short.1
「サクラ、サクラ、ちょっと来て」
医務室で作業をしていると、親友である山中いのがドア付近で手招きしていた。
「なに?」
「面白いものがあるのよ」
いのはサクラの手を引いてある場所へと連れて行った。
そこは木ノ葉の広場の一角にあるベンチ。
そこだけ異様な雰囲気を放っていた。
「・・・何してるんですか」
「サクラ」
しかめっ面で見上げてくる恋人の口には白い棒が咥えられていた。
それは隣に座る木ノ葉とアスマの口にも咥えられていて、ほのかに甘い香りもする。
「なにそれ」
「飴」
「なんで」
質問ばかりしてきて、カカシは眉間に皺を寄せて。
「サクラたちが決めたんでしょ」
「え?」
「今日が何の日か忘れたわけ?」
呆れたように見てくるカカシに、サクラは顎に手を当てる。
「今日って、18日・・・・・・あ、禁煙運動」
思い出して手を叩くと、カカシはうんうん、と頷いた。
サクラには全く無関係だったから忘れていたが、
近年忍の喫煙率が上がり、健康のことに頭を悩ませていた綱手が決めた禁煙運動。
この日は喫煙の禁止、喫煙所の封鎖など、医務局を筆頭に徹底的に禁煙運動をしている。
もちろん医療関係者にも喫煙をしている人はいるが、里のトップに逆らえるはずもない。
「もうさぁ・・・こっそり喫煙所に行っても見張りに見つかって代わりに飴玉を渡されるんだよ。今日だけで何個渡されたと・・・」
口が寂しいなら飴玉でも舐めてろ、と綱手が用意した飴玉。
ため息をつくカカシに、何回喫煙所に近づいたんだ、と呆れて何も言えない。
「まぁ、オレはそんなに吸う方じゃないから多少は我慢出来るけどさ。コイツは・・・」
カカシがチラッ、と隣を見るのでサクラもその人物を見る。
普段は見た目は怖いながらも、優しい笑顔で接してくれるアスマ。
しかし現在。
木ノ葉丸の隣で、誰かヤッてきたんじゃないかと思うぐらいの殺気を醸し出している。
通りかがる人々はその禍々しい気配を感じて近づこうともしない。
普通に近づけるのはカカシ先生と木ノ葉丸と、恋人であるいのぐらいだ。
「で、木ノ葉丸はなんでここにいるのよ。しかも飴まで舐めて」
腕を組んで見下ろすサクラに、咥えていた飴を口からチュパッと取り出す。
「さっき歩いてたら捕まったんだ、コレ。で、ここに座っとけって言われて、飴いっぱいもらった」
ニシシ、とナルトそっくりに笑う木ノ葉丸。
サクラはチラッとカカシを見ると、眉を下げて笑う。
「オレらじゃ飴舐めきれないし。それに、この男と2人でいたくない」
確かに、とサクラも心の中で同感する。
さっきまで一言も話さなかったアスマは、恋人が来たことによってさっきより眉間の皺が緩和され、額を合わせて2人だけが聞こえる声量で話し始めた。
それは甘い雰囲気で、見てるこっちが恥ずかしい。
「そろそろ帰るぞ、コレ」
木ノ葉丸は立ち上がると、「サクラ姉ちゃんもいるか?コレ」と言ってポケットから飴玉を取り出して両手いっぱいに乗せて差し出してくる。
それは棒が付いた飴だったり、カラフルな可愛い袋に入った飴玉だったり。
サクラが顎に手を当てて悩んでいる時だった。
「んぐ!?」
いきなり隣から変な声が聞こえた。
何事かと見ると、アスマが咥えていた飴玉をいのが持っていて、その両手でアスマの頬を挟み唇を合わせていたのだ。
それも深く、大人の・・・。
サクラは木ノ葉丸を見ると、顔を真っ赤にして2人を見ていた。
慌てて手を木ノ葉丸の目を覆う。
成長したとは言え、まだ幼い木ノ葉丸に見せれるものではない。
いのの肩を掴み体を離そうとしていたアスマだったが、木ノ葉丸の目が隠されたことで諦めたのか、いのの腰に手を回して甘い攻撃を受け入れ始めた。
