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任務が終わったヤマト率いる第七班にでくわし、ナルトにご飯を奢れとせがまれた。
仕方なくご飯屋に行くと、そこには珍しくナルトの同期たちと上忍師が勢揃いしていたのだ。

女将のご好意で大部屋に移動してからはどんちゃん騒ぎ。
生徒たちは何かゲームで大騒ぎし、大人たちは酒を交わしそれぞれのグチを話す。

暫くするとサクラが休憩とオレの近くに座ってジュースを飲み、紅と何か話をしていた。
酒が回っていたオレは楽しそうに話すサクラをボーと見ていた。


──可愛いなぁ・・・。


すると、何故か部屋にいる皆が変な顔でオレを見ていたのだ。
近くに座るサクラは目玉が飛び出るのではないかと思うほど見開いて。
視線を集める理由を聞こうとしたのだが、オレの意識はそこで途絶えた。



****



「なぁ、ヤマト」
「何ですか、先輩」

翌日、二日酔いとは別の痛みを抱えて歩いているとヤマトと出くわしたので並んでそれぞれの目的地へと歩く。

「昨日何かあった?」
「は?」
「いや、なんか頭痛いなーって思って触ったら瘤があってさ。記憶にないんだよね」

朝よりは治まった瘤を摩ると、ヤマトは昨日の夜と同じ顔でオレを見てきた。

「なに」
「先輩・・・覚えてないんですか?」
「何がよ」

眉間に皺を寄せると、ヤマトは首を横に振る。

「いえ・・・知りたいならサクラに聞いたらどうですか?」
「サクラ?」

なんでサクラが出てくるんだ。

「その瘤の原因、サクラなんで」



****


「・・・サクラちゃ〜ん」

「なに」


ヤマトに言われて病院に行き、サクラを探しているといのに会った。
そしてここを教えて貰ったのだが、その時のいのの顔がニヤニヤしていた。
いのがあんな顔をしていたということは、オレはサクラにとんでもないことをしたということだ。



教えられた医務室のドアから顔を覗き込んでサクラを呼ぶと、眉間に皺を寄せたサクラが振り返る。

「いやー・・・ごめんね?」
「なにが」
「え、いや、その・・・」
「だからなにが!!」

ますますサクラの顔が険しくなり、その気迫に押される。

「いやー・・・えーと・・・」

原因が分からないけどとりあえず謝ろうとしたのだが、問い詰められて頭を掻く。


「先生・・・理由も分からないのに謝ろうとしてるですか」
「いやー・・・あはは」

誤魔化せそうになくてヘラヘラ笑うと、更にサクラの機嫌を損ねてしまったらしい。

「・・・・・・て」
「え?」

ボソッと喋った言葉が聞こえず顔を近づけて聞き返す。

「帰って!!」

顔を上げたサクラは鳩尾に重いのを打ち込む。

「うぐ・・・」
「帰ってってば!!」

前屈みになり腹を抑えるオレを容赦なく部屋から追い出す。
ピシャリと音とたてたドアに、オレは息を吐いてその場を後にする。



****



「はぁー・・・」

オレはいつもより背を曲げて里を歩く。
あの後、サイのところに行ったら「ボクの口からはとても・・・」と意味深なことを言われ、ナルトに至っては顔を見ただけで泣いて走り去っていった。

「何したんだ、オレ・・・」



とぼとぼ歩いて上忍待機所に着くと、そこにはアスマと紅がいた。

「あらやだ。陰気臭い男が来たわ」
「煩いよ・・・」

紅の茶化しに反発する気も起きず、オレはソファーにどがっと座る。
アスマはオレにお茶が入ったコップを渡して前に座る。

「お前、まだ思い出せないのか」
「全く・・・」
「サクラちゃん可哀想ね。こんな悪い男に引っかかって」

紅の言葉に更に落ち込むオレ。
「おい」とアスマに怒られる紅もオレの前に座って。


「ねぇ、カカシ」
「なに」
「サクラちゃんのことは好き?」
「・・・サクラ?」
「そう。好き?」
「・・・好きだよ」
「それは生徒として?それとも女として?」

茶化されてるのかと思って睨むも、紅の表情は真剣そのもので。
オレは目を閉じてゆっくり考える。
そして開けて。


「オレは女としてサクラのことが好きだ」

真剣な目で言うと、アスマは呆れたように、紅も同じ顔をして腕と脚を組む。

「ならそれを言いに行きなさいよ」
「いや、でも・・・」

狼狽えるオレに、紅は睨みつけてドアの方向を顎でくいっと促す。
アスマをチラッと見るも、首を横に振る。
オレは盛大にため息を吐いて待機所を出た。



****



あれからオレはサクラの部屋に行ったが、まだ電気がついていなかった。
サクラが定時上がりが分からず病院に行こうかと思ったが、さすがにそこで話すことではないな、と思いアパートの壁にもたれかかりサクラを待つ。



暫くすると、アパートの階段を上がるヒールの音が響こえてきて目を開ける。
アパートの住人である可能性もあったが、オレがサクラのことで間違うことはない。
階段を登り終えたサクラは目を丸く見開く。
そして睨みつけながら近づいてくる。

「何か御用ですか」

他人行儀で鞄から鍵を探すサクラに頭を掻く。

「・・・サクラに話があって」
「話?昨日のこと思い出したの」
「いや、それは・・・」


焦ったいオレに痺れを切らしたサクラが鍵を開けて部屋に入ろうとするので、慌てて腕を掴む。

「ま、待ってサクラ!」
「何!」

眉間に皺を寄せて睨んでくるサクラに覚悟をきめる。



「サクラが好きなんだ」
「・・・・・・は?」

突然の告白にサクラはポカーンとしている。

「ずっと、サクラのことが好きだった。サクラの男にして欲しいって思うほどに」

そう言うと、サクラは顔を真っ赤にしてオレの胸に倒れ込んできて。

「サクラ?」
「・・・覚えてるじゃない」

え、って驚くとサクラは顔を上げて微笑み、ようやくあの時みんなが驚いた顔をしていた理由が分かって苦笑する。



オレは1歩部屋の中に入り、目を閉じるサクラに顔を近づけながら玄関のドアを閉めた。


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