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今日の任務は小麦畑の収穫のお手伝い。
高齢の夫妻で畑をやっていたが、おばあさんが怪我をして作業を出来なくなり、収穫時期もあり木ノ葉に依頼を出した、ということらしい。
私たちは鎌を手に黄金の小麦の中に入って丁寧に刈り取っていく。
今日は雲一つない快晴。
炎天下の中作業していると汗が体中から噴き出て気持ちが悪い。
それに熱中症も問題になっているので、休憩を取りながらの作業。
2人でしているから小さい畑なのかな、と思っていたけど予想の倍以上の広さで、今日中には終わりそうにない。


「ふぅー・・・美味しい」

畑の近くに立っている大きな木の下で4人で休憩。
おじいさんが入れてくれた冷たい麦茶が熱った体に丁度いい。
風が吹いて麦穂がゆらゆらと揺れていて可愛くて1人小さく笑う。
チラッと横に座る男を見る。
木にもたれかかり、こんなにも暑いのにそれを感じさせない涼しい顔であの本を読んでいる。
汗もかかないし、もしかしたら爬虫類かもしれない。
お昼ご飯を食べている時も何故か素顔が見えず、ナルトとサスケくんは何とかして見ようと頑張っていたけどこの暑さで諦めたらしい。

私?私はもう見たことあるもの。
だって、恋人だし・・・。
先生と付き合うことになって初めて見た素顔に顎が外れるかと思ったぐらい驚いた頃が懐かしい。
端正な顔立ちに少し嫉妬したのは内緒だけど。

そろそろ再開しようかなー、と立ち上がった時、また風が吹いて1枚の葉っぱが先生の首筋に落ちた。
気づいていないのか面倒なのか、先生は気にすることもなく本の続きを読んでいる。
しょうがない、と私は手を伸ばし、

「先生、葉っぱがついてる」

葉っぱを取ろうとして指が首に少し当たった。


「──んっ」


先生の肩が小さく揺れて、私の指から葉っぱが落ちる。

──今の声って。

先生は何事もなかったみたいにイチャパラを読んでいるけど、先生の声は隣に座るナルトとサスケくんにも聞こえていたみたいで私と同じように目を丸くしていた。
それからナルトは何を思ったのか先生に静かに近づいて。

「また葉っぱがついてるってばよ、カカシ先生!」


ボンッ
ゴッ

「いってぇぇぇ!指いってぇぇぇ!!」

ナルトが指を押さえて地面で悶えている。
先程まで先生がいた場所には丸太が転がっていた。

「なーにやってんのかねぇ、この子は」

上から声が聞こえて見上げると、木の上のほうにある枝にカカシ先生が座ってこちらを見下ろしていた。

「カカシ先生ー!卑怯だぞー!」
「何が卑怯なのよ。それより早く終わらせないと明日以降もこの任務になるぞー」
「なに!?2人とも、早く終わらせるってばよ!」
「あ、ちょっとナルト!」

ナルトは慌てて畑に走って向い、サスケくんも後を追う。
上を見上げると、先生は私に向かって微笑んで手を振ってくる。
私も小さく振り返して、2人の後を追った。



****



結局収穫は今日中に終わらなくて、明日続きを行うことになり。
里に帰ってきて先生の合図で解散になった後、先生の家の本が気になるから遊びに行ってもいいかと聞いたら先生は頷いてくれた。
それからアカデミーに報告書を提出して、手を繋いで先生の家に行って。
私は先生のベッドでうつ伏せになって本を読んでいる。
先生の持ってる本は忍の歴史とか忍術の本もあってすごく勉強になる。
だから先生の家に遊びに来た時は先生のことを忘れて本を読み耽ってしまうんだけど・・・
今の私は全く本の内容が入ってこない。
本を読んでいるフリをしながら、ベッドに背を預けて床に座りイチャパラを読んでいる先生を盗み見る。

──あの昼間の反応。
いつも飄々としていて、えっちの時だって余裕そうに私の反応を楽しんで。
その先生が首に触れた時、初めて見る反応をした。
その声が何だがイヤらしくて。
もしかしたら、首筋って先生の弱点なのかしら・・・。

私は喉を鳴らして、そっとこちらに背を向ける先生の首に手を伸ばし、


気づいたらベッドに仰向けになっていた。
何が起こったのか分からず目をパチクリさせる私の目の前には、微笑んで覆い被さっているカカシ先生。

「サークラちゃーん?今・・・何しようとしてたのかな?」

すっ、と先生の目が開き、背中に冷や汗が流れる。

「いや、あの、ちょっと気になっただけっていうか・・・」
「んー?何が?」
「うっ・・・」

笑っているのに先生の瞳は全く笑っていない。
とゆうか、怒ってる、すごく。

「んー・・・これはちょーっとオシオキが必要みたいだねぇ?」
「っ!」

先生は笑った。妖しく。
これはやばいと逃げ出したいのに、しっかりと手首も足も押さえつけられていてびくともしない。

「ご、ごめんなさい!許して!」

この後に起こる身の危険に私は涙目で懇願したけど、さっきまでの不機嫌さはどこへやら。

「はは。だぁめ」

ハートマークが付きそうなほどに先生はご機嫌にそう言って笑った。



****



「ニシシ・・・」

次の日、ナルトは忍足で地面に座っているカカシ先生に近づく。
目的は昨日と同じ、先生の首筋。
そろりそろり、とまだ気づかない先生に少しずつ近づき。

「ぐへっ!!」
「静かにして!」

私はナルトにラリアットを決める。
騒ぐ私たちに先生がこっちを見て、私は愛想笑いをしながら近くにいたサスケくんの腕も掴んで3人で先生から少し離れる。

「ゲホゲホっ!何すんだってばよサクラちゃん!」

涙目のナルトを無視して2人に顔を近づける。
鬼気迫る私の表情に2人は息を呑んだ。

「いい?2人とも。カカシ先生の首のことはもう忘れて」
「え、な、何で・・・」
「いいから。地獄を見るわよ」
「じ、地獄!?」

真剣な顔で頷くとナルトとサスケくんは訝しんで顔を見合わせる。

──そう、地獄。それを味わうのは、私だ。

昨日のことを思い出してチラッと後ろを見るとこちらを見ていた先生と目が合う。
先生はニコリ、と微笑んで手を振り、私は引き攣った顔で微笑み返し。

痛む腰をさすった。


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