short.1
「・・・あれ」
任務終わり、恋人を探しに里を歩し薄紅色を見つけた。
自然と弧を描き、声をかけるために近づくと彼女は1人ではなかった。
彼女の前には、同期で元班員であるリンと、オビトが。
珍しい組み合わせだな、と思っていると、何やら不穏な雰囲気を感じた。
リンは困った表情、オビトは呆れた表情、そしてサクラは今にも泣きそうに俯いていた。
そんな彼女の表情を見たカカシは3人に声をかける。
「・・・よー、何してんのお前ら」
カカシの声にサクラは大袈裟なほど肩を跳ねさせ、そして眉間に皺を寄せてこちらを睨んだ。
そんな表情を向けられる謂れはないのでどう反応したらいいのか困っていると、サクラはリンとオビトに頭を下げて、カカシには何も言わず立ち去っていった。
カカシはサクラから2人に目線を向けると、リンは困ったように笑い、オビトはすぐに目を逸らす。
「・・・サクラと何話してたの」
「えっとね、その、サクラちゃんが・・・カカシは昔もモテてたのかって聞いてきたの」
「・・・はぁ?」
思いもよらぬ質問に変な声が出る。
最近サクラがカカシの昔のことを聞くようになったとは思っていたが。
「で、何て答えたわけ」
「私はモテてたけどカカシは恋愛には無関心だったよ、って言ったんだけど、オビトが・・・」
リンは横に立つ、未だにこちらを見ないオビトに目を向ける。
2人からの視線にオビトは鼻を鳴らす。
「面白おかしくお前の女歴、全部話してやった」
「お前は・・・、っ!」
カカシは顔に手を当てて深々とため息を吐き、オビトの肩をどついてサクラを追いかけた。
オビトはカカシに殴られた肩を摩っていると、横から同じように、先程よりは弱い力で腕を殴られた。
そっちを見ればリンが頬を膨らませ、怒った顔をしていた。
「リン?」
「・・・オビトの馬鹿」
「えっ」
いきなり馬鹿呼ばわりされて驚いていると、リンはオビトを置いて歩き出す。
「え、リン。ご飯行くんじゃ」
「意地悪なオビトとは行かない」
「おい、リン!」
オビトは慌ててリンを追いかけた。
****
カカシは1人肩を落として歩くサクラを後ろから捕まえて、暴れるサクラを担いでカカシの家に連れ込む。
家に入ってサクラを降ろすも、サクラは口を尖らせてカカシを見ずに、靴を脱いで部屋の中に入っていく。
カカシも後を追うと、サクラはソファーの上で膝を抱えていた。
カカシはサクラと目線が合うように床に膝をついて顔を覗き込む。
「──2人から話聞いた」
「・・・・・・」
更に俯くサクラの手を取る。
「サクラさ、最近よくオレの昔のこと聞くよね。どうして?」
「・・・・・・」
口を一文字に結ぶサクラの手を握って話してくれるのを待っていると、顔を少し上げてチラッとこちらを伺ったサクラは口を開く。
「だって・・・」
「ん?」
「私、子供だから・・・」
「子供?」
聞き返すとサクラは小さく頷く。
「・・・先生は大人で私は子供で、上忍と下忍で。誰がどう見ても恋人同士には見えないでしょ?先生は大人の女の人といる方がお似合いだし、すごくモテるし。リンさんとオビトさんが先生の昔話しても私は知らないもの。でも見た目は変えられないけど昔の話を聞けば少しはこの差を埋められるかなって・・・」
「それで最近オレの昔のこと聞いてたのか?」
「うん・・・ごめんね、子供っぽいよね。どうでもいいことで落ち込んでヤキモチ焼いて・・・先生と同じ大人だったらこんなこと思わないのに・・・」
サクラの瞳が潤み出す。
声を殺して涙を拭うサクラを思い切り抱きしめた。
「せんせ・・・?」
「大人だって同じこと思うんだぞ」
「え・・・?」
カカシは涙で濡れたサクラの頬を拭う。
「オレもサクラと同じ。どうしようもない埋められないものに悩んでたの。サクラの彼氏でも、世間から見たらただの師と教え子で。班員としてずっと一緒に居られるナルトとサスケに嫉妬してた。体は成長したって中身は変わらないんだよ」
「先生も私と同じ・・・?」
「そ。オレは12歳からのサクラしか知らないけど、ナルトとサスケはアカデミーの頃を知っていて、中忍試験だってオレは一緒に受けられない。お前たちが中忍になったらオレは上忍師を外されて今みたいに一緒に任務を受けられなくなる。でもアイツらはサクラとずっと一緒にいられるだろ?それを考えると、とてつもなく・・・嫉妬してしまう」
顔を上げると情けなく笑うカカシ。
「ヤキモチ焼くのも嫉妬してしまうのも、不安になるのも。大人も子供も関係ないと思うよ、オレは」
「・・・うん」
「だからさ、不安になったらちゃんとオレに言って。無理に大人にならなくていいから」
「うん・・・ありがとう、先生」
サクラはカカシの肩に顔を埋める。
鼻を啜る音に、カカシはポンポンと背中を叩く。
「嫉妬もどんどんオレにぶつけてよ」
「・・・きっとキリないわよ?」
「良いよ。それってオレのこと好きだからだろ?」
「当たり前じゃない」
顔を上げたサクラは頬を膨らませて鼻を啜る。
泣きながら怒った顔。
あぁ、可愛い。
「なら全部もらうよ。サクラの好きは全部オレがもらう」
目を見開いてパチクリさせたサクラは顔を真っ赤にさせる。
「・・・先生って本当私のこと好きよね」
「当たり前でしょ?」
余裕のある顔で微笑むカカシにサクラは口を尖らせて、顔をカカシの方に近づけた。
任務終わり、恋人を探しに里を歩し薄紅色を見つけた。
