始まる恋
「サ〜クラ」
後ろからの猫撫で声に背中がゾワっとした。
無視しているとずっと後ろを付いてくる男。
「お腹空いてない?喉乾いてないか?終わったらあんみつでもどう?」
任務終わり、木ノ葉に帰る道を歩いている間ずっと先生が話しかけてくる。
前を歩くナルトとサスケくんがチラチラとこっちを見てきて居心地が悪い。
「ね〜、サクラちゃんってば」
「もう!いい加減にしてよ!」
我慢の限界がきて振り返って睨む。
しかし当の本人は痛くも痒くもないといった感じにニコニコ笑っているのが更に腹が立つ。
「この間から何なのよ!ウザイくらい絡んできて!」
「だってサクラのことが好きなんだもん」
「ばっ・・・!!」
えっ、と後ろから聞こえたナルトの声に冷や汗が止まらない。
「この前言ったろ?だから好きになって──」
「先生!とりあえずこっちきて!」
とりあえず2人の視線から逃れるために先生の腕を引っ張って林の中に入った。
「何考えてるのよ!」
「何って。アプローチ」
「は!?」
「だから、この間あんみつ食べたときに言ったろ?サクラに好きになってもらえるように猛アプローチするって」
「冗談じゃなかったの!?」
「だから違うって」
はは、と眉を下げて笑う先生に頭が痛い。
「・・・あのね、この間も言ったと思うけど」
「サスケが好きなんだろ?でも付き合ってないならアピールしても良いって言ったのはサクラだ」
「うぅ・・・!!」
偉そうに助言をしていたあの時の自分を殴ってやりたい。
だってまさか自分が先生の想い人になるなんて思わないじゃないか。
私は12歳で、先生は26歳。
大人と子供、14歳差。
到底世間に受け入れられる年齢ではない。
「とにかく私はサスケくんが好き!先生のことは好きにならない!以上!!」
私は先生を指を指してキッパリと言ってやった。
それなのに先生はずっと微笑んでいる。
その顔が腹立って、先生を置いてナルト達の元に戻った。
****
結局その後もカカシ先生にストーカーされ、振り払って家に帰ってベッドに寝転ぶ。
あの執念さ、今後どうしようかと頭を悩まさせながら任務の疲れから夢の世界に落ちていった。
暗闇の中、カカシ先生がいた。
いつもの任務服じゃなくてこちらに背を向けていた。
近づこうとして、先生が持っているモノに気づいて足が止まる。
その手には銀色に光る、刀のようなもの。
そして刀には赤いのが付いていてポタポタと床に垂れている。
「か、カカシ先生・・・?」
恐る恐る声をかけると、振り返った先生の顔には動物の面が──。
「サクラー!!」
大声で呼ぶ声に覚醒する。
気づいたら眠っていて、背中が汗で湿っていた。
夢だったのに変に現実味があって鼓動が早い。
なんだから今すぐ先生に会いたくなった。
そんなことを思っていると部屋のドアが開く。
「何、起きてるじゃない。返事ぐらいしなさいよ」
エプロン姿のお母さんが眉を吊り上げて立っていた。
「お母さんの声に起こされたの・・・なに?」
「ちょっと醤油買ってきて」
「えー?何で私が」
「肉じゃが作ろうと思ったら醤油切らしちゃって。お釣りあげるからさっさと行ってきて」
「もー・・・任務で疲れてるのに」
文句は言ってもお母さんには逆らえないので、私は渋々ベッドから降りた。
****
いつものスーパーでお母さんがよく買う醤油を買って家路を歩く。
まだ18時なのにもう真っ暗。
すぐそこだからと思って上着を着てこなかったから少し寒い。
早く帰ろうと人波に沿って歩いていると、何人か前を歩いていた人が路地に入っていくのが見えた。
特段気にすることでもないのに、私はすごく気になっておつかいを忘れて後を追った。
その人物を追いかけて行くと、里を一望出来る高台の公園に付いた。
その人は身を乗り出して手すりに座った。
どうするんだろう、と木の影から様子を伺っていると、
「サークラ、こっちおいでよ」
クルッとこっちを見たと思ったら座っている手すりを叩いて私の名前を呼んでくるのでビックリした。
もうバレてるなら仕方ないと、ゆっくりカカシ先生の元へと歩いて行く。