友人の、しかも濃厚なシーンを見せられているサクラは顔を真っ赤にして固まっていた。
自身の目も覆いたかったが、木ノ葉丸からは手は外せなくて。
通りがかる人達もその光景に驚いて同じように顔を真っ赤にして去っていく。
逸らしたくても逸らせないでいると、隣から「なるほど」と能天気な声が聞こえた。
何故か嫌な雰囲気を感じて隣をゆっくり見ると、アスマ達を見ていたカカシがニンマリとした顔でサクラに笑いかける。
「確かに飴よりこっちの方がいいな」
「な、なにが・・・」
すごく嫌な予感がしてこの場を離れたかったが、木ノ葉丸から手が離せない。
カカシは立ち上がりサクラの腕を掴んで逃げない様にする。
もう片方の手で咥えていた飴を取り出して、サクラの耳元に顔を寄せる。
「口寂しいなら、恋人で紛らわせればいい」
いつもより低く、意地悪く囁くその声に身体が跳ねる。
カカシは耳元から顔を離し、唇が合わさる距離まで近づく。
「ちょ、ちょっと・・・」
「声出さないようにしないと、木ノ葉丸に聞かれるよ?」
その声に思わず手に力が入って、下の方で「ど、どうなってるんだ、コレ!?」と聞こえたが、それどころではない。
手を離したら子供に悪影響を及ぼす場面を見せてしまう。
それも目の前と上で。
聞こえないようにと言うが、この男が我慢できるようにするわけがない。
むしろわざと喘がせるように激しく。
カカシはふっ、と笑ってサクラの口を塞ぐ。
それはサクラが思っていた通りで。
サクラは漏れ出る声を何とか抑えようするが、それを許すカカシではなくて更に激しくなる。
だんだんボーとする頭の中でサクラは綱手に文句を言う。
来年は禁煙運動を取りやめてもらわないとこっちの身がどうなってしまうのか分からない。
医務室で作業をしていると、親友である山中いのがドア付近で手招きしていた。
「なに?」
「面白いものがあるのよ」
いのはサクラの手を引いてある場所へと連れて行った。
そこは木ノ葉の広場の一角にあるベンチ。
そこだけ異様な雰囲気を放っていた。
「・・・何してるんですか」
「サクラ」
しかめっ面で見上げてくる恋人の口には白い棒が咥えられていた。
それは隣に座る木ノ葉とアスマの口にも咥えられていて、ほのかに甘い香りもする。
「なにそれ」
「飴」
「なんで」
質問ばかりしてきて、カカシは眉間に皺を寄せて。
「サクラたちが決めたんでしょ」
「え?」
「今日が何の日か忘れたわけ?」
呆れたように見てくるカカシに、サクラは顎に手を当てる。
「今日って、18日・・・・・・あ、禁煙運動」
思い出して手を叩くと、カカシはうんうん、と頷いた。
サクラには全く無関係だったから忘れていたが、
近年忍の喫煙率が上がり、健康のことに頭を悩ませていた綱手が決めた禁煙運動。
この日は喫煙の禁止、喫煙所の封鎖など、医務局を筆頭に徹底的に禁煙運動をしている。
もちろん医療関係者にも喫煙をしている人はいるが、里のトップに逆らえるはずもない。
「もうさぁ・・・こっそり喫煙所に行っても見張りに見つかって代わりに飴玉を渡されるんだよ。今日だけで何個渡されたと・・・」
口が寂しいなら飴玉でも舐めてろ、と綱手が用意した飴玉。
ため息をつくカカシに、何回喫煙所に近づいたんだ、と呆れて何も言えない。
「まぁ、オレはそんなに吸う方じゃないから多少は我慢出来るけどさ。コイツは・・・」
カカシがチラッ、と隣を見るのでサクラもその人物を見る。
普段は見た目は怖いながらも、優しい笑顔で接してくれるアスマ。
しかし現在。
木ノ葉丸の隣で、誰かヤッてきたんじゃないかと思うぐらいの殺気を醸し出している。
