short.1
木ノ葉では毎年3月3日になると下忍とアカデミー生に着物を着せて里を練り歩く、という風習がいつの間にか出来ていた。
お雛様役と殿様役に紅とオレかアスマにと火影から言われ、紅は乗り気だったがオレ達は断固として拒否した。
着物着せられて里を歩くなんていい笑い物だ。
ということで、全員子供の可愛らしい行列になった。
本番の日、準備が終わるのを待っていると綺麗に着付けられたサクラが早歩きで駆け寄ってくる。
「先生、どう?」
「うん、可愛い。本当のお雛様みたいだ」
目を細めて笑いかけると、サクラは頬を染めて嬉しそうに笑った。
お雛様は誰がするか、となってもちろん手を挙げたのはサクラといの。
ヒナタは恥ずかしがり屋もあり、三人官女に。
公平にじゃんけんで決めることなり、激戦の末サクラが勝ち取った。
で、その相手の殿様は誰がするかとなったらナルトが手を挙げるわけで。
目立ちたがりもあるが、サクラが相手と分かるとテンションが爆上がりしていた。
が。
「何言ってんの!殿様はサスケくんに決まってるでしょ!!」
いのと下忍の女の子たちの猛反発によって、嫌がるサスケが殿様役に抜擢された。
その時オレは号泣するナルトを慰め役になっていた。
「うわぁー!サクラちゃん可愛いってばよ!」
サクラの後ろから同じく着付けられたナルトが頬を染めて現れる。
殿様にはなれなかったが、五人囃子の1人に。
やはりナルトは性格的にこっちの方があっている。
「サスケは?」
「着付け終わってたけどいのたちに囲まれてる」
「たく・・・時間に間に合うのかね」
「サクラちゃんてば、本当にお雛様似合ってるってばよー。オレと写真撮って!」
「あとでね」
ナルトはサクラの周りをクルクル回り、サクラは呆れたように笑った。
今のサクラは本当に綺麗だ。
歩くので軽装ではあるが綺麗な着物を着て、顔も薄く化粧してあって更に美人が際立つ。
髪は鬘を被せようかという話になったが、毎日丁寧に手入れされた綺麗な髪が勿体ないということになり、薄紅色の髪のお雛様になった。
綺麗な恋人の姿を目に焼き付けようとじっくり見ていると、視線に気づいたサクラと目があって、それでもじっ、と見つめていたら頬を染めて顔を逸らすサクラ。
ーーあぁ。
ここが外じゃなかったら襲ってるな。
脳内で着物を脱がせながらサクラを見ていると、まだ始まってもないのに疲れた顔をしたサスケが現れる。
「サスケ遅いぞ!」
「煩い・・・ウスラトンカチ・・・」
すっかり女の子たちに体力と気力を持っていかれたのか、いつもの罵声に勢いがない。
「サスケくん、大丈夫?」
項垂れるサスケの手を握って顔を覗き込むサクラ。
いつもより大人ぽい雰囲気のサクラにサスケの頬に赤みがさしたことに気づいた。
「もしきつくなったら言ってね?」
「・・・あぁ」
微笑みながら見つめ合う2人。
同い年でちょうどいい背丈で。
こういう2人のことをお似合いのカップルと言うのだろう。
オレとサクラでは一生埋められない溝。
醜い嫉妬が顔を出し始めて、大きく息を吐いて2人の背中を押す。
サクラとサスケの距離が離れたところでサスケの肩を掴み、耳元に顔を寄せる。
「今日だけはサクラの隣を貸してやる」
サクラには聞こえない声量で言うと、サスケは眉間に皺を寄せてオレを睨み。
「・・・変態が」
「なんとでも言え。負け犬の遠吠えにしか聞こえないからな」
目を細めてサスケを見下ろす。
それが気に食わなかったサスケは舌打ちしてオレへの殺意を隠そうともしないで外に出る。
サクラはビックリした顔をして。
「何?どうしたの」
「いいや、なんでも。ほら、早く行かないと」
首を傾げるサクラの腰に手を回して促す。
たった数時間。
この子の隣に男が並ぶと考えただけで嫉妬でおかしくなるのを抑えて、見上げてくる幼い恋人に微笑みかける。
****
ひな祭り行列も無事に終え、忍服に着替え終わったサクラと手を繋いで帰る。
頑張ったご褒美に貰った飴を舐めながら。
嬉しそうに飴を舐めるサクラを見ていると、こっちも嬉しくなる。
そんなサクラを見ているとふと、思ってしまった。
ひな祭りは女の子の健やかな成長を願うもの。
それじゃあ。
女の子はいつまでーー。
「ねぇ、サクラ」
「なに?」
「女の子は、いつまで女の子だと思う?」
「なにそれ。謎かけ?」
「いいから」
難しい顔をしたサクラは顎に手を考え込む。
そして顔を上げて。
「16歳じゃない?木ノ葉で結婚を許されるのは16からだから」
「そうだよねぇ・・・」
サクラの答えに苦笑して空を見上げる。
サクラは現在12歳。
16歳まであと4年ーー。
「長いなぁ・・・。我慢、出来るかなぁ・・・」
「何が?」
首を傾げて見上げてくるサクラに曖昧に笑う。
そんなオレに頬を膨らませるサクラは腕を叩いてきて、オレはただ笑うだけ。
幼かった少女が女性に変わる瞬間をずっと隣で見ていたい。
だがそんな彼女に我慢出来るはずもない。
そんなことも露知らず、彼女は甘えるようにオレの腕にしがみついて可愛らしく笑う。
あと4年、頑張れオレ・・・。
