年末年始
「ん・・・・・・」
カーテンの隙間から入ってくる太陽の光で目が覚める。
何時かを確認しようと体を動かそうとするが何故か重くて動かけない。
目を開けて横を見ると、そこには師であるカカシ先生が私を抱きしめるように眠っていた。
驚いて悲鳴を上げそうになったが、昨日先生の家に遊びにきて鍋を食べて私が一緒に布団に入ることを強要したことを思い出し、すんでで止める。
自分の力では先生の腕を外せそうになくて暫く先生が起きるのを待つことにした。
いつもなら人の気配に敏感な人が起きる気配がない。
お酒の力なのか、私のことを信頼しているからなのか。
後者なら嬉しいな、と顔がニヤける。
今までちゃんと見たことはなかったが、睫毛が思ったより長い。
それに顔立ちも整っている方だ。
しかし寝ているときでも口布外さないのか、この男は。
ご飯を食べているときも絶妙な角度で見えなかったから悔しい。
この隙に見れないだろうか。
そんな好奇心から、そっと指を口布にかけてゆっくり下ろす。
あと少しってところでカカシ先生が身じろぎをし出した。
慌てて指を顔から離す。
するとゆっくりと瞼が上がり、虚な瞳と目が合う。
「先生、おはようございます」
挨拶をしても返事がなく、ただボーと私を見てくる。
ようやく頭が働いてきたのか、その目がだんだん丸くなっていく。
いきなり後ろへとガバっと飛び起きるが、シングルベッドに2人で寝ているのだ。
手が滑った先生は「うわ!」と声をあげてベッドから落ちる。
「先生、大丈夫?」
ベッドの上から声をかけると、「ハハハ」と言いながら眉を下げて頭を掻いていた。
ようやく拘束から解放された私はベッドから降りて顔を洗いにいく。 何故か放心状態のカカシ先生を置いて。
洗面所から戻ってもまだ床で放心してたからどこか怪我をしたのかと思って聞いても「大丈夫」しか言わないからご飯の準備をし始める。
パンがあったから2枚焼いてコーヒーを準備する。
ようやく動きだした先生が顔を洗いに洗面所に行って、戻ってきたときにはパンが焼けたところだった。
いただきます、と言って2人でパンに齧りつく。
「そうだ。先生、今年も振袖着付けて貰っていい?」
「ああ、いいよ」
コーヒーを飲みながら返事をしてくれたので、あとで出しとかないと。
去年、4人で先生の家の近くの神社に行くことになった時。
振袖着たかったなって呟いたら、先生が持ってきたら着付けるよと言ったのだ。
私は慌てて家に帰って一昨年買った振袖を抱えて先生の家に戻り、先生は何も見ずに綺麗に着付けてくれたのだ。
何で着付けれるのって聞いたけどはぐらかされた。
多分、女の人に着付けたことがあるんだろう。
そう思ったら嫌な気分になったことを覚えてる。
「先生、お願いしまーす」
「はいはい」
朝食を終えて着物を取り出し、簡単に髪を結って肌襦袢に着替える。
先生が着付けてくれるとどうしても密着する。
こんな至近距離に先生がいたことがあまりないから2回目といえど緊張する。
チラッと先生を見てもいつも通りの顔で、私だけドキドキしてて悔しい。
「はい、完成」
その言葉に私は鏡の前に立つ。
薄いピンク色の着物に色鮮やかな花が描かれた一目惚れして買ってもらった振袖。
「うん。やっぱりサクラはピンクが似合うね」
鏡越しに目があって褒めてくれる先生に頬が熱くなる。
先生は普段着に着替えて部屋を出る。
行く先は去年も行った小さい神社。
木ノ葉には大きいところもあるが、ここからは少し遠いし先生は人混みが嫌いだから毎年ここに行くんだとか。
小さいと言っても何件か屋台も出ているし、雰囲気も落ち着いてて私も好きな神社になった。
2人並んで神社へと歩く。
慣れない下駄に躓きながら歩く私に、先生が手を差し出してくれて手を繋いで歩いた。
時々すれ違う人が私を見て先生を見て驚く。
木ノ葉の忍であるカカシ先生は里に住んでる人なら誰でも知ってる有名人。
若い女の人もカカシ先生を見て頬を染め、隣に私がいると気づくとガッカリしているのを見て優越感に浸る。
チラっと横を見ると、服が違うだけでいつもの先生じゃなく見える。
いつもと同じ猫背で口布をつけボーとした顔なのに、大人の男の人に見えてしまいドキドキする。
思わず手を強く握ると、「どうした?」と聞かれて「何でもない」と返す。
このドキドキが先生にバレませんように・・・・・・。
神社について参拝しておみくじを引いた。
先生が大吉で私が吉。
おみくじが結ばれた木の小枝に結ぶと、何故か先生も隣に結んだ。
理由を聞くと「なんとなく」、だそうだ。
