short.1
身を縮ませる寒い風は気持ちいい風へと変わり。
季節は春。
私が産まれた大好きな季節が始まった。
「ねぇ!次の休み、みんなでピクニック行かない?」
演習の休憩時間、3人を誘う。
しかし。
「その日は予定が入ってる」
「ごめん・・・オレもイルカ先生と約束してるんだってばよ」
サスケくんはともかく、ナルトにまで断られると思っていなかった私は頬を膨らませる。
そんな私の頭を先生は優しく撫でる。
「それじゃ、先生と2人で行きますか」
「え〜、先生と〜?」
「なに。先生とじゃ不満なのかな、この子は」
不満気に顔を上げると、先生は私の髪の毛をグシャグシャに撫で回す。
「うそうそ!じゃあ、先生のためにお弁当作っていくわね!」
「お。それは楽しみだな」
私が嬉しそうに笑うと、先生もにこりと笑って頭を直してくれる。
「えー!!サクラちゃんの手作りお弁当ずるいってばよ!」
「うっさいナルト!イルカ先生を選んだあんたが悪いのよ!」
「そんなー・・・」
ナルトを邪険に扱いながら、頭の中はピクニックでいっぱいだった。
****
「・・・・・・え!?」
その日はよく晴れた春日和だった。
先生と橋の上で待ち合わせをしてて、どうせ遅刻だろうとのんびり歩いて時間ギリギリに着いたんだけど。
そこにはカカシ先生が本を読みながら待っていて、私に気づいた先生は手を上げて近づいてくる。
私は慌てて空を見上げるが、そこは雲1つもない快晴。
「サクラなにしてるの」
「いや・・・雨大丈夫かなって」
「今日は大丈夫でしょ」
先生も同じように空を見上げる。
私はソワソワしながら気になることを聞く。
「ねぇ・・・先生どうしたの?」
「何が?」
「だって、時間より先にいるんだもん」
「先生が時間通りにいておかしいわけ?」
「うん」
「失礼な子だね、お前は」
先生は本で私の頭を軽く叩く。
「今日は番犬がいないから、サクラに変な虫が近づかないように早めにね」
「虫?私、虫は平気よ。それに犬は飼ってないわ」
首を傾げる私に、先生は呆れるように笑って「分からないなら良いよ」と言った。
****
「これはすごいな・・・」
「でしょ!」
私が先生を連れてきたのは、色鮮やかに咲く一面のお花畑。
数年前にいのと見つけて毎年来ている場所。
今年は3人にも見せてあげようと楽しみにしてたんだけど。
先生だけでも連れてこれたから嬉しい。
「先生、ここでお昼にしましょ」
「うん」
花畑がよく見える木の近くで持ってきたレジャーシートを敷く。
そして先生が運んでくれたバスケットを開き、中からサンドイッチが入った入れ物を取り出す。
「たまごとツナどっちがいい?」
「じゃあツナ貰おうかな」
先生は私から微妙に見えないようにマスクを下げて、花畑を見ながら可愛いピックが刺さったサンドイッチを頬張る。
「うまい」と2つ目を手に取る先生に、嬉しくて私も2つ目を食べる。
「はー、おいしかった」
「ご馳走様。本当美味しかったよ」
「お粗末さまでした!」
私は片付けをして立ち上がり、先生に手を差し伸べる。
「先生、もっと近くでお花見ましょ」
先生は何故か驚いたように目を見開いて、困ったように笑った。
「オレはいいよ。サクラ行っといで」
1人で行って何が楽しいのか。
私は頬を膨らませて先生の手を掴んで立ち上がらせて、引っ張って歩く。
「先生も行くのよ!」
後ろは振り返らなかったが、きっと先生は苦笑している。
「見て、花冠!」
2人で花畑に座り、色とりどりの花で作った花冠を先生に見せる。
「すごいな。上手に出来てる」
「昔、いのに教えて貰ったのよ」
私は同じように花を弄ってる先生の頭に完成した花冠を乗せる。
「ちょっとサクラ・・・おじさんに花冠はやめてよ」
「うぷぷ!大丈夫、似合ってるわよ先生!」
「それなら少しは笑うの隠しなさい」
口に手を当ててプルプル震えてる私に、先生は呆れてため息をついた。
ようやく笑いの波が収まり、息を吐く。
すると、先生は徐に私の左手を掴む。
そして薬指に同じく花で出来た指輪を付けたのだ。
ビックリして固まる私に先生はニヤリと笑って。
「これ、予約な」
「・・・・・・え!?」
未だに状況が出来ていないのに、先生は満足そうに立ち上がる。
「そろそろ帰るか」
先生は返事も聞かずにスタスタ歩き出す。
「え、ま、待ってよ先生ー!!」
私は慌てて立ち上がり先生の後を追いかける。
薬指にシロツメクサの指輪を付けて。
季節は春。
