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「カカシせんせー、お茶」

ベッドを背もたれに床に座りイチャパラを読んでいると、ベッドの上で寝そべり本を読む可愛い教え子からのお願い。

「サクラ・・・お茶ぐらい自分でしなさいよ」
「いいじゃない。先生の家なんだから」

そう言って滑らかな足を惜しげもなく晒し、パタパタ足を動かしながら本を読むサクラにため息を吐いて、お茶を入れるため立ち上がった。



オレとサクラは恋人ではない。

前に本を貸したら他にも読みたいと言ったので、休みの日なら来てもいいよ、と言ったのがきっかけだった。
本を借りたらすぐに帰ると思っていたのに、気づいたら休みのたびやってきて夜遅くまで居座るようになった。
休みの日にこんなおじさんといたら若い男との出逢いもないだろうに。
今時の女の子は何を考えてるのか分からない。



「はい、お茶」
「ありがとう」

温かいお茶が入ったコップを差し出すとサクラが起き上がり腰掛ける。
30過ぎてから温かいお茶を好むようになった。

「ねぇ、先生」
「ん〜?」

また床に座りお茶を飲みながら本の続きを読む。

「胸ってどうやったら大きくなるのかしら」
「ぶふっ!!!!」

お茶を噴き出し、気管が入って咳き込む。

「先生大丈夫?」

爆弾発言をした当の本人は涼しげな顔で背中を摩ってくれる。

「さ、サクラ・・・何て言った」
「胸が大きくなる方法」

けろっとした顔のサクラに頭が痛い。
出会って4年。
親しい仲になったとはいえ、男と女だ。
ちらっとサクラの胸に目がいき、慌てて逸らす。


「サクラ・・・そういうのは女性同士で話しなさい。年上に聞きたいなら紅とか・・・」
「えー。紅先生に話せるほど親しくないし、聞きづらいっていうか」

男にこんなこと聞くことも遠慮しろ!!
師だったときの信頼関係がここまでくるのか。
オレは心を落ち着かせるために深呼吸していると、サクラがベッドから降りて隣に座る。
すっかり女の身体に成長していて、もう子供扱い出来ないことを彼女は知る由もない。


「だったら、いのちゃんとか」
「いのがあんなんだから困ってるの!」
「あんなん?」
「胸よ。下忍のときはお互いあんまり変わらなかったのに、急に大きくなったの。私は変わらないから茶化してくるのよ!」

頬を膨らませて自分の胸の辺りでいのの胸の大きさを表現するサクラに、オレはどう反応すればいいんだ。
緊張からか喉が乾いてお茶を飲み干す。

「ねぇ、どうしたらいいと思う?」
「あのさ・・・何でオレに聞くわけ」
「だって先生、経験豊富でしょ?いつも違う女の人と歩いてたし。何か知ってるかと思って」




時が止まった。

まさか見られているとは。
そりゃ里の中で歩いてたら見られるだろうが、まさか教え子から言われるとは思わなくて心拍数が上がる。

彼女は何を言っているのか分かっているのだろうか。
女性経験豊富なオレに胸が大きくなる方法を聞くことを。
しかし彼女は瞳を輝かせ、オレの心の汚さを思い知らされる。
だから、ちょっと茶化すつもりだった。


「ならオレが胸揉んでやろうか?揉んだら大きくなるって言うし」
「え!先生が揉んだら大きくなるの?」


純粋すぎる彼女に目眩がした。

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