通りかがる人々はその禍々しい気配を感じて近づこうともしない。
普通に近づけるのはカカシ先生と木ノ葉丸と、恋人であるいのぐらいだ。
「で、木ノ葉丸はなんでここにいるのよ。しかも飴まで舐めて」
腕を組んで見下ろすサクラに、咥えていた飴を口からチュパッと取り出す。
「さっき歩いてたら捕まったんだ、コレ。で、ここに座っとけって言われて、飴いっぱいもらった」
ニシシ、とナルトそっくりに笑う木ノ葉丸。
サクラはチラッとカカシを見ると、眉を下げて笑う。
「オレらじゃ飴舐めきれないし。それに、この男と2人でいたくない」
確かに、とサクラも心の中で同感する。
さっきまで一言も話さなかったアスマは、恋人が来たことによってさっきより眉間の皺が緩和され、額を合わせて2人だけが聞こえる声量で話し始めた。
それは甘い雰囲気で、見てるこっちが恥ずかしい。
「そろそろ帰るぞ、コレ」
木ノ葉丸は立ち上がると、「サクラ姉ちゃんもいるか?コレ」と言ってポケットから飴玉を取り出して両手いっぱいに乗せて差し出してくる。
それは棒が付いた飴だったり、カラフルな可愛い袋に入った飴玉だったり。
サクラが顎に手を当てて悩んでいる時だった。
「んぐ!?」
いきなり隣から変な声が聞こえた。
何事かと見ると、アスマが咥えていた飴玉をいのが持っていて、その両手でアスマの頬を挟み唇を合わせていたのだ。
それも深く、大人の・・・。
サクラは木ノ葉丸を見ると、顔を真っ赤にして2人を見ていた。
慌てて手を木ノ葉丸の目を覆う。
成長したとは言え、まだ幼い木ノ葉丸に見せれるものではない。
いのの肩を掴み体を離そうとしていたアスマだったが、木ノ葉丸の目が隠されたことで諦めたのか、いのの腰に手を回して甘い攻撃を受け入れ始めた。
友人の、しかも濃厚なシーンを見せられているサクラは顔を真っ赤にして固まっていた。
自身の目も覆いたかったが、木ノ葉丸からは手は外せなくて。
通りがかる人達もその光景に驚いて同じように顔を真っ赤にして去っていく。
逸らしたくても逸らせないでいると、隣から「なるほど」と能天気な声が聞こえた。
何故か嫌な雰囲気を感じて隣をゆっくり見ると、アスマ達を見ていたカカシがニンマリとした顔でサクラに笑いかける。
「確かに飴よりこっちの方がいいな」
「な、なにが・・・」
すごく嫌な予感がしてこの場を離れたかったが、木ノ葉丸から手が離せない。
カカシは立ち上がりサクラの腕を掴んで逃げない様にする。
もう片方の手で咥えていた飴を取り出して、サクラの耳元に顔を寄せる。
「口寂しいなら、恋人で紛らわせればいい」
いつもより低く、意地悪く囁くその声に身体が跳ねる。
カカシは耳元から顔を離し、唇が合わさる距離まで近づく。
「ちょ、ちょっと・・・」
「声出さないようにしないと、木ノ葉丸に聞かれるよ?」
その声に思わず手に力が入って、下の方で「ど、どうなってるんだ、コレ!?」と聞こえたが、それどころではない。
手を離したら子供に悪影響を及ぼす場面を見せてしまう。
それも目の前と上で。
聞こえないようにと言うが、この男が我慢できるようにするわけがない。
むしろわざと喘がせるように激しく。
カカシはふっ、と笑ってサクラの口を塞ぐ。
それはサクラが思っていた通りで。
サクラは漏れ出る声を何とか抑えようするが、それを許すカカシではなくて更に激しくなる。
だんだんボーとする頭の中でサクラは綱手に文句を言う。
来年は禁煙運動を取りやめてもらわないとこっちの身がどうなってしまうのか分からない。
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