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昨日、カカシ先生に呼び出されて告白をされた。
突然で驚いたけど。
私も好きだったから。
きっとすごい真っ赤になってただろう顔で頷いたら、先生がすごい嬉しそうな顔で笑ってくれて。
その顔を見たら今まで我慢していたものが溢れて泣いちゃって。
先生は何も言わずに落ち着くまで抱きしめてくれた。

その日の夜、家に帰っても先生と付き合えたという実感が湧かなくて、布団に入ってもなかなか寝付けなかった。



****



「ふぁ・・・」
「サクラちゃん眠そうだね」

我慢出来なくて欠伸をすると、隣に座るナルトが話しかけてくる。

「ちょっと寝不足で・・・」
「お前らちゃんと集中しろ。遊びじゃないんだぞ」

ナルトの隣に座るカカシ先生に叱られる。
今回のターゲットである盗賊団が通るのを草陰に隠れて監視しているため、カカシ先生はこちらを見ない。

「ごめんなさい・・・」

謝っても先生はこっちを見てくれない。
隣のナルトはブーブーと文句を言っているので「煩い」とまた叱られていた。
カカシ先生は別の場所で監視していたヤマト隊長に呼ばれ、「監視してろ」と一言言って離れていった。
一瞥もすることもなく去ってくカカシ先生の背中に、やっぱり昨日は夢だったんじゃないかと不安にかられた。


それから集落を襲っていたゴロツキの盗賊団はすぐに捕縛され、自警団に渡して私たちは里へと帰る。
先頭をナルト、サイ、その後ろをカカシ先生とヤマト隊長が並んで歩くのを後から付いていく。
2人難しい顔をしていたから次の任務の話かもしれないと、聞き耳を立てないで目の前の大きな背中を見る。

──あぁ、遠いな。

どれだけ頑張っても、手を伸ばしてもかすりもしない私たちの差。
告白、受けるべきじゃなかったのかなぁ・・・。
私はみんなに気づかれないように鼻を啜った。



木ノ葉に帰り着き、橋の上でヤマト隊長が解散の合図を出す。
ナルト達と途中で別れて1人とぼとぼと帰路につく。
昨日まであんなに浮かれてたのに。
さっさと帰ってさっさと寝よう。
そして、先生に──。
また目が潤みそうになっていると、突然後ろから腕を引っ張られ、そのまま路地に連れ込まれて、
そして力強く抱きしめられる。
すぐさまお腹を殴ってやろうと拳を握るも、よく知ってる匂いに体から力が抜けていく。
顔を見たいけど力が強くて顔が上げられない。

「か、カカシ先生・・・?」

恐る恐る声をかけると、更に抱きしめる腕に力が入り、耳の近くで呼気を感じて慣れない距離に胸が高鳴る。

「何考えてた?」
「えっ?」
「オレに別れ話することとか?」

ギクリと体が強張ったのが分かったのか先生は自嘲気味に笑いながら体を離す。

「当たりだ」
「あ、えっと・・・」

やっと見た先生の顔が辛そうで、その顔をさせてるのは私だ。
何て言ったらいいのか、と頭を働かせていると頬に先生の手が優しく触れる。

「オレは別れる気ないよ。やっとお前を手に入れたんだ」
「先生・・・」
「それに1日で別れたら、浮かれてた昨日の自分が可哀想になる」
「・・・え?浮かれてた?カカシ先生が?」

驚いて見上げると、先生も上を向いて、眉を下げて私を見下ろしてくる。
その頬は口布を付けていても分かるほど赤かった。

「そうだよ。昨日サクラと別れてからもずっと浮かれてて一睡もしてないからね」
「先生も!?」
「やっぱりサクラもか」

苦笑する先生の顔に、今日の任務のことを思い出して落ち込む。

「今日はごめんなさい・・・でも浮かれてるなんて全く分からなかったわ」
「これでも上忍なんでね。数年の中忍に見抜かれるほど甘くないんだよ」

先生は膨らんだ私の頬を面白そうに突く。
そして真剣な目で見つめてくる。

「オレはお前達の上司だから、お前だけを特別扱いすることは出来ない。これから先、何回も同じ気持ちにさせるかもしれない。それでもオレは、サクラの側に居たい」
「・・・うん、私も。それにその方がカカシ先生ぽい」
「なんだそれ」

私は先生に思い切り抱きつくと、先生も笑って思い切り抱きしめ返してくれた。
暫くそのままでいると、先生は口布を下げて顔を近づけてくる。
何をしたいのか分かり、私は顔を真っ赤に染めて止める。

「せ、先生!ここ、人くるから・・・!」

人通りが少ない路地とは言え、少ないだけで通る人は通る。
現に男の人が気まずそうに私たちの側を通っていった。
ちょっと不満そうな顔をした先生は口布を上げて、私の手を取って歩き出す。

「ど、どこに・・・」
「オレの家」
「えっ!?」

──もう!?そりゃ先生は大人だけど私はしたことないし、まだ付き合って2日目だし・・・。
色んなことが頭の中でグルグル回っていると、先生が肩越しにこちらを見る。

「・・・ダメ?」

ぐっ!
何だその子犬みたいな顔は!!
そんな顔されたら、されたら・・・。

「・・・ダメ、じゃない・・・」

恥ずかしくて俯きながらそう言うと、握る手が強くなって体温が上がった気がする。



そのまま手を繋いで、話すこともなく先生の住むアパートに着いて
家の中に入ると同時に唇を塞がれた。
軽くキスをして、顔を離すと普段は隠されている紅い瞳にも私を映す。

「外じゃちゃんと"カカシ先生"するからさ。ここにいるときはサクラだけのオレになっていい?」

その言い方がおかしくて、笑うと先生は膨れて頬を噛んでくる。

「じゃあ私もここにいるときは先生だけのサクラになるわ」

少し背伸びをして先生の唇にキスをすると、先生は嬉しそうに笑ってさっきより深く唇を合わせた。

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