short.1
カカシ先生が風邪をひいたのだと紅先生に教えてもらった。
担当上忍がお休みの第七班は紅先生率いる第八班と一緒に行動することになった。
ナルトと一緒に任務出来ることに嬉しそうに笑うヒナタを見ながら、私はこの場にいない人のことを考えてヒナタが羨ましくなった。
任務が終わった足で急いで先生の家に向かう。
肩で息をしながらインターホンを鳴らしたけど反応がない。
渡されていた合鍵で鍵を開けて部屋に入る。
「先生・・・?」
電気は付いておらず、カーテンも閉め切って部屋の中が暗い。
壁つたいに部屋の中を歩いていると何かを蹴ってしまう。
目を凝らすと、それは──。
「か、カカシ先生!?」
部屋着で床に寝転ぶ先生の肩を揺さぶると目がゆっくりと開く。
「・・・サクラ?任務は・・・」
「もう終わったわよ。何でこんなところに・・・風邪が悪化するじゃない」
「あー・・・喉が渇いて、お茶を飲もうとして、きつくて、少し休もうと・・・」
「もう・・・肩貸すからちゃんとベッドで寝てよ」
「悪いね・・・」
重たい先生を支えてベッドに寝かせる。
額に手を当てるとまだ熱が高い。
「薬飲んだの?」
「いや・・・何も食べてない・・・」
「ならちょっと待ってて。おかゆ作ってあげるから」
私はカーテンを開けてキッチンへと向かった。
慣れない料理で何度か失敗をして時間をかけて完成した。
「先生、起きて」
「ん〜・・・」
体を治そうと眠っていた先生をまた起こして、体を起こそうとするのを支えて助ける。
先程より顔色が良い気がする。
「はい、食べて」
「オレ猫舌なんだよねぇ。冷まして食べさせて」
へらっと笑う先生に顔を顰める。
弱っていたら私が何でも我儘を聞くと思っているのだが。
こうなったら私が食べさせるまでこの男は自分では食べないだろう。
私はお粥に息を吹きかけて冷まし、スプーンを差し出す。
「・・・はい、あーん」
「あ〜ん」
もぐもぐと嬉しそうに食べる先生。
そしてまた大きく口を大きく開けるので私はお粥を冷まして食べさせた。
結局全部私が食べさせて完食。
風邪薬のおかげか、先生はすぐにウトウトし出す。
「先生、私帰るからね。鍵はポストに入れておくから──」
そう声をかけて側を離れようとすると手を掴まれる。
「もう少し、そばにいて・・・」
初めて見る恋人の弱った姿に、母性がくすぐられる。
ニヤニヤしてしまいそうになるが、相手は病人なのだと気を引き締める。
それでも嬉しくてやっぱり頬が緩んでしまう。
「しょうがないわね。先生が寝るまで側にいるわ」
「うん・・・ありがとう・・・」
ベッドに座り直して手を握ると、子供のように笑ってすぐに眠りにつく。
その手はしっかりと繋がれていて、これは起きるまで離れられないな、と失笑する。
先生の寝顔を見ながら、前に少しだけしてくれた先生の昔のことを思い出した。
お母さんは物心つく前に亡くなっていて、お父さんも忍だったからほとんど家にいなかったとか。
きっと体調崩しても我儘を言えずに1人で耐えていたんだろう。
それを繰り返して人に弱音を言えなくて仮初の笑顔を貼り付けて。
そんな先生が私にだけ我儘を言ってくれる。
こんな嬉しいことがあるなんて知らなかった。
「先生がいなくて寂しかったんだから。ずっと側にいてあげるから早く良くなってよ」
私は規則正しく寝息をたてる先生の頬に軽くキスをした。
絶対起きてるときには言えないお願いを添えて。
担当上忍がお休みの第七班は紅先生率いる第八班と一緒に行動することになった。
ナルトと一緒に任務出来ることに嬉しそうに笑うヒナタを見ながら、私はこの場にいない人のことを考えてヒナタが羨ましくなった。
任務が終わった足で急いで先生の家に向かう。
肩で息をしながらインターホンを鳴らしたけど反応がない。
渡されていた合鍵で鍵を開けて部屋に入る。
「先生・・・?」
電気は付いておらず、カーテンも閉め切って部屋の中が暗い。
壁つたいに部屋の中を歩いていると何かを蹴ってしまう。
目を凝らすと、それは──。
「か、カカシ先生!?」
部屋着で床に寝転ぶ先生の肩を揺さぶると目がゆっくりと開く。
「・・・サクラ?任務は・・・」
「もう終わったわよ。何でこんなところに・・・風邪が悪化するじゃない」
「あー・・・喉が渇いて、お茶を飲もうとして、きつくて、少し休もうと・・・」
「もう・・・肩貸すからちゃんとベッドで寝てよ」
「悪いね・・・」
重たい先生を支えてベッドに寝かせる。
額に手を当てるとまだ熱が高い。
「薬飲んだの?」
「いや・・・何も食べてない・・・」
「ならちょっと待ってて。おかゆ作ってあげるから」
私はカーテンを開けてキッチンへと向かった。
慣れない料理で何度か失敗をして時間をかけて完成した。
「先生、起きて」
「ん〜・・・」
体を治そうと眠っていた先生をまた起こして、体を起こそうとするのを支えて助ける。
先程より顔色が良い気がする。
「はい、食べて」
「オレ猫舌なんだよねぇ。冷まして食べさせて」
へらっと笑う先生に顔を顰める。
弱っていたら私が何でも我儘を聞くと思っているのだが。
こうなったら私が食べさせるまでこの男は自分では食べないだろう。
私はお粥に息を吹きかけて冷まし、スプーンを差し出す。
「・・・はい、あーん」
「あ〜ん」
もぐもぐと嬉しそうに食べる先生。
そしてまた大きく口を大きく開けるので私はお粥を冷まして食べさせた。
結局全部私が食べさせて完食。
風邪薬のおかげか、先生はすぐにウトウトし出す。
「先生、私帰るからね。鍵はポストに入れておくから──」
そう声をかけて側を離れようとすると手を掴まれる。
「もう少し、そばにいて・・・」
初めて見る恋人の弱った姿に、母性がくすぐられる。
ニヤニヤしてしまいそうになるが、相手は病人なのだと気を引き締める。
それでも嬉しくてやっぱり頬が緩んでしまう。
「しょうがないわね。先生が寝るまで側にいるわ」
「うん・・・ありがとう・・・」
ベッドに座り直して手を握ると、子供のように笑ってすぐに眠りにつく。
その手はしっかりと繋がれていて、これは起きるまで離れられないな、と失笑する。
先生の寝顔を見ながら、前に少しだけしてくれた先生の昔のことを思い出した。
お母さんは物心つく前に亡くなっていて、お父さんも忍だったからほとんど家にいなかったとか。
きっと体調崩しても我儘を言えずに1人で耐えていたんだろう。
それを繰り返して人に弱音を言えなくて仮初の笑顔を貼り付けて。
そんな先生が私にだけ我儘を言ってくれる。
こんな嬉しいことがあるなんて知らなかった。
「先生がいなくて寂しかったんだから。ずっと側にいてあげるから早く良くなってよ」
私は規則正しく寝息をたてる先生の頬に軽くキスをした。
絶対起きてるときには言えないお願いを添えて。
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