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short.1

サスケが旅から帰ってくると聞いて、久しぶりで集まろうとナルトとサクラが執務室にわざわざ誘いにきた。
しかも見計らったかのようにサスケが報告に来ていた時に。
班でしつこい2人に執拗に誘われて、サスケは観念して頷いているのを苦笑していると、サクラが隣に来る。

「カカシ先生も来るでしょ?」

少し首を傾げて座るカカシを見てくるサクラ。
自分がどうすれば可愛く見えるかをしっかり熟知しているのだ。
そしてカカシはその可愛さに見事引っかかった。

「遅れるだろうけど出来る限り頑張るよ。優秀な補佐にも頑張って貰わないとだけどね」

皆の視線が集まり、資料整理をしていた優秀な補佐は苦虫を噛み潰したかのような顔をしてこちらを向く。

「シカマルよろしく頼むってばよ!あ、お前も来るか?」
「悪いが、夜は予定があんだよ」
「予定?」

首を傾げるナルトにカカシはほくそ笑む。

「あぁ、そろそろ着く頃かな、砂の使者は」

カカシの言葉にシカマルの肩が揺れるのをサクラは見逃さなかった。

「・・・そういえば、明日の会合に砂からカンクロウさんとテマリさんが来るんだっけ」
「なんだよシカマルってば!そういうことなら言えっての!」
「・・・・・・」

このこの、と肘で突いてくるナルトを無視を決め込み仕事を進めるシカマルをカカシは微笑み、隣のサクラの手を取る。

「オレが行くまでナルトがやらかさないか見張っておいてくれよ」
「任せて!」
「えー?オレー?」

自信満々に頷くサクラに、ナルトは不満気な声を上げた。



****



「で、何でこうなってるわけ・・・」

少し遅れて居酒屋の個室に入ると、そこには顔を赤くしてナルトの腕に絡みつくサクラに顔を顰める。
ナルトはカカシの顔を見てサクラを離そうとするも、サクラは離れようとしなくてカカシの眉間の皺が深くなる。

「オレのウーロン茶がウーロンハイと間違われ、それをサクラが間違って飲んだ」

ナルトの代わりにサスケが水を飲みながら答える。
その言葉にカカシは頭を抱えて座敷に上がり、サクラを離そうと肩を掴む。

「サクラ、離れなさい」
「んーん」

イヤイヤ、と首を横に振ってナルトに更にしがみつく。
サクラの小さな胸が当たって頬を赤らめるナルトに舌打ちをする。
恋人が他の男に抱きついているのを見て気がおかしくならない奴がいるのか?

「・・・サクラ」

怒気を込めて低く再度呼ぶと、閉じていた翡翠の瞳がカカシをようやく映す。

「・・・あれぇ、カカシせんせぇだぁ」

ふにゃ、と嬉しそうに笑ったサクラはナルトから手を離してカカシに抱きつく。

「も〜おそい〜。なにしてたのよぉ」
「遅くなるって言ってたでしょ。これでも早く終わらせてきたんだけど」
「それでもおそいのよ〜!」

グリグリと胸に頭を押し付けて甘えてくるサクラ。
見てはいけないものを見たかのようにナルトとサスケは目を逸らす。
カカシは小さくため息を吐き、先ほど店員が持ってきたカカシの水をサクラに握らせる。

「ほら、これ飲みなさい」
「ん〜・・・」

虚な目で呷るも、それは口に入ることなく溢れサクラのスカートを濡らす。

「あ〜」
「・・・何やってんのお前は」

濡れて色が濃くなったスカートにサクラは他人事のように呆れている。
これだから酔っ払いは・・・。
カカシが立ち上がるとサクラはズボンを引っ張って引き止める。

「どこいくのよぉ」
「新しいおしぼり貰ってくるからここで大人しくしときなさい」

口を尖らせて手を離すサクラを呆れたように見て部屋を出る。



****



カカシが出てすぐ、サクラは「眠い」と言って床に寝転がる。
サクラの寝顔を見ようとナルトは視線を落として息を呑む。
無防備に寝転がっているサクラは動きやすい短いスカートを履いている。
任務ではないのでスパッツを履いていないから、ピンク色のパンツが丸見えだった。
固まるナルトに不審に思ったサスケも同じ方を見て同じように固まる。
当の本人は呑気に気持ちよく寝ていて、寝返りをうつとスカートが捲れて先ほどよりスカートの中が見えている。
目を逸らさなくては。
ナルトは分かっていても男のさがから反らせないでいると。



「ナルト」



地の底から這い上がってきたかのようなドスが効いた声に背筋が凍った。
恐る恐る振り返れば、目だけで殺せそうなカカシが出入り口に立っていた。
入ってきたことにも気づかせない、さすが火影といったところか。
ナルトは言い訳をしようと思ってもおにぎりサイズの脳みそからでは出てくるわけがない。
カカシが一歩座敷に足を乗せると、ナルトは逃げるように部屋の奥に転がりこむ。
そんなナルトに見向きもせず、眠るサクラを横抱きで抱え、そのまま部屋を出て行こうとする。
ほっ、と肩を撫で下ろしているナルトにカカシは背を向けたまま。

「朝イチに執務室に来るように」

そう言い残して個室を出ていった。
明日の自分の身に起こる事を想像して大袈裟なほど震えるナルトは、サスケに付いてきて貰おうと先ほどまでサスケがいたところを見るも、そこには何も残っておらず。
部屋には放心したナルトと3人分の伝票だけが残されていて。

「サスケの裏切り者ぉぉぉぉ!!」

床に拳を叩きつけてナルトは泣き叫んだ。



****



カカシはサクラを抱えたまま自身の家に帰りつき、ベッドにサクラを放り投げる。
今まで気持ちよく寝ていたサクラはベッドの上で弾み、眉間に皺を寄せながら目を覚ます。

「なぁに・・・?」
「何じゃない。何でお前は男を前にそんな無防備なわけ」
「おとこ・・・?」
「ナルトとサスケだよ」
「ふたりは、なかまじゃない・・・」
「仲間でも1人の男だってことを自覚しなさい」

え〜?、と酒が抜けきっていないサクラは船を漕ぎながら拙い舌で喋る。
それがまたカカシを苛立たせるのだ。
昔から仲間という理由で2人との距離が近く、それを側で見ているカカシの気持ちときたら。
とにかくお説教だ、とベッドに腰掛けると、サクラが猫のようにカカシに擦り寄る。

「んふふ〜」

抱きつき、カカシの匂いを嗅いでるのか鼻を鳴らしている。
この状態では何を言っても明日の朝には忘れてそうだ。
カカシは諦めてサクラの細い腰に手を回し、一緒にベッドに倒れた。


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