その後はたこ焼きを買って近くに座るところがあったので並んで座り出来たてを食べる。
ハフハフと食べていると、また先生がこちらを見ていた。
また笑ってくるのかと思ったら、ただ目を細めて見つめてくるだけ。
いつもと違う感じがして先生が見れなくて、真っ赤になってたこ焼きを口に詰め込んだ。
食べ終わったらまた手を繋いで先生の部屋へと歩く。
着いたら荷物をまとめて自分の家に帰らなきゃいけない。
何故かすごく寂しくなった。
このままずっと手を繋いでいたいって思ってたら足が止まってしまった。
先生も止まって振り返って見つめてくる。
ーー帰りたくない。でも帰らなきゃ。
そう思っても足が進まなくて俯く。
すると、先生が私の腕を引っ張る。
顔を上げると目を細め微笑んで、部屋とは違う方向に歩き出す。
「先生?」
不安になって問いかけるけど振り返らずただ歩いている。
「サクラに見せたいものがあるんだ」
そう言って坂を上がった先にあるのは春になると桜が満開になる公園。
でも今は1月。
まだ桜が咲く時期ではない。
真っ直ぐ歩く先生に引かれてついていくと、開けた場所に1本の木が立っていて。
桜が咲いていたのだ。
「え、何で・・・?」
不思議になって桜と先生を交互に見る。
「狂い咲きってやつかな。先月温かったときがあったから咲いちゃったんだろうね」
私の名前の由来の花をこんなに早く見れると思わなかった。
ほかに誰もいない、カカシ先生と2人きりで。
そう思ったら顔が赤くなるのを感じて頬に手を添える。
すると先生が顔を覗き込んでニコッと笑いかけてくるから、尚更赤くなる。
「サクラ。春になってここの桜が満開になったらまた一緒に来てくれないか?」
私の真正面に立って両手を掴んで聞いてくる先生の顔が恥ずかしくて見れない。
「う、うん。いのとかキバたちも誘ってみんなでお花見とか」
「いや、2人で」
私の言葉を遮ってきた言葉に驚いて先生の顔を見ると、いつもとは違って真剣な顔をしていた。
「だめ?」
「う、ううん」
頭を横に振ると、嬉しそうに笑う先生を見ると私も嬉しくなる。
暫く桜を見てまた手を繋いでその場を離れる。
帰路に向かっている間先生が色々話しかけてくれたけど私の頭はもう約束のことで頭がいっぱいで、さっきまでの寂しさは無くなっていた。
早く春にならないかな。
カーテンの隙間から入ってくる太陽の光で目が覚める。
何時かを確認しようと体を動かそうとするが何故か重くて動かけない。
目を開けて横を見ると、そこには師であるカカシ先生が私を抱きしめるように眠っていた。
驚いて悲鳴を上げそうになったが、昨日先生の家に遊びにきて鍋を食べて私が一緒に布団に入ることを強要したことを思い出し、すんでで止める。
自分の力では先生の腕を外せそうになくて暫く先生が起きるのを待つことにした。
いつもなら人の気配に敏感な人が起きる気配がない。
お酒の力なのか、私のことを信頼しているからなのか。
後者なら嬉しいな、と顔がニヤける。
今までちゃんと見たことはなかったが、睫毛が思ったより長い。
それに顔立ちも整っている方だ。
しかし寝ているときでも口布外さないのか、この男は。
ご飯を食べているときも絶妙な角度で見えなかったから悔しい。
この隙に見れないだろうか。
そんな好奇心から、そっと指を口布にかけてゆっくり下ろす。
あと少しってところでカカシ先生が身じろぎをし出した。
慌てて指を顔から離す。
するとゆっくりと瞼が上がり、虚な瞳と目が合う。
「先生、おはようございます」
挨拶をしても返事がなく、ただボーと私を見てくる。
ようやく頭が働いてきたのか、その目がだんだん丸くなっていく。
いきなり後ろへとガバっと飛び起きるが、シングルベッドに2人で寝ているのだ。
手が滑った先生は「うわ!」と声をあげてベッドから落ちる。
「先生、大丈夫?」
ベッドの上から声をかけると、「ハハハ」と言いながら眉を下げて頭を掻いていた。
ようやく拘束から解放された私はベッドから降りて顔を洗いにいく。 何故か放心状態のカカシ先生を置いて。
洗面所から戻ってもまだ床で放心してたからどこか怪我をしたのかと思って聞いても「大丈夫」しか言わないからご飯の準備をし始める。
パンがあったから2枚焼いてコーヒーを準備する。
ようやく動きだした先生が顔を洗いに洗面所に行って、戻ってきたときにはパンが焼けたところだった。
いただきます、と言って2人でパンに齧りつく。
「そうだ。先生、今年も振袖着付けて貰っていい?」
「ああ、いいよ」
コーヒーを飲みながら返事をしてくれたので、あとで出しとかないと。
