short.1
任務終わり、報告書を出しに行くという先生についていくことに。
私の歩調に合わせて歩いてくれる先生は手を差し出してくれて、私はその手を力強く握る。
任務中は厳しい先生は、終われば思う存分甘やかしてくれる。
ずっと私が話して、先生は相槌を打ちながら目的地へと向かっていると。
「先輩」
気配もなく目の前に男が現れる。
私は驚いて顔を上げると、動物の面で素顔を隠した男はじっと見下ろしてきて、怖くなり先生の後ろに隠れる。
「テンゾウか」
「・・・その子は?」
「オレの教え子だよ」
先生は後ろに隠れる私を見て、私は先生の手をギュッと強く握る。
「・・・こんにちは」
「こんにちは」
声色の変わらない挨拶に、更に先生の腕にしがみつく。
そんな私を先生はふっ、と笑って男の人と向き合う。
「で、用件は」
「三代目がお呼びです」
「分かった」
先生は私に向き合って目線が合うようにしゃがむ。
「サクラ、呼ばれたからここまでだ」
「うん」
繋いでいた手を離すと、先生は微笑んで頭を撫でてくれて、背を向けて歩き出す。
面の男はいつの間にかいなくなっていた。
私は少し猫背の背中を見送り、来た道を戻って家へと向かった。
****
あれから数年。
私はあの時と同じように先生と手を繋いで歩いていた。
他愛のないことを話して先生が相槌をつく。
変わらないようで変わったこともあって。
私の背が伸びて先生との顔の距離が近くなったこと、それから──。
「先輩」
後ろから聞き慣れた声が聞こえて振り返る。
「テンゾウか」
「こんにちは、ヤマト隊長」
「こんにちは、サクラ。それとヤマトです、先輩」
呆れたようにツッコんだ隊長は、すぐに用件を話す。
「五代目がお呼びですよ、先輩」
「またか・・・あの人は人使いが荒いな・・・」
先生がため息をつくのを見て、弟子である私は何とも言えなくて眉を下げる。
ついでに2人は次の任務の話をしだして、私はボーと見ていると何故かあの時のこと思い出した。
「ヤマト隊長って、あの時の面の人ですか?」
ポロッと出た言葉に、2人は驚いたように私を見てくる。
「・・・どうしてそう思ったんだい?」
隊長の表情はいつもと変わらないが、動揺しているのは感じとれた。
「あ、いえ、今の2人を見ているとあの時と既視感があったので。それに、あの時も先生は隊長を「テンゾウ」って呼んでたので」
そう言うと隊長は先生を睨み、肩を竦める先生。
隊長は苦笑しながら私の頭を撫でた。
暗部は動物の面をつけ、素顔を晒してはならない。
ここまでバレては否定しても意味がないと思ったのか隊長は何も言わなかった。
これ以上聞くのは野暮か、と思っていると頭に乗っていた手が別の人物にはたき落とされる。
「なに人の彼女の頭撫でてんのお前」
「・・・先輩、嫉妬は見苦しいですよ」
「ちょっと2人とも・・・こんなとこで喧嘩しないでください・・・」
微笑んでいるのにその瞳は嫉妬の炎を燃やしているカカシ先生と、それを挑発するヤマト隊長。
睨み合う2人の雰囲気を感じ取った人々が何事かとこちらを見てくるので恥ずかしくて止める。
視線に気づいた隊長が小さく息を吐き、私たちに背を向ける。
「とにかく五代目の伝言は伝えましたからね。サクラ、また明日任務で」
「は、はい。お疲れ様です、隊長」
頭を下げると隊長は片手を上げて人混みの中に紛れていった。
ほっ、としていると後ろから先生に抱きしめられる。
「とに。アイツは抜け目がない」
「何が?」
首を傾げながら先生を見ると、眉を下げて微笑みながら頭を横に振る。
「サクラは知らなくてもいいことだよ」
「なにそれ〜。あ、そうだ、先生師匠に呼ばれてたんだから早く行かなくちゃ!」
「えー・・・面倒なんだけど・・・このままサクラとデートしてたい」
「それ私も怒られる羽目になるでしょ!私も付いていってあげるから!」
