このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

short.1

「サクラー好きだよー」
「はいはい」

ある場所へと行く道すがら、先生は私に告白をしてきてそれを聞き流す。
私たちの前を歩くナルトとサスケくんも先生からの告白を聞くのに慣れて振り返りもしない。

ことの発端は1ヶ月前。
珍しく先生が任務で負傷して、しかもそれを隠していたのだ。
軽い傷だったけど、人には散々怪我には注意しろ、仲間を大事にしろと言っておきながら、自分は私たちに隠していたいたことにものすごく腹が立った。
私は眉と目を吊り上げて、瞳も潤ませて。
先生の腕に包帯を巻き付けながら叱ってやった。
眉を下げて謝ってくる先生に、次隠したら絶対許さないからと言ってやった。
そしたら次の日から先生の告白が始まった。
初めて告白をされた時はビックリして思わず断ったんだけど。
次の日どんな顔すればいいの、と思ったら橋の上に来た先生は何食わぬ顔でまた私に告白してきたのだ。
面を食らって返事を出来ないでいると「またダメかー」と先生は頭を掻きながら笑った。
その顔を見てようやく揶揄われているんだと分かった。
それから毎日先生の告白を流すようになる。
というか、よく1ヶ月も告白出来るなぁ、と感心したわ。


そんなこんなで私たちは任務終わりに4人で向かったのは、焼肉Q。
日頃任務を頑張る私たち下忍に先生たちから労わってくれることになった。
お店に着くとそこにはもう他の班が揃っていて、それから──。

「やっときたわね来たわねアンタたち!」
「アンコ?お前なんでいんのよ」

先生がその人物を見て当然の疑問を持つ。
特別上忍であるみたらしアンコさんがみんなの輪に入っていたのだから。

「さっきアンコに見つかったのよ」
「いやねー!こんな集まりあるなら私も誘ってよー」

あっはっは、と高らかに笑うアンコさん。

「さ、揃ったなら入るわよアンタたち!」
「焼肉焼肉ー!」

店に入るアンコさんに続いてチョウジも入っていく。
その後にみんなが付いていく。
アスマ先生、紅先生、カカシ先生は顔を見合わせてため息を吐いていた。


「じゃあカンパーイ!!」

アンコさんはビールが入ったジョッキを高く上げる。
ナルトとキバも「カンパーイ!」とジュースを掲げる。

「ちょっとアンコ。子供もいるんだからビールは・・・」
「もー、真面目なんだから紅は」

アンコさんは紅先生の背中をバシバシ叩いてビールを一気に呷り「すみませーん!おかわりー!」と店員さんに注文していた。
財布を覗いているアスマ先生を見ていると、アンコさんは酒豪なのかもしれない。




それから食べ盛りの私たちはチョウジを中心にたらふく焼肉を食べて店を出る。
最後尾に出てきたアスマ先生は肩を落として財布を逆さまにゆすっていた。
私はふと、ここにいない人に気づく。

「あの、紅先生」
「ん?どうかした?」
「カカシ先生とアンコさんがいないみたいなんですけど・・・」
「あぁ。カカシは酔い潰れたアンコを介抱してるからまだ店の中よ」
「そうですか・・・」

何故が気分が落ち込んでいると、後ろにいのが気配もなく立つ。

「怪しいわね・・・」
「わっ!な、何よいきなり」
「だって大人の男女が密室に2人でいるのよ?しかも片方は酔ってる・・・何も起きないって言える?」



ダダダダダ、バン!!

いのの言葉に急いで店に戻り、先ほどまでみんなでいた個室の襖を勢いよく開けると、
そこにはアンコさんに押し倒されていたカカシ先生がいた。

「さ、サクラ!」
「なに、してるの」
「えっ」

いつもより低い声が出た。
すっ、と目を細めて見下ろすと、先生は目を見開いている。
アンコさんは頬を染めて先生の胸に頬を擦り寄せていた。

「あぁ、ごめんなさい。お楽しみ中に」
「ち、違うって!勘違いだから!とにかく紅呼んできて!」

部屋から離れようとしたけど先生の悲痛な叫びに、私は店の外にいる紅先生とアスマ先生を呼びに行った。
3人で部屋に戻ると、アンコさんはすっかりカカシ先生に抱きついて寝入っていて、先生たちに引き剥がされて連れていかれるアンコさんを見送った。

「はー、助かった。ありがとな、サクラ。アイツ酒癖悪いから本当困ってたんだよ」
「・・・ふーん」
「・・・サクラちゃん、何か怒ってる?」
「別に」

よっこらせ、と立つ先生から顔を逸らしていると覗き込んでくるから更に逸らす。

「怒ってるでしょ」
「怒ってないってば!」

しつこいから頬を膨らまして背を向ける。
後ろから喉の奥で笑う声が聞こえてきて、何か悔しいから先生を置いて部屋を出る。

「サークラ」
「・・・何ですか」

楽しそうに呼んでくる声に振り向かず返事をする。
先生はすぐに私に追いついて、また顔を覗き込んでくる。
愛おしそうに見つめてくる瞳に不覚にも胸が高鳴った。

「何で怒ってるのか、分かったら教えて」

3/179ページ