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湯煙忍法帖

「おーい、サクラー!」

里を歩いていると後ろから呼ばれ、振り向くとテンテンさんが大きく手を振って駆け寄ってくる。

「こんにちは。最近お店も閉まってたからどうしてるのかと思ってたんですけど」
「ちょっとねー。湯の国に行ってたのよ」
「湯の国?」

そういえばミライちゃんの手紙で湯の国に着いたって書いてあった気がする。

「用事があって立ち寄ったのよ。ミライちゃんが任務日数間違えたらしくて下着とかを持っていってあげたわけ」
「あー、そういえば手紙で嘆いてたわね、あの子・・・ところで、先生たちはどうでした?」

チラッとテンテンさんを見ると、ニヤニヤ笑ってくる。
うぅ・・・。

「相変わらずよ。どこでも勝負してるんだからあの2人。あ、そうだ。ねぇサクラ」
「はい?」
「カカシ先生の怖いものってなに?」
「・・・先生の怖いもの、ですか?」

唐突な質問に首を傾げる。

「ちょっとガイ先生を脅かしてやろーと思って、血だらけのお化けに変装して天井から逆さ吊りになったんだけどさ」
「・・・何やってるんですか」

呆れたように見ると、テンテンさんは恥ずかしそうに手を大きく振る。

「あはは!面白いかなーって!でさ、ガイ先生は思惑通りすごい驚いてくれたんだけど、カカシ先生はまったく動じなかったのよ。あの人って驚くことってあるわけ?」
「・・・うーん、私もあんまり驚いてるの見たことないかも」
「サクラでも?やっぱ鍛え方が違うのかなー。まぁいいや。またねー!」
「また・・・」

テンテンさんが来た時のように手を大きく振って去っていくのを見送り、顔を上げて空を見る。

「怖いもの、か・・・」

これだけ長くいても知らないこともまだまだあるんだな、と少し寂しくなった。

「会いたいなぁ・・・」

早く帰ってきて。
その腕で抱きしめて。


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