「・・・いつからバレてたんですか」
「んー、サクラがオレの後を追いかけてきた当たりかな」
「そんな前から!?気づいてたなら何で声かけてくれないのよ!」
「どうするかな〜って思って。思惑通り付いてきてくれて嬉しいよ」
近づくと先生は嬉しそうに笑ってまた横を叩くので、私は渋々それに従って手すりに座った。
「カカシ先生はこんなところで何やってたんですか」
「んー、時々ね、ここに来て里を見るんだよ」
「どうして?」
「こんな広い世界を見てると自分の悩みなんてちっぽけに思えるから」
すぐそこの里を見ているはずなのに先生の目は遠くを見ているようで、今にも煙のように消えてしまいそうで。
さっきの夢のせいで不安に襲われて、私は横にある先生の手に自分の手を乗せた。
先生は目を丸くして私を見てきて、そこで自分が何をしたのか思い出して顔が熱くなる。
手を離そうとしたら逆に絡めとられて、しかも指も絡めてくる始末。
「ちょ、ちょっと離してよ!」
「こらこら、暴れたら落ちるよ?」
手を振り払おうとするが、自分が今居る場所を思い出して大人しくする。
先生はすんなり手を離したと思ったら私の腰に手を回して引き寄せて、私の頭に頭を乗せてくる。
いきなりのことに私は硬直してしまった。
「サクラ手冷たいな。寒い?」
「・・・寒いから早く離して帰してください」
「もうちょっとだけ付き合って」
なんだが先生の声が泣いているような気がして顔を見たくなったけど乗ってるからダメだった。
「オレ、サクラ好きになって良かった。早くサクラも好きになって?」
「・・・無理。私にはサスケくんがいるもの」
「じゃあフラれたらオレのとこにおいでよ」
「フラれないもん!!」
失礼なことを言われて金切り声を上げると先生はおかしそうに笑い、暫くして静かなったので、仕方なく先生が満足するまで付き合うことにした。
先生の体温でさっきより寒くないし。
昼間とは違う顔を見せている里を先生と見ている。
2人だけの秘密の景色。
後ろからの猫撫で声に背中がゾワっとした。
無視しているとずっと後ろを付いてくる男。
「お腹空いてない?喉乾いてないか?終わったらあんみつでもどう?」
任務終わり、木ノ葉に帰る道を歩いている間ずっと先生が話しかけてくる。
前を歩くナルトとサスケくんがチラチラとこっちを見てきて居心地が悪い。
「ね〜、サクラちゃんってば」
「もう!いい加減にしてよ!」
我慢の限界がきて振り返って睨む。
しかし当の本人は痛くも痒くもないといった感じにニコニコ笑っているのが更に腹が立つ。
「この間から何なのよ!ウザイくらい絡んできて!」
「だってサクラのことが好きなんだもん」
「ばっ・・・!!」
えっ、と後ろから聞こえたナルトの声に冷や汗が止まらない。
「この前言ったろ?だから好きになって──」
「先生!とりあえずこっちきて!」
とりあえず2人の視線から逃れるために先生の腕を引っ張って林の中に入った。
「何考えてるのよ!」
「何って。アプローチ」
「は!?」
「だから、この間あんみつ食べたときに言ったろ?サクラに好きになってもらえるように猛アプローチするって」
「冗談じゃなかったの!?」
「だから違うって」
はは、と眉を下げて笑う先生に頭が痛い。
「・・・あのね、この間も言ったと思うけど」
「サスケが好きなんだろ?でも付き合ってないならアピールしても良いって言ったのはサクラだ」
「うぅ・・・!!」
偉そうに助言をしていたあの時の自分を殴ってやりたい。
だってまさか自分が先生の想い人になるなんて思わないじゃないか。
私は12歳で、先生は26歳。
大人と子供、14歳差。
到底世間に受け入れられる年齢ではない。
「とにかく私はサスケくんが好き!先生のことは好きにならない!以上!!」
私は先生を指を指してキッパリと言ってやった。
それなのに先生はずっと微笑んでいる。
その顔が腹立って、先生を置いてナルト達の元に戻った。
****
結局その後もカカシ先生にストーカーされ、振り払って家に帰ってベッドに寝転ぶ。
あの執念さ、今後どうしようかと頭を悩まさせながら任務の疲れから夢の世界に落ちていった。
