネックレスが売ってるみたい」
「へー」と、適当に相槌を打ってあんみつを食べる。
「しかも、それが縁結びの効果があるらしいじゃないの!」
「縁結び?」
対して興味なかったけど、縁結びと聞いては無視出来ない。
「自分で買ったらモテモテになったり、異性に貰ったらその人と縁が結ばれて運命の相手になるらしいのよ!」
「なにそれ、馬鹿馬鹿しい」
信憑性のある話かと思えばくだらない噂話に鼻を鳴らす。
「あら。でも実際本当に効果があったらしいわよ。犬猿の仲だった2人が、そのネックレスを渡した途端お互いを意識し出して、最終的に結婚したんだって」
「なんか呪いのアイテムみたいじゃない」
「ただのネックレスよ。だから、女子の間じゃ『運命のネックレス』、だなんて言われてるんだって」
「ふーん」
私は残り少ないお皿をグチャグチャに回す。
「なにあんた。興味ないじゃない」
「だってそんな相手いないもの。サスくんはくれるわけないし」
「まぁ、確かに?あんたには無理ね」
「それはあんたもでしょ」
お互いイー、と歯を見せあって鼻を鳴らし、別々に店を出た。
****
次の日。
軽い任務で早めに解散になり、家に帰ろうとすると。
「あー、サクラ」
後ろにいた先生に呼び止められた。
振り返ると珍しく歯切れが悪い。
「なに?」
「あぁ、うん、サクラ、ネックレスとか好きか?」
「まぁ、人並みに」
好みは人それぞれだ。
私の回答にまだ唸っていた先生だったが、何か決心したようにポシェットから可愛らしい袋を取り出した。
それを渡してくる。
「なにこれ。開けていいんですか?」
一応確認を取ると、先生は苦渋の顔で頷いた。
私は恐る恐る開けると、そこには綺麗なエメラルドのネックレスが入っていた。
ネックレス、というキーワードにいのの言葉がよぎる。
「せ、先生。これどうしたの?」
「一昨日の夜、アスマたちと酒飲んでたら道端に店が出ててさ。そこでそのネックレス買ったんだ」
いのが言ってたお店だ。
よく見たら、エメラルドに輝くものはイミテーションのようだった。
背中に冷や汗が流れる。
あれはただの噂話だと分かっているのに。
「サクラに似合いそうだなって思ってね。良かったら貰ってよ」
先生は居心地が悪いのか、そう言って立ち去った。
私が返事をする前に。
「えぇ〜・・・」
私はカカシ先生が立ち去った方向とネックレスを交互に見る。
きっとこのネックレスをくれたことに意味はない。
先生は噂なんて知らない。
それでも、それでも・・・。
「どうしよう・・・」
いのがあんな話なんかしたからだ。
知らなかったら普通に喜べたのに。
いのに相談なんて出来ない。
絶対冷やかされる。
もういっそ、引き出しの奥に仕舞い込みたい。
でも、1回も付けてるの見せなかったら先生は悲しい顔をするかもしれない。
もし、ナルトかサスケくんが噂を知ってたら・・・。
「どうしよおぉぉ・・・」
私は顔を真っ赤にしてネックレスを握りしめる。
数ヶ月、その噂が本当になるとは露知らず。
123/179ページ