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short.1

「次!ジェットコースター行くぞサスケ!」
「おい!引っ張るなウスラトンカチ!」

首にポップコーンの入れ物を下げたナルトがサスケの腕を掴んで走って行く。
元気だなー、と思いながらマップを見ながら歩いて付いていくと、隣のサクラも同じことを思ったのか呆れたようにため息を吐く。

「よく食べた後にジェットコースターなんか乗る気になるわね、アイツ」
「サクラは乗らないのか?」
「ジェットコースターあんまり好きじゃなくて。それにコレがあるから」

サクラは分かるように"コレ"を見せる。
先程サクラが露店で買ったアイスクリーム。
確かにアイスを持って乗れないし、急いで食べるのは勿体無い。

「それにしても・・・」

サクラはオレの頭を見て、口に手を当てておかしそうに笑う。

「ぷぷぷ。先生、それ、よく似合ってるわよ」

それ。
何を、と言われなくてもサクラが何を言いたいのかよーく分かる。
先程売店でナルトが無理やり押し付けてきた、遊園地によくあるキャラクターの被り物。
それが何故かパックンを模していた。

「・・・アリガトウ」
「ふふ!」

全然嬉しくもないお礼を言うと、サクラはまた笑ってアイスを口に運ぶ。
先生として年上として、年下の女の子に舐められたままなのは癪に触る。
オレはサクラが気づいていないのを良いことに口布を下げ、サクラの手を掴んでアイスを口に含んだ。
目を丸くするサクラを横目に、顔を顰めながら口布を元に戻す。

「・・・あま」
「・・・は?え、え?」

目の前で起きた出来事がまだ理解出来ていないサクラがおかしくて可愛くて。

「ほら、行くよ」

オレは惚けるサクラの手を取って2人の後をゆっくりと歩いた。


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