暗闇の中、カカシ先生がいた。
いつもの任務服じゃなくてこちらに背を向けていた。
近づこうとして、先生が持っているモノに気づいて足が止まる。
その手には銀色に光る、刀のようなもの。
そして刀には赤いのが付いていてポタポタと床に垂れている。
「か、カカシ先生・・・?」
恐る恐る声をかけると、振り返った先生の顔には動物の面が──。
「サクラー!!」
大声で呼ぶ声に覚醒する。
気づいたら眠っていて、背中が汗で湿っていた。
夢だったのに変に現実味があって鼓動が早い。
なんだから今すぐ先生に会いたくなった。
そんなことを思っていると部屋のドアが開く。
「何、起きてるじゃない。返事ぐらいしなさいよ」
エプロン姿のお母さんが眉を吊り上げて立っていた。
「お母さんの声に起こされたの・・・なに?」
「ちょっと醤油買ってきて」
「えー?何で私が」
「肉じゃが作ろうと思ったら醤油切らしちゃって。お釣りあげるからさっさと行ってきて」
「もー・・・任務で疲れてるのに」
文句は言ってもお母さんには逆らえないので、私は渋々ベッドから降りた。
****
いつものスーパーでお母さんがよく買う醤油を買って家路を歩く。
まだ18時なのにもう真っ暗。
すぐそこだからと思って上着を着てこなかったから少し寒い。
早く帰ろうと人波に沿って歩いていると、何人か前を歩いていた人が路地に入っていくのが見えた。
特段気にすることでもないのに、私はすごく気になっておつかいを忘れて後を追った。
その人物を追いかけて行くと、里を一望出来る高台の公園に付いた。
その人は身を乗り出して手すりに座った。
どうするんだろう、と木の影から様子を伺っていると、
「サークラ、こっちおいでよ」
クルッとこっちを見たと思ったら座っている手すりを叩いて私の名前を呼んでくるのでビックリした。
もうバレてるなら仕方ないと、ゆっくりカカシ先生の元へと歩いて行く。
「・・・いつからバレてたんですか」
「んー、サクラがオレの後を追いかけてきた当たりかな」
「そんな前から!?気づいてたなら何で声かけてくれないのよ!」
「どうするかな〜って思って。思惑通り付いてきてくれて嬉しいよ」
近づくと先生は嬉しそうに笑ってまた横を叩くので、私は渋々それに従って手すりに座った。
「カカシ先生はこんなところで何やってたんですか」
「んー、時々ね、ここに来て里を見るんだよ」
「どうして?」
「こんな広い世界を見てると自分の悩みなんてちっぽけに思えるから」
すぐそこの里を見ているはずなのに先生の目は遠くを見ているようで、今にも煙のように消えてしまいそうで。
さっきの夢のせいで不安に襲われて、私は横にある先生の手に自分の手を乗せた。
先生は目を丸くして私を見てきて、そこで自分が何をしたのか思い出して顔が熱くなる。
手を離そうとしたら逆に絡めとられて、しかも指も絡めてくる始末。
「ちょ、ちょっと離してよ!」
「こらこら、暴れたら落ちるよ?」
手を振り払おうとするが、自分が今居る場所を思い出して大人しくする。
先生はすんなり手を離したと思ったら私の腰に手を回して引き寄せて、私の頭に頭を乗せてくる。
いきなりのことに私は硬直してしまった。
「サクラ手冷たいな。寒い?」
「・・・寒いから早く離して帰してください」
「もうちょっとだけ付き合って」
なんだが先生の声が泣いているような気がして顔を見たくなったけど乗ってるからダメだった。
「オレ、サクラ好きになって良かった。早くサクラも好きになって?」
「・・・無理。私にはサスケくんがいるもの」
「じゃあフラれたらオレのとこにおいでよ」
「フラれないもん!!」
失礼なことを言われて金切り声を上げると先生はおかしそうに笑い、暫くして静かなったので、仕方なく先生が満足するまで付き合うことにした。
先生の体温でさっきより寒くないし。
昼間とは違う顔を見せている里を先生と見ている。
2人だけの秘密の景色。
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