short.1
◯卒業
今日。
私は3年過ごしたこの学舎を卒業する。
「春野」
少し早い桜の木を見ていると後ろから声をかけられ振り返ると、ここに呼び出した3年間担任としてお世話になったカカシ先生が歩いてくる。
「カカシ先生。わざわざすみません」
「いいや」
先生が私の頭に手を伸ばす。
少し身構えると、頭に付いていたのか桜の花びらを取ってくれる。
顔を上げると優しく微笑みかけてくれるカカシ先生。
「・・・カカシ先生」
「うん」
「私、ずっと先生のことが好きでした」
私の告白に先生は目を見開いてすぐにいつものように微笑む。
「うん。ありがとう」
先生は少し寂しそうに笑って。
「卒業、おめでとう」
◯当たり前の寂しさ
「先生はさ、私が任務でいないとき寂しい?」
ソファーで並んでくつろいでいると、唐突にサクラが質問してくる。
カカシはサクラの綺麗な髪を手に取って弄る。
「当たり前。サクラは?オレが任務でいないとき寂しい?」
「当たり前だわ」
サクラはそのままカカシの肩にもたれかかってくる。
カカシはこの時間と恋人を愛おしく思いながら薄紅色の髪に唇を落とした。
◯据え膳食わぬは
酔い潰れたのは元生徒で先日成人を迎えた少女。
恋人ではなく、ただの自分の片想い。
そんな想い人を所謂お姫様抱っこで衆人の目に晒されながら自分の家に連れ帰る。
こんな酔っ払いを1人で暮らす部屋に残すのは不安だという思いからだ、他意はない。
そのまま寝室に向い、起こさぬようにそっとベッドに下ろしたつもりだったが、瞼がゆっくり開かれ翡翠の瞳と目が合う。
「悪い、起こしたか?」
「・・・せんせ」
虚な瞳。
お酒のせいで潤む瞳が綺麗だな、と思っていたとき、サクラの腕がオレの首に回って引き寄せられ、サクラの顔が至近距離に来て反応が遅れてしまった。
慌てて体を離そうとするも、綱手様直伝の怪力には敵わず。
「ちょ、離し・・・」
「──き」
「え」
「せんせ、だいすき」
「っ!サクラ・・・!!」
こんなことを言われて気持ちを抑えられようか。
肩を掴んで引き剥がしベッドに押し倒す。
が。
サクラは気持ちよさそうに寝息を立てて眠っているではないか。
据え膳食わぬは何とやら。
しかし、これは・・・。
「ダメだよなぁ・・・」
カカシはガックリと項垂れて、ベッドから降りてトイレに向かった。
◯寒いから
今日の任務は護衛任務。
別の場所にいる2組を同じ場所まで護衛することになり、ナルトとサスケ、オレとサクラに別れて任務を遂行することに。
敵の襲撃もなく時間通りに目的地に対象を送り届け、ナルト達が戻ってくるのを待つ。
この日はここ最近で一番寒い日で、ジッと待っていると身が凍えそうになる。
「寒いねぇ」
「そうですね」
隣に立つサクラに話しかけると素気なく返事が返ってくる。
チラッと横目で見ると鼻と頬を真っ赤にして、冷えた指先に息を吹きかけて温めている小さな恋人。
こんな寒い日は裸の恋人をベッドの上で抱きしめて温まりたい。
「はぁ。誰かこの冷え切った身体を温めてくれないかなぁ」
はぁ、と息を吐きながらそう呟いて返事を待つが、いくら待っても返ってこない。
サクラはナルト達が来るであろう道を見ていた。
「ねぇ、聞いてる?」
痺れを切らして後ろから思い切りサクラを抱きしめる。
「ちょっと!離してよ!」
「あ〜、あったかい。でももっと身体の中から温まりたいよねぇ。交わりたいよねぇ。ね、サクラ〜?」
「は、離してったら!このセクハラ教師!!」
ギャーギャー騒ぐサクラを抱きしめていると、先程サクラが見ていた道から金髪の少年が何か叫びながら走ってくるのが見えた。
◯お祝いは何が欲しい
カカシ先生が里に、国とって大きな功績を残した。
日頃の感謝も込めて、お祝いとして何が欲しいものはないかと聞いた。
そしたら。
「サクラ」
ニッコリと、言葉の最後にハートが付くように言う男に私は言葉を失った。
嫌がる私を無理やり抱えて先生の部屋に連れ込まれたのは言わずもがな。
今日。
私は3年過ごしたこの学舎を卒業する。
