short.1
何でもない、いつもの口喧嘩だった。
明日、同僚達と食事に行くと言ったら誰と行くのか、男はいるのか、迎えに行くから何時に終わるのか。
あまりの過保護に腹が立って、思わず
"どこで誰と会おうがカカシ先生には関係ないでしょ。放っておいて!"
その言葉に先生が眉間に皺を寄せる。
カカシ先生はめったに怒らない。
怒るけど、こんなふうに感情を表に出す人じゃない。
その先生がこんなふうになるということは、それだけ怒って、傷ついているということ。
やってしまったと思っても出た言葉は取り消せるわけじゃない。
先生は辛そうに顔を歪めて、椅子にかけてあったベストを手に取り、私の顔を見ずに家を出て行った。
確かに私が悪かったけど、何も言わずに出ていかなくてもいいじゃない。
一気に怒りが頭を支配する。
「なによ、何よ何よ!!」
私はベッドに座り、先生の枕をボコボコに殴る。
すっかり変形した枕を抱えて倒れる。
「・・・カカシ先生の馬鹿」
先生の匂いがついた枕をギュッと抱きしめて、私は眠りについた。
****
ふ、と目を覚ますと、部屋の中はすっかり暗くなっていた。
周りを見渡しても、電気の付いていない部屋には私しかいない。
「せんせ・・・?」
呼んでも大好きな声は返ってこない。
まだ帰ってきてないんだ。
私は枕を抱えたままベッドから降りて電気を付ける。
主がいない部屋は冷たく、寂しい。
「先生・・・」
呼んだって居ないのに、部屋の中で私は愛おしい人を探す。
「カカシせんせぇ」
寂しくて寂しくて。
私は先生の名を呼び続けた。
ガチャ
部屋の真ん中で膝を抱えていると、ドアの開く音が聞こえて、枕を捨てて転けそうになりながら玄関に走る。
そこにはこちらに背を向けて座って靴を脱いでいる先生がいて。
私はその背中に思い切り抱きついた。
「・・・サクラ」
「ごめんなさい、ごめんなさいカカシ先生。先生は心配してくれてたのに」
「いや・・・オレも少し過保護過ぎたな。いつかサクラが他の男の手を取って離れていくんじゃないかっていつも気が気じゃなくてね」
「そんなことあるはずないじゃない。私は先生が好きなのよ」
「・・・うん。ごめんね、自信なくて」
眉を下げて情けなく笑う先生が可愛いと思ってしまった。
「ねぇ、先生」
「ん?」
「仲直りのキス、して」
少し驚いて振り向く先生。
恥ずかしいけど真っ直ぐ、頬を染めて見つめる。
「良いけど、キスだけじゃ終わらないよ?」
「いいわ・・・」
私の言葉に先生の口角が上がり、その唇で優しく塞がれる。
だんだん激しくなっていくキスに力が入らなくなっていると、それが分かったのか頭の後ろに大きな手が添えられて、ゆっくり床に押し倒される。
息が苦しくなって胸を押すと唇が離れる。
熱の籠った灰青の瞳に期待している顔が映っている。
こんな顔をさせるのはカカシ先生しかいないのに。
心配性で過保護の先生の首に腕を伸ばして引き寄せた。
明日、同僚達と食事に行くと言ったら誰と行くのか、男はいるのか、迎えに行くから何時に終わるのか。
あまりの過保護に腹が立って、思わず
"どこで誰と会おうがカカシ先生には関係ないでしょ。放っておいて!"
その言葉に先生が眉間に皺を寄せる。
カカシ先生はめったに怒らない。
怒るけど、こんなふうに感情を表に出す人じゃない。
その先生がこんなふうになるということは、それだけ怒って、傷ついているということ。
やってしまったと思っても出た言葉は取り消せるわけじゃない。
先生は辛そうに顔を歪めて、椅子にかけてあったベストを手に取り、私の顔を見ずに家を出て行った。
確かに私が悪かったけど、何も言わずに出ていかなくてもいいじゃない。
一気に怒りが頭を支配する。
「なによ、何よ何よ!!」
私はベッドに座り、先生の枕をボコボコに殴る。
すっかり変形した枕を抱えて倒れる。
「・・・カカシ先生の馬鹿」
先生の匂いがついた枕をギュッと抱きしめて、私は眠りについた。
****
ふ、と目を覚ますと、部屋の中はすっかり暗くなっていた。
周りを見渡しても、電気の付いていない部屋には私しかいない。
「せんせ・・・?」
呼んでも大好きな声は返ってこない。
まだ帰ってきてないんだ。
私は枕を抱えたままベッドから降りて電気を付ける。
主がいない部屋は冷たく、寂しい。
「先生・・・」
呼んだって居ないのに、部屋の中で私は愛おしい人を探す。
「カカシせんせぇ」
寂しくて寂しくて。
私は先生の名を呼び続けた。
ガチャ
部屋の真ん中で膝を抱えていると、ドアの開く音が聞こえて、枕を捨てて転けそうになりながら玄関に走る。
そこにはこちらに背を向けて座って靴を脱いでいる先生がいて。
私はその背中に思い切り抱きついた。
「・・・サクラ」
「ごめんなさい、ごめんなさいカカシ先生。先生は心配してくれてたのに」
「いや・・・オレも少し過保護過ぎたな。いつかサクラが他の男の手を取って離れていくんじゃないかっていつも気が気じゃなくてね」
「そんなことあるはずないじゃない。私は先生が好きなのよ」
「・・・うん。ごめんね、自信なくて」
眉を下げて情けなく笑う先生が可愛いと思ってしまった。
「ねぇ、先生」
「ん?」
「仲直りのキス、して」
少し驚いて振り向く先生。
恥ずかしいけど真っ直ぐ、頬を染めて見つめる。
「良いけど、キスだけじゃ終わらないよ?」
「いいわ・・・」
私の言葉に先生の口角が上がり、その唇で優しく塞がれる。
だんだん激しくなっていくキスに力が入らなくなっていると、それが分かったのか頭の後ろに大きな手が添えられて、ゆっくり床に押し倒される。
息が苦しくなって胸を押すと唇が離れる。
熱の籠った灰青の瞳に期待している顔が映っている。
こんな顔をさせるのはカカシ先生しかいないのに。
心配性で過保護の先生の首に腕を伸ばして引き寄せた。
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