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ヤキモチ焼いてよ

カカシから馬鹿みたいな相談を受けてから暫く経ち。
あれから変な光景を見かけることが増えた。
頬を膨らませて怒った顔をしているサクラちゃんの後ろを満面の笑みで付いて上忍の姿を。



「カカシ、あんたあれからどうなわけ」

アカデミーに報告をしに来たカカシを捕まえ、あの日とは逆に紅がカフェに誘った。

「順風満帆だよー。あれから素直にヤキモチ焼いてくれるし」
「それ、わざと焼かせてるでしょ」
「──あぁ、バレた?」

ニコニコ嬉しそうに笑っていたカカシが、ふっ、と怪しく微笑む。

「いやー、女と話してたらあからさまに嫉妬してくれるようになってね。その顔がすごく可愛くてさー」

その時のサクラちゃんを思い出してるのかニヤけた顔をするカカシに、呆れたように言う。

「あんまり調子に乗ってると痛い目に合うわよ」
「大丈夫だよー。サクラまだ子供だし」
「あら」

はは、と笑うカカシに椅子から立ち上がって見下ろす。

「子供でもちゃんと女よ。忠告はしてあげたわよ」

そう告げてカカシに背を向けて店を出た。
もちろんカカシの奢りで。



****



カカシはその時の紅の忠告をちゃんと聞いておけば良かったと後悔することになる。



いつものようにサクラにヤキモチを焼いてもらうため、いつもサクラが通る道のいつもの時間に、適当に女を捕まえてその気にさせてくっ付いてもらう。

今日はどうヤキモチ焼いてもらおうか、と考えながら歩いていると後ろから肩を叩かれる。
振り返ると、ずいぶん前に仕事で関わってそれから仲の良くなった、所謂元カノだった。

「カカシ、久しぶりね。私はすぐに気づいたのに見向きもしてくれないなんてひどいじゃない」
「あー、久しぶり。ちょっと考え事してたもんでね」

もう顔も名前も覚えてなかった、なんて言いそうになって飲み込む。
彼女もオトモダチもたくさんいて一々覚えてないっての。
サクラのことは小さなことでも覚えてるけどね。

「ねぇ、今暇?ちょっと話さない?」
「あー、悪いけどこれからやることあるから」

そこら辺にいる女にならまだしも元カノを見られると面倒だ。
早く離れないとサクラが──。

「カカシ先生?」

・・・遅かった。
ゆっくり振り返ると、サクラが首を傾げていた。
もちろんオレの名前を呼んだのだから元カノもサクラの方を見るわけで。

「あら?カカシの知り合い?」

元カノが上から下を失礼なほどジロジロ見て、当然サクラは不快そうな顔をする。

「あ、先生って言ったから教え子?」
「彼女です!」

キッパリとサクラが言うと、元カノは驚いたように目を見開いた。
そしてオレを見て軽蔑した目をする。

「カカシ、あんたこんな子供にまで手を出したの?本当見境ないわね」
「関係ないでしょ・・・」

もうさっさとどっか行ってくれ・・・。
サクラには嫉妬してほしいが、これは止めてほしい。
そんなオレの願いなど聞こえるはずもなく、元カノはオレの胸に指を当てて上目遣いをしてくる。

「あら、関係なくないでしょ。元カノとして今カノはちゃんと見ておかないと。それに彼女子供じゃない。まだあなたの相手は無理なんじゃないの?」

"元カノ"、"相手"
そのワードにサクラの眉間の皺が深くなる。
元カノはそんなサクラを嘲笑う。

「おい、いい加減に・・・」

サクラの手が力強く握られ、オレもその発言にさすがに我慢の限界だ。
離れようと肩を掴もうとすると、ズカズカとサクラがこちらに歩いてきて、

オレの襟首を掴み勢いよく引き寄せキスをした。
驚くオレを他所にサクラは薄く開いた隙間から舌を差し込み、自分から絡ませる。
顔を真っ赤にして必死なサクラが可愛くて、オレはサクラの腰に手を回して引き寄せ、自分からも舌を絡ませる。
オレたちのいきなりのラブシーンに元カノだけでなく通りかかる人々までもが足を止め注目を集めていた。


それから数分後、たっぷりキスをして唇を離すと銀の糸がゆっくり切れる。
サクラは涙目で肩で息をしながらキッと元カノを睨む。

「ちゃんと相手出来ますから!えっちだって何回もしてるし!」

サクラは叫ぶ。
興奮気味だったのが落ち着いていくのが分かる。
そしてようやく周りが見えたらしく、今自分が何をしていたのか思い出して、耳まで一瞬で真っ赤に染まる。

「〜〜〜!!行くわよ先生!!」

サクラはオレの手を引っ張る。
一刻も早くこの場から離れたいらしい。

「うん」

オレはサクラに手を引かれて元カノに目を向けることもなく付いていった。





騒ぎを聞きつけて一部始終を見ていた紅は人混みから逃げる2人を見ていた。
顔を真っ赤にして男の手を引っ張る少女と、恥ずかしいくらいニヤけた顔をしている男。
自分が思っていた結末ではないが、これはこれで面白い。
次はどんなことをしてくれるのか、と楽しそうに笑っていたのだった。


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