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嫉妬と罰

私の彼氏は14も年上で、担当の先生で。
そして嫉妬深い。
とても。
少し男の人と話してただけで相手に殺気飛ばしてくるし、相手は誰だ、何を話してたのか、2人きりになるなってウザいくらい言ってくるし。
この間は任務中の事故でナルトに押し倒された時なんて酷い目にあったし。
いつもは飄々と掴みどころがないのに、私のときには感情を表に出してくれる。
それだけ私のことが好きなんだって思えて嬉しい。


だけど。




「もう!鬱陶しい!!」

たくさん人が出入りする阿吽の門。
その前で人目もはばからず私は叫んだ。
カカシ先生に向かって。
先生はいきなりのことに目を丸くして驚いている。
私は気にせず指を指して続ける。

「いい加減してよ!私がどこの誰と話してどこに行こうが先生には関係ないでしょ!」
「関係ない・・・、ね」

言葉を繰り返した先生の目が怪しく光り、ギクリ、と体を強張らせる。

「サクラちゃん、その言い方はちょっとひどいってばよ・・・」
「うっさい!ナルトは黙ってなさいよ!」
「ごめんなさい!」

間に入ろうとしたナルトに怒りの矛先が向い、キッと睨むとナルトはサスケくんの背中に隠れる。
私の意識がナルトに向いているときに先生が一歩こっちに近づき、私は反射的に一歩下がる。
その時、先生の唯一見えてる眉がピクリ、と小さく上がったのを見逃さなかった。

「と、とにかく、そういうことだから!今日は先生の家行かないからね!」

負けるものか、と胸元を握ってそう言い放ち、逃げる様に走った。



ナルトとサスケはサクラが走り去った方向を見て、チラッ、とカカシを様子見る。
カカシは大きく腕を上げ、勢いよく振り下ろしたと思ったら一面に煙が充満する。
2人が咳き込んでいると遠くから女の悲鳴が聞こえ、
暫くして風が吹き周囲が見えた時にはカカシは煙と共に消えていた。



****



「いやーーー!離してったら!!」

あの後一瞬で先生に捕まって部屋に連れ込まれた。
そしてベッドに押し倒され気づいたら服を全部脱がされる。
先生のお腹を何回も思い切り蹴っているのにビクともしない。

「いや、やめてよ!今日はそんな気分じゃないの!」

首元に顔を埋める先生に懇願すると、ピリッと痛みが走った。
顔を見て上げた先生は目を細めながら唇を舐める。
男の人なのに妖艶さを感じて、怒ってるのに胸が高鳴ってしまって悔しい。

「いいよ。サクラのお願い聞いてあげる」
「・・・え?」

まさかそんなこと言われると思わなくて目を丸くする。

「今日はえっちしないし、これからは男と一緒にいても一々聞かない」
「・・・本当?」
「うん」

にこり、と笑う先生にほっと、息を吐く。
先生は私の嫌がることは絶対しない。
私が笑うと先生も笑った。妖しく。

「でもサクラはオレのモノだって証は付けさせてもらうよ」
「──え」


後に私はこの時油断した自分を恨むことになる。





****



「なぁ、なぁ、サクラちゃん」
「──なに」

次の日。
橋の上でいつものように遅刻しているカカシ先生を待っていると、隣に立つナルトが話しかけてくる。

「暑くないの?」

ナルトが指を指してくるのは私の格好。
今日は天気もよく気温も高い。むしろ暑いぐらい。
なのに私はいつもは半袖なのに長袖を引っ張り出してきて、その上マフラーを巻き、スパッツではなくタイツを。
普段なら丁度良いんだろうけど、今日は防寒し過ぎている。
現に身体中から汗をかいているし。
今すぐ脱ぎたいけど、こうしないといけない理由があるわけで──。

「あ、カカシ先生!」

ナルトの声に反応する。
チラッと見ると、カカシ先生が片手を上げてのんびり近づいてくる。
2時間も遅刻してるとは思えないほど、ゆっくりと。

「やー、諸君。おはよーう」
「おはよーう、じゃねーってばよ!毎回毎回遅刻ばっかして!」
「上忍はお前らと違って忙しいの」

先生は怒るナルトの頭を撫でて、目を合わせようとしない私の顔を覗き込む。

「おはよう、サクラ」
「・・・おはようございます」

微笑む先生からぷいっと顔を逸らす。
おかしそうに笑う先生の服をナルトが後ろから引っ張る。

「あのさ、あのさ。サクラちゃん、今日暑いのに厚着なんだよ。変じゃない?」
「そうだねぇ。暑そうだし脱いだ方がいいんじゃないか?」

よくもいけしゃあしゃあと。
私がこうしてるのはこの男のせいなのに。
私が思い切り睨んでも痛くも痒くもないというふうに笑っているのが癪に障る。

「ほらカカシ先生もこう言ってるんだし。マフラーぐらい脱いだ方がいいってばよ」
「ちょ・・・!」

すっかり油断していて、ナルトにマフラーの結び目を解かれて外された。

「・・・あれ、サクラちゃん首のとこ、すごい虫にさされて──」

ナルトが私の首のいたる所に付いている赤い印のことを言おうとしていることに気づいた私は、ナルトの肩をガシッと掴んで後ろに仰け反る。

「えっ」

自慢の広い額をナルトめがけて勢いよく叩き込み、



良い音と短い悲鳴が里に響いた。


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