私が産まれた大好きな季節が始まった。
「ねぇ!次の休み、みんなでピクニック行かない?」
演習の休憩時間、3人を誘う。
しかし。
「その日は予定が入ってる」
「ごめん・・・オレもイルカ先生と約束してるんだってばよ」
サスケくんはともかく、ナルトにまで断られると思っていなかった私は頬を膨らませる。
そんな私の頭を先生は優しく撫でる。
「それじゃ、先生と2人で行きますか」
「え〜、先生と〜?」
「なに。先生とじゃ不満なのかな、この子は」
不満気に顔を上げると、先生は私の髪の毛をグシャグシャに撫で回す。
「うそうそ!じゃあ、先生のためにお弁当作っていくわね!」
「お。それは楽しみだな」
私が嬉しそうに笑うと、先生もにこりと笑って頭を直してくれる。
「えー!!サクラちゃんの手作りお弁当ずるいってばよ!」
「うっさいナルト!イルカ先生を選んだあんたが悪いのよ!」
「そんなー・・・」
ナルトを邪険に扱いながら、頭の中はピクニックでいっぱいだった。
****
「・・・・・・え!?」
その日はよく晴れた春日和だった。
先生と橋の上で待ち合わせをしてて、どうせ遅刻だろうとのんびり歩いて時間ギリギリに着いたんだけど。
そこにはカカシ先生が本を読みながら待っていて、私に気づいた先生は手を上げて近づいてくる。
私は慌てて空を見上げるが、そこは雲1つもない快晴。
「サクラなにしてるの」
「いや・・・雨大丈夫かなって」
「今日は大丈夫でしょ」
先生も同じように空を見上げる。
私はソワソワしながら気になることを聞く。
「ねぇ・・・先生どうしたの?」
「何が?」
「だって、時間より先にいるんだもん」
「先生が時間通りにいておかしいわけ?」
「うん」
「失礼な子だね、お前は」
先生は本で私の頭を軽く叩く。
「今日は番犬がいないから、サクラに変な虫が近づかないように早めにね」
「虫?私、虫は平気よ。それに犬は飼ってないわ」
首を傾げる私に、先生は呆れるように笑って「分からないなら良いよ」と言った。
****
「これはすごいな・・・」
「でしょ!」
私が先生を連れてきたのは、色鮮やかに咲く一面のお花畑。
数年前にいのと見つけて毎年来ている場所。
今年は3人にも見せてあげようと楽しみにしてたんだけど。
先生だけでも連れてこれたから嬉しい。
「先生、ここでお昼にしましょ」
「うん」
花畑がよく見える木の近くで持ってきたレジャーシートを敷く。
そして先生が運んでくれたバスケットを開き、中からサンドイッチが入った入れ物を取り出す。
「たまごとツナどっちがいい?」
「じゃあツナ貰おうかな」
先生は私から微妙に見えないようにマスクを下げて、花畑を見ながら可愛いピックが刺さったサンドイッチを頬張る。
「うまい」と2つ目を手に取る先生に、嬉しくて私も2つ目を食べる。
「はー、おいしかった」
「ご馳走様。本当美味しかったよ」
「お粗末さまでした!」
私は片付けをして立ち上がり、先生に手を差し伸べる。
「先生、もっと近くでお花見ましょ」
先生は何故か驚いたように目を見開いて、困ったように笑った。
「オレはいいよ。サクラ行っといで」
1人で行って何が楽しいのか。
私は頬を膨らませて先生の手を掴んで立ち上がらせて、引っ張って歩く。
「先生も行くのよ!」
後ろは振り返らなかったが、きっと先生は苦笑している。
「見て、花冠!」
2人で花畑に座り、色とりどりの花で作った花冠を先生に見せる。
「すごいな。上手に出来てる」
「昔、いのに教えて貰ったのよ」
私は同じように花を弄ってる先生の頭に完成した花冠を乗せる。
「ちょっとサクラ・・・おじさんに花冠はやめてよ」
「うぷぷ!大丈夫、似合ってるわよ先生!」
「それなら少しは笑うの隠しなさい」
口に手を当ててプルプル震えてる私に、先生は呆れてため息をついた。
ようやく笑いの波が収まり、息を吐く。
すると、先生は徐に私の左手を掴む。
そして薬指に同じく花で出来た指輪を付けたのだ。
ビックリして固まる私に先生はニヤリと笑って。
「これ、予約な」
「・・・・・・え!?」
未だに状況が出来ていないのに、先生は満足そうに立ち上がる。
「そろそろ帰るか」
先生は返事も聞かずにスタスタ歩き出す。
「え、ま、待ってよ先生ー!!」
私は慌てて立ち上がり先生の後を追いかける。
薬指にシロツメクサの指輪を付けて。
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