渋る先生の背中を押しながら私たちは火影棟へと向かった。
私の歩調に合わせて歩いてくれる先生は手を差し出してくれて、私はその手を力強く握る。
任務中は厳しい先生は、終われば思う存分甘やかしてくれる。
ずっと私が話して、先生は相槌を打ちながら目的地へと向かっていると。
「先輩」
気配もなく目の前に男が現れる。
私は驚いて顔を上げると、動物の面で素顔を隠した男はじっと見下ろしてきて、怖くなり先生の後ろに隠れる。
「テンゾウか」
「・・・その子は?」
「オレの教え子だよ」
先生は後ろに隠れる私を見て、私は先生の手をギュッと強く握る。
「・・・こんにちは」
「こんにちは」
声色の変わらない挨拶に、更に先生の腕にしがみつく。
そんな私を先生はふっ、と笑って男の人と向き合う。
「で、用件は」
「三代目がお呼びです」
「分かった」
先生は私に向き合って目線が合うようにしゃがむ。
「サクラ、呼ばれたからここまでだ」
「うん」
繋いでいた手を離すと、先生は微笑んで頭を撫でてくれて、背を向けて歩き出す。
面の男はいつの間にかいなくなっていた。
私は少し猫背の背中を見送り、来た道を戻って家へと向かった。
****
あれから数年。
私はあの時と同じように先生と手を繋いで歩いていた。
他愛のないことを話して先生が相槌をつく。
変わらないようで変わったこともあって。
私の背が伸びて先生との顔の距離が近くなったこと、それから──。
「先輩」
後ろから聞き慣れた声が聞こえて振り返る。
「テンゾウか」
「こんにちは、ヤマト隊長」
「こんにちは、サクラ。それとヤマトです、先輩」
呆れたようにツッコんだ隊長は、すぐに用件を話す。
「五代目がお呼びですよ、先輩」
「またか・・・あの人は人使いが荒いな・・・」
先生がため息をつくのを見て、弟子である私は何とも言えなくて眉を下げる。
ついでに2人は次の任務の話をしだして、私はボーと見ていると何故かあの時のこと思い出した。
「ヤマト隊長って、あの時の面の人ですか?」
ポロッと出た言葉に、2人は驚いたように私を見てくる。
「・・・どうしてそう思ったんだい?」
隊長の表情はいつもと変わらないが、動揺しているのは感じとれた。
「あ、いえ、今の2人を見ているとあの時と既視感があったので。それに、あの時も先生は隊長を「テンゾウ」って呼んでたので」
そう言うと隊長は先生を睨み、肩を竦める先生。
隊長は苦笑しながら私の頭を撫でた。
暗部は動物の面をつけ、素顔を晒してはならない。
ここまでバレては否定しても意味がないと思ったのか隊長は何も言わなかった。
これ以上聞くのは野暮か、と思っていると頭に乗っていた手が別の人物にはたき落とされる。
「なに人の彼女の頭撫でてんのお前」
「・・・先輩、嫉妬は見苦しいですよ」
「ちょっと2人とも・・・こんなとこで喧嘩しないでください・・・」
微笑んでいるのにその瞳は嫉妬の炎を燃やしているカカシ先生と、それを挑発するヤマト隊長。
睨み合う2人の雰囲気を感じ取った人々が何事かとこちらを見てくるので恥ずかしくて止める。
視線に気づいた隊長が小さく息を吐き、私たちに背を向ける。
「とにかく五代目の伝言は伝えましたからね。サクラ、また明日任務で」
「は、はい。お疲れ様です、隊長」
頭を下げると隊長は片手を上げて人混みの中に紛れていった。
ほっ、としていると後ろから先生に抱きしめられる。
「とに。アイツは抜け目がない」
「何が?」
首を傾げながら先生を見ると、眉を下げて微笑みながら頭を横に振る。
「サクラは知らなくてもいいことだよ」
「なにそれ〜。あ、そうだ、先生師匠に呼ばれてたんだから早く行かなくちゃ!」
「えー・・・面倒なんだけど・・・このままサクラとデートしてたい」
「それ私も怒られる羽目になるでしょ!私も付いていってあげるから!」
渋る先生の背中を押しながら私たちは火影棟へと向かった。
5/179ページ