自然と弧を描き、声をかけるために近づくと彼女は1人ではなかった。
彼女の前には、同期で元班員であるリンと、オビトが。
珍しい組み合わせだな、と思っていると、何やら不穏な雰囲気を感じた。
リンは困った表情、オビトは呆れた表情、そしてサクラは今にも泣きそうに俯いていた。
そんな彼女の表情を見たカカシは3人に声をかける。
「・・・よー、何してんのお前ら」
カカシの声にサクラは大袈裟なほど肩を跳ねさせ、そして眉間に皺を寄せてこちらを睨んだ。
そんな表情を向けられる謂れはないのでどう反応したらいいのか困っていると、サクラはリンとオビトに頭を下げて、カカシには何も言わず立ち去っていった。
カカシはサクラから2人に目線を向けると、リンは困ったように笑い、オビトはすぐに目を逸らす。
「・・・サクラと何話してたの」
「えっとね、その、サクラちゃんが・・・カカシは昔もモテてたのかって聞いてきたの」
「・・・はぁ?」
思いもよらぬ質問に変な声が出る。
最近サクラがカカシの昔のことを聞くようになったとは思っていたが。
「で、何て答えたわけ」
「私はモテてたけどカカシは恋愛には無関心だったよ、って言ったんだけど、オビトが・・・」
リンは横に立つ、未だにこちらを見ないオビトに目を向ける。
2人からの視線にオビトは鼻を鳴らす。
「面白おかしくお前の女歴、全部話してやった」
「お前は・・・、っ!」
カカシは顔に手を当てて深々とため息を吐き、オビトの肩をどついてサクラを追いかけた。
オビトはカカシに殴られた肩を摩っていると、横から同じように、先程よりは弱い力で腕を殴られた。
そっちを見ればリンが頬を膨らませ、怒った顔をしていた。
「リン?」
「・・・オビトの馬鹿」
「えっ」
いきなり馬鹿呼ばわりされて驚いていると、リンはオビトを置いて歩き出す。
「え、リン。ご飯行くんじゃ」
「意地悪なオビトとは行かない」
「おい、リン!」
オビトは慌ててリンを追いかけた。
****
カカシは1人肩を落として歩くサクラを後ろから捕まえて、暴れるサクラを担いでカカシの家に連れ込む。
家に入ってサクラを降ろすも、サクラは口を尖らせてカカシを見ずに、靴を脱いで部屋の中に入っていく。
カカシも後を追うと、サクラはソファーの上で膝を抱えていた。
カカシはサクラと目線が合うように床に膝をついて顔を覗き込む。
「──2人から話聞いた」
「・・・・・・」
更に俯くサクラの手を取る。
「サクラさ、最近よくオレの昔のこと聞くよね。どうして?」
「・・・・・・」
口を一文字に結ぶサクラの手を握って話してくれるのを待っていると、顔を少し上げてチラッとこちらを伺ったサクラは口を開く。
「だって・・・」
「ん?」
「私、子供だから・・・」
「子供?」
聞き返すとサクラは小さく頷く。
「・・・先生は大人で私は子供で、上忍と下忍で。誰がどう見ても恋人同士には見えないでしょ?先生は大人の女の人といる方がお似合いだし、すごくモテるし。リンさんとオビトさんが先生の昔話しても私は知らないもの。でも見た目は変えられないけど昔の話を聞けば少しはこの差を埋められるかなって・・・」
「それで最近オレの昔のこと聞いてたのか?」
「うん・・・ごめんね、子供っぽいよね。どうでもいいことで落ち込んでヤキモチ焼いて・・・先生と同じ大人だったらこんなこと思わないのに・・・」
サクラの瞳が潤み出す。
声を殺して涙を拭うサクラを思い切り抱きしめた。
「せんせ・・・?」
「大人だって同じこと思うんだぞ」
「え・・・?」
カカシは涙で濡れたサクラの頬を拭う。
「オレもサクラと同じ。どうしようもない埋められないものに悩んでたの。サクラの彼氏でも、世間から見たらただの師と教え子で。班員としてずっと一緒に居られるナルトとサスケに嫉妬してた。体は成長したって中身は変わらないんだよ」
「先生も私と同じ・・・?」
「そ。オレは12歳からのサクラしか知らないけど、ナルトとサスケはアカデミーの頃を知っていて、中忍試験だってオレは一緒に受けられない。お前たちが中忍になったらオレは上忍師を外されて今みたいに一緒に任務を受けられなくなる。でもアイツらはサクラとずっと一緒にいられるだろ?それを考えると、とてつもなく・・・嫉妬してしまう」
顔を上げると情けなく笑うカカシ。
「ヤキモチ焼くのも嫉妬してしまうのも、不安になるのも。大人も子供も関係ないと思うよ、オレは」
「・・・うん」
「だからさ、不安になったらちゃんとオレに言って。無理に大人にならなくていいから」
「うん・・・ありがとう、先生」
サクラはカカシの肩に顔を埋める。
鼻を啜る音に、カカシはポンポンと背中を叩く。
「嫉妬もどんどんオレにぶつけてよ」
「・・・きっとキリないわよ?」
「良いよ。それってオレのこと好きだからだろ?」
「当たり前じゃない」
顔を上げたサクラは頬を膨らませて鼻を啜る。
泣きながら怒った顔。
あぁ、可愛い。
「なら全部もらうよ。サクラの好きは全部オレがもらう」
目を見開いてパチクリさせたサクラは顔を真っ赤にさせる。
「・・・先生って本当私のこと好きよね」
「当たり前でしょ?」
余裕のある顔で微笑むカカシにサクラは口を尖らせて、顔をカカシの方に近づけた。
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