お雛様役と殿様役に紅とオレかアスマにと火影から言われ、紅は乗り気だったがオレ達は断固として拒否した。
着物着せられて里を歩くなんていい笑い物だ。
ということで、全員子供の可愛らしい行列になった。
本番の日、準備が終わるのを待っていると綺麗に着付けられたサクラが早歩きで駆け寄ってくる。
「先生、どう?」
「うん、可愛い。本当のお雛様みたいだ」
目を細めて笑いかけると、サクラは頬を染めて嬉しそうに笑った。
お雛様は誰がするか、となってもちろん手を挙げたのはサクラといの。
ヒナタは恥ずかしがり屋もあり、三人官女に。
公平にじゃんけんで決めることなり、激戦の末サクラが勝ち取った。
で、その相手の殿様は誰がするかとなったらナルトが手を挙げるわけで。
目立ちたがりもあるが、サクラが相手と分かるとテンションが爆上がりしていた。
が。
「何言ってんの!殿様はサスケくんに決まってるでしょ!!」
いのと下忍の女の子たちの猛反発によって、嫌がるサスケが殿様役に抜擢された。
その時オレは号泣するナルトを慰め役になっていた。
「うわぁー!サクラちゃん可愛いってばよ!」
サクラの後ろから同じく着付けられたナルトが頬を染めて現れる。
殿様にはなれなかったが、五人囃子の1人に。
やはりナルトは性格的にこっちの方があっている。
「サスケは?」
「着付け終わってたけどいのたちに囲まれてる」
「たく・・・時間に間に合うのかね」
「サクラちゃんてば、本当にお雛様似合ってるってばよー。オレと写真撮って!」
「あとでね」
ナルトはサクラの周りをクルクル回り、サクラは呆れたように笑った。
今のサクラは本当に綺麗だ。
歩くので軽装ではあるが綺麗な着物を着て、顔も薄く化粧してあって更に美人が際立つ。
髪は鬘を被せようかという話になったが、毎日丁寧に手入れされた綺麗な髪が勿体ないということになり、薄紅色の髪のお雛様になった。
綺麗な恋人の姿を目に焼き付けようとじっくり見ていると、視線に気づいたサクラと目があって、それでもじっ、と見つめていたら頬を染めて顔を逸らすサクラ。
ーーあぁ。
ここが外じゃなかったら襲ってるな。
脳内で着物を脱がせながらサクラを見ていると、まだ始まってもないのに疲れた顔をしたサスケが現れる。
「サスケ遅いぞ!」
「煩い・・・ウスラトンカチ・・・」
すっかり女の子たちに体力と気力を持っていかれたのか、いつもの罵声に勢いがない。
「サスケくん、大丈夫?」
項垂れるサスケの手を握って顔を覗き込むサクラ。
いつもより大人ぽい雰囲気のサクラにサスケの頬に赤みがさしたことに気づいた。
「もしきつくなったら言ってね?」
「・・・あぁ」
微笑みながら見つめ合う2人。
同い年でちょうどいい背丈で。
こういう2人のことをお似合いのカップルと言うのだろう。
オレとサクラでは一生埋められない溝。
醜い嫉妬が顔を出し始めて、大きく息を吐いて2人の背中を押す。
サクラとサスケの距離が離れたところでサスケの肩を掴み、耳元に顔を寄せる。
「今日だけはサクラの隣を貸してやる」
サクラには聞こえない声量で言うと、サスケは眉間に皺を寄せてオレを睨み。
「・・・変態が」
「なんとでも言え。負け犬の遠吠えにしか聞こえないからな」
目を細めてサスケを見下ろす。
それが気に食わなかったサスケは舌打ちしてオレへの殺意を隠そうともしないで外に出る。
サクラはビックリした顔をして。
「何?どうしたの」
「いいや、なんでも。ほら、早く行かないと」
首を傾げるサクラの腰に手を回して促す。
たった数時間。
この子の隣に男が並ぶと考えただけで嫉妬でおかしくなるのを抑えて、見上げてくる幼い恋人に微笑みかける。
****
ひな祭り行列も無事に終え、忍服に着替え終わったサクラと手を繋いで帰る。
頑張ったご褒美に貰った飴を舐めながら。
嬉しそうに飴を舐めるサクラを見ていると、こっちも嬉しくなる。
そんなサクラを見ているとふと、思ってしまった。
ひな祭りは女の子の健やかな成長を願うもの。
それじゃあ。
女の子はいつまでーー。
「ねぇ、サクラ」
「なに?」
「女の子は、いつまで女の子だと思う?」
「なにそれ。謎かけ?」
「いいから」
難しい顔をしたサクラは顎に手を考え込む。
そして顔を上げて。
「16歳じゃない?木ノ葉で結婚を許されるのは16からだから」
「そうだよねぇ・・・」
サクラの答えに苦笑して空を見上げる。
サクラは現在12歳。
16歳まであと4年ーー。
「長いなぁ・・・。我慢、出来るかなぁ・・・」
「何が?」
首を傾げて見上げてくるサクラに曖昧に笑う。
そんなオレに頬を膨らませるサクラは腕を叩いてきて、オレはただ笑うだけ。
幼かった少女が女性に変わる瞬間をずっと隣で見ていたい。
だがそんな彼女に我慢出来るはずもない。
そんなことも露知らず、彼女は甘えるようにオレの腕にしがみついて可愛らしく笑う。
あと4年、頑張れオレ・・・。
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