「春野」
少し早い桜の木を見ていると後ろから声をかけられ振り返ると、ここに呼び出した3年間担任としてお世話になったカカシ先生が歩いてくる。
「カカシ先生。わざわざすみません」
「いいや」
先生が私の頭に手を伸ばす。
少し身構えると、頭に付いていたのか桜の花びらを取ってくれる。
顔を上げると優しく微笑みかけてくれるカカシ先生。
「・・・カカシ先生」
「うん」
「私、ずっと先生のことが好きでした」
私の告白に先生は目を見開いてすぐにいつものように微笑む。
「うん。ありがとう」
先生は少し寂しそうに笑って。
「卒業、おめでとう」
◯当たり前の寂しさ
「先生はさ、私が任務でいないとき寂しい?」
ソファーで並んでくつろいでいると、唐突にサクラが質問してくる。
カカシはサクラの綺麗な髪を手に取って弄る。
「当たり前。サクラは?オレが任務でいないとき寂しい?」
「当たり前だわ」
サクラはそのままカカシの肩にもたれかかってくる。
カカシはこの時間と恋人を愛おしく思いながら薄紅色の髪に唇を落とした。
◯据え膳食わぬは
酔い潰れたのは元生徒で先日成人を迎えた少女。
恋人ではなく、ただの自分の片想い。
そんな想い人を所謂お姫様抱っこで衆人の目に晒されながら自分の家に連れ帰る。
こんな酔っ払いを1人で暮らす部屋に残すのは不安だという思いからだ、他意はない。
そのまま寝室に向い、起こさぬようにそっとベッドに下ろしたつもりだったが、瞼がゆっくり開かれ翡翠の瞳と目が合う。
「悪い、起こしたか?」
「・・・せんせ」
虚な瞳。
お酒のせいで潤む瞳が綺麗だな、と思っていたとき、サクラの腕がオレの首に回って引き寄せられ、サクラの顔が至近距離に来て反応が遅れてしまった。
慌てて体を離そうとするも、綱手様直伝の怪力には敵わず。
「ちょ、離し・・・」
「──き」
「え」
「せんせ、だいすき」
「っ!サクラ・・・!!」
こんなことを言われて気持ちを抑えられようか。
肩を掴んで引き剥がしベッドに押し倒す。
が。
サクラは気持ちよさそうに寝息を立てて眠っているではないか。
据え膳食わぬは何とやら。
しかし、これは・・・。
「ダメだよなぁ・・・」
カカシはガックリと項垂れて、ベッドから降りてトイレに向かった。
◯寒いから
今日の任務は護衛任務。
別の場所にいる2組を同じ場所まで護衛することになり、ナルトとサスケ、オレとサクラに別れて任務を遂行することに。
敵の襲撃もなく時間通りに目的地に対象を送り届け、ナルト達が戻ってくるのを待つ。
この日はここ最近で一番寒い日で、ジッと待っていると身が凍えそうになる。
「寒いねぇ」
「そうですね」
隣に立つサクラに話しかけると素気なく返事が返ってくる。
チラッと横目で見ると鼻と頬を真っ赤にして、冷えた指先に息を吹きかけて温めている小さな恋人。
こんな寒い日は裸の恋人をベッドの上で抱きしめて温まりたい。
「はぁ。誰かこの冷え切った身体を温めてくれないかなぁ」
はぁ、と息を吐きながらそう呟いて返事を待つが、いくら待っても返ってこない。
サクラはナルト達が来るであろう道を見ていた。
「ねぇ、聞いてる?」
痺れを切らして後ろから思い切りサクラを抱きしめる。
「ちょっと!離してよ!」
「あ〜、あったかい。でももっと身体の中から温まりたいよねぇ。交わりたいよねぇ。ね、サクラ〜?」
「は、離してったら!このセクハラ教師!!」
ギャーギャー騒ぐサクラを抱きしめていると、先程サクラが見ていた道から金髪の少年が何か叫びながら走ってくるのが見えた。
◯お祝いは何が欲しい
カカシ先生が里に、国とって大きな功績を残した。
日頃の感謝も込めて、お祝いとして何が欲しいものはないかと聞いた。
そしたら。
「サクラ」
ニッコリと、言葉の最後にハートが付くように言う男に私は言葉を失った。
嫌がる私を無理やり抱えて先生の部屋に連れ込まれたのは言わずもがな。
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