去年、4人で先生の家の近くの神社に行くことになった時。
振袖着たかったなって呟いたら、先生が持ってきたら着付けるよと言ったのだ。
私は慌てて家に帰って一昨年買った振袖を抱えて先生の家に戻り、先生は何も見ずに綺麗に着付けてくれたのだ。
何で着付けれるのって聞いたけどはぐらかされた。
多分、女の人に着付けたことがあるんだろう。
そう思ったら嫌な気分になったことを覚えてる。
「先生、お願いしまーす」
「はいはい」
朝食を終えて着物を取り出し、簡単に髪を結って肌襦袢に着替える。
先生が着付けてくれるとどうしても密着する。
こんな至近距離に先生がいたことがあまりないから2回目といえど緊張する。
チラッと先生を見てもいつも通りの顔で、私だけドキドキしてて悔しい。
「はい、完成」
その言葉に私は鏡の前に立つ。
薄いピンク色の着物に色鮮やかな花が描かれた一目惚れして買ってもらった振袖。
「うん。やっぱりサクラはピンクが似合うね」
鏡越しに目があって褒めてくれる先生に頬が熱くなる。
先生は普段着に着替えて部屋を出る。
行く先は去年も行った小さい神社。
木ノ葉には大きいところもあるが、ここからは少し遠いし先生は人混みが嫌いだから毎年ここに行くんだとか。
小さいと言っても何件か屋台も出ているし、雰囲気も落ち着いてて私も好きな神社になった。
2人並んで神社へと歩く。
慣れない下駄に躓きながら歩く私に、先生が手を差し出してくれて手を繋いで歩いた。
時々すれ違う人が私を見て先生を見て驚く。
木ノ葉の忍であるカカシ先生は里に住んでる人なら誰でも知ってる有名人。
若い女の人もカカシ先生を見て頬を染め、隣に私がいると気づくとガッカリしているのを見て優越感に浸る。
チラっと横を見ると、服が違うだけでいつもの先生じゃなく見える。
いつもと同じ猫背で口布をつけボーとした顔なのに、大人の男の人に見えてしまいドキドキする。
思わず手を強く握ると、「どうした?」と聞かれて「何でもない」と返す。
このドキドキが先生にバレませんように・・・・・・。
神社について参拝しておみくじを引いた。
先生が大吉で私が吉。
おみくじが結ばれた木の小枝に結ぶと、何故か先生も隣に結んだ。
理由を聞くと「なんとなく」、だそうだ。
その後はたこ焼きを買って近くに座るところがあったので並んで座り出来たてを食べる。
ハフハフと食べていると、また先生がこちらを見ていた。
また笑ってくるのかと思ったら、ただ目を細めて見つめてくるだけ。
いつもと違う感じがして先生が見れなくて、真っ赤になってたこ焼きを口に詰め込んだ。
食べ終わったらまた手を繋いで先生の部屋へと歩く。
着いたら荷物をまとめて自分の家に帰らなきゃいけない。
何故かすごく寂しくなった。
このままずっと手を繋いでいたいって思ってたら足が止まってしまった。
先生も止まって振り返って見つめてくる。
ーー帰りたくない。でも帰らなきゃ。
そう思っても足が進まなくて俯く。
すると、先生が私の腕を引っ張る。
顔を上げると目を細め微笑んで、部屋とは違う方向に歩き出す。
「先生?」
不安になって問いかけるけど振り返らずただ歩いている。
「サクラに見せたいものがあるんだ」
そう言って坂を上がった先にあるのは春になると桜が満開になる公園。
でも今は1月。
まだ桜が咲く時期ではない。
真っ直ぐ歩く先生に引かれてついていくと、開けた場所に1本の木が立っていて。
桜が咲いていたのだ。
「え、何で・・・?」
不思議になって桜と先生を交互に見る。
「狂い咲きってやつかな。先月温かったときがあったから咲いちゃったんだろうね」
私の名前の由来の花をこんなに早く見れると思わなかった。
ほかに誰もいない、カカシ先生と2人きりで。
そう思ったら顔が赤くなるのを感じて頬に手を添える。
すると先生が顔を覗き込んでニコッと笑いかけてくるから、尚更赤くなる。
「サクラ。春になってここの桜が満開になったらまた一緒に来てくれないか?」
私の真正面に立って両手を掴んで聞いてくる先生の顔が恥ずかしくて見れない。
「う、うん。いのとかキバたちも誘ってみんなでお花見とか」
「いや、2人で」
私の言葉を遮ってきた言葉に驚いて先生の顔を見ると、いつもとは違って真剣な顔をしていた。
「だめ?」
「う、ううん」
頭を横に振ると、嬉しそうに笑う先生を見ると私も嬉しくなる。
暫く桜を見てまた手を繋いでその場を離れる。
帰路に向かっている間先生が色々話しかけてくれたけど私の頭はもう約束のことで頭がいっぱいで、さっきまでの寂しさは無くなっていた。